オジ活
新たなニュースが流れた。
来栖舞が女子大生と詐称して港区女子をやっていた事が分かった。(中央区女子だが)
しかし年齢がバレてしまい出禁を食らったらしい。
モザイクの金持ちそうなオヤジが、
「僕らは法に乗っ取って大学の入学祝いや異業種交流会の一環として女子大生とも交流しているだけだからね。
高校生が混じっていたとは。
許せないね。」
もっともらしくコメントしていた。
急に金欠になった彼女は、手当たり次第に声掛けしていたらしい。
ネットには女子高生のオジ活サロンがあるので、そこにも書き込みしていたらしい。
しかし、港区女子みたいに派手に集金できず苛立っていたようだ。
教員は、2人ほど声掛けされてたが手当が3万だと聞いて来栖舞がキレて話がまとまらなかったらしい。
情報屋のサキからも話が入ってきた。
彼女は死体はダメだが、噂話は大好きなのだ。
「うちのダンスクラブに昔は在籍してたんだって!
アイドルめざしてたみたい。顔可愛いもんね〜
でも事務所からの怪しい素人カメラマンの撮影仕事でホテル連れ込まれてヤラれちゃったみたい。
その上、写真も取られてるから黙るしかなくて。
でも、それで元のバイト代に上乗せで10万貰って16歳だから舞い上がったみたい。
そこから港区女子会知って潜り込んだみたいだよ〜」
嬉々として知らせてくれた。
テレビとサキの情報で彼女がかなりヤバい世界に足を突っ込んでいたのが白日の元に晒された。
「そんな時に教室に美少年が転校してきた訳かあ〜」
夏希が目を閉じて腕組みした。
恋する前に破瓜(処女喪失)した彼女は、好意の示し方すら知らなかった。
最初から男女の関わりに金が発生した彼女は、金で好意を示すしか知らなかったのだ。
「なんか…やっぱりブスに生まれて夢も無い人間で良かったよ、私ゃあ」夏希はなんか急に老けた気持ちになった。
「僕は…好きな人いるし。
申し訳ないけど、好かれても何も出来ないよ!」楊世が急に爆弾発言をする。
1週間ぶりの家庭科控室で3人の目が点になる。
「エッ、お前今まで全然そんな話しなかったじゃん!
いつから居るんだよ?」ヒロが楊世を自分の方に向かせて尋問する。
「コレは大ニュースだよ!
イヤだ!もう私、誰かに教えたい!」サキがキラキラした目で口を押さえる。
「!!!」夏希もビックリして何も言えなくなった。
男子校から転校して2ヶ月。
一緒に生活し学校生活も共にしてきたが、そんな素振りは1mmも無かった!
楊世に夢はあっても色恋は無縁と断言できる。
「もしかして、ギャルゲーで気に入ってる『ミキ』?」思い当たると言えば、実家から持って来た学園ラブストーリーものでお気に入りキャラしか浮かばない。
「なんだ、ゲームかよ!
だったら俺だってアダルトの優愛が大好きだぞ!」ヒロも爆弾告白する。
「いやだー!アンタのは生々しいのよ!サッカー馬鹿!」夏希がツッコむ前にサキがツッコむ。
2人は別クラスだし出身中学も違うが、この2カ月でかなり仲良くなった。
「いい感じでアオハルだよね〜そうかそうか」夏希は何とも言えない充実感を感じた。
楊世はダンマリで少し耳が赤い。
絶対言わないオーラが出てるので、それ以上は誰もツッコまなかった。