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男心

小1時間皆でダベりお菓子食べて帰り道。

駅でヒロと別れた後、2人で並んで歩こうとすると、なぜか楊世が前を歩く。

話しづらい…

「ねえ、なんで前歩くのよ?」夏希が文句を言う。

楊世は穏やかでこういうイジワルはしない人なのに。

「あのさ、テレビやネットでも僕が死んだ子を好きだったら

あの子は死なずに済んだのに〜みたいな事言われるのって結構ツライんだよ!

僕には僕の気持ちがある。

誰かの都合で人を好きになる訳じゃない!」

「!!!」あの楊世が怒ってる!

「えっ、私そんな風に思ったこと無いよ。

それより物で釣る精神が嫌いだし。」

夏希は戸惑う。

「お母さんもきっとそうだったのかもしれないけど、

誰かの都合で人を好きになる事なんか無いから!

実家にある父のそばに居る母の写真見てて、どこか悲しげで無表情な人って印象だったけど、

実際会ったら、すごく熱い人で全然違ってた。」楊世が饒舌に語る。

「結局好きじゃなかっただけなんだよ!

父の押し付けと周りの加勢で仕方なく結婚しただけだったんだよ、母は。」

結構シビアな現実だと思うけど、息子としてそれで良いのか?

夏希は心配になる。

「僕は、絶対人生を後悔したくない。

だから…」とそこで押し黙ってしまった。

珍しく語る楊世だったが、それっきり今度はダンマリになった。

そのまま沈黙したまま、前と後に分かれて歩く。

「…私がオカルト倶楽部作ったのは、楊世の意志の力?

輝き見たからだよ。知ってる?」夏希が話す。

「実は、私って中が空洞なんだよね。

キャラで誤魔化せてるけど、実は好きな物とか嫌いな物とか突き詰めて無いの。

だから、そばに好きを突き詰めて目指してる人が来ると自分の空洞がハッキリしちゃうんだよ。

だから、焦って1日でオカルト倶楽部作ったの。

自分の空洞を見るのが恐くて。」楊世がビックリしたような顔をしてる。

後から楊世の背中をパンパンと叩く。

「だからまあ、楊世に意志がないなんて、全く思ってないよ。

有りすぎて、そばに居るのがツラくなるのを取り敢えず砦作って防御してるくらいだから。」

そう言って追い抜いて家に帰った。


今日は夕食後すぐに部屋に戻った。

あんな感情的な楊世は見たことないし、比べて冷静な自分を見たくない。

人の事なら熱くなれるが、自分の事にはスンとなってしまう。

『進路』なんて究極自分を見つめなきゃいけない。

弱点なのに。

1回目の進路診断の紙を見つめながらため息しか出ない。

したい事なんか、何一つ無いのだ。

推し活だって、結局はレオンのスターになりたい!って意志にキラキラに魅せられて疑似同化してただけだ。

野球応援してるオヤジと一緒だ。

自分が打ったわけでも無く、走ったわけでもないのに。

1人でこの人生をどう彩るか?

なんて課題出されたら、途方にくれる。

でも白紙で出すと怒られるから、家から通いやすい大学をまず探す。

でも、お金払う立場で4年って途方もなく長いし勿体ない気もする。

楊世みたいに専門学校とか?

専門職とか?

でも、これといって浮かばないし続けられる自信も無い。

どうしょう…と悩んでふて寝してるとふすまを楊世が開けた。

「一声掛けてよね。開ける前に。」一応注意する。

「僕の部屋開ける時、全く声掛けされたこと無いけど」楊世がそう言いながら座る。

確かにふすま開けてからしか話しかけたこと無い。

と思い至る。

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