キラキラ
夕食後、楊世と月子さんは出汁の問題点やらキッチンで話しながら片付けたりしてる。
自分も手伝いたいが…なんか入れない。
その内、メモ取り出して週末の買い出しの話し合いしてる。
月子さんの免許証で業者しか入れない市場に楊世を連れて行くみたいだ。
親子と言うより、師匠と弟子って感じ。
いつも柔和な2人がピシッとしてて…入れない。
オカルト倶楽部を無理くりでも発起しといて良かった。
この風景を推し活廃人のまま見たら、引きこもりになってた気がする。
それくらい2人はキラキラして見える。
「ウチの署も警官殺し連続であったのになあ〜
なんかお前の学校の事件ばっかりだな、どこ回しても!」港湾署の刑事の父はTVの報道に不満みたいだ。
「それはやっぱり女子高生だし、校内だしじゃない?」夏希が答える。
「ウチはあの高いバッグを引き取って貰えて良かったが。
月島署で証拠品かな?」父、耕三はビールを飲みながら月子さんの菜の花のお浸しを美味しそうに食べてる。
「うん、あんな、高いもん話した事もない男の子にあげて
好意もたれるとか思うのおかしくない?
なんで、そんな発想になったんだろ?」夏希はまずそこが疑問だ。
「それは、ほれ月子さんの元旦那みたいなオジサン達から高いカバン貰って自分が嬉しかったからじゃないか?」父が月子さんに聞こえないように小さな声で言う。
「それより教員の中に犯人いるみたいな報道だけど、
そんなに金ある人のいるのか?
一月の給与みたいな額だろ?」父が首をかしげる。
「だよね〜それに女に飢えてるような人いないけどね〜だいたい、高校だよ。
女子高生なんか吐いて捨てるほど居るしね〜特にウチは。」夏希も父のようにアグラをかいて腕を組む。
「だよな〜高校生なんかションベン臭いガキをありがたがる男が存在するのが、ワシには分からん!」
父と2人で話してても、今回の事件は謎すぎる。
楊世への料理特訓が終わるのを待って耕三と月子は一緒に風呂場へ。
時短だとか言って2人で髪を拭き合いながら出てきた。
そしてそのまま寝室へ。
昔ながらの文化住宅なので、とにかく音が筒抜けなのだ。
2階でドライアーの音と共にはしゃぐ2人の声が…
高校生2人には気まずい時間だ。
2階の自分の部屋になんとなく戻りつらくて居間で夏希は受験勉強する。
まだ志望校も決まらないが。
横で楊世も自分の部屋に戻りづらいのか料理ノートをまとめたり
ゲームをTVに繋いでやってる。
意外にギャルゲーなので驚く。
「本当はこんな感じイメージしてたんだけどなあ〜」楊世がため息をもらす。
「あんなワサ〜ッと目を血走らせて団体で来るとか聞いてなかった。」少年の淡い夢は儚かったようだ。
「仕方ないよ。ほぼ女子高みたいな感じでイケメンに飢えてるからね〜
ライオンの檻に肉ぶら下げた状態なるよ。」夏希が不憫そうに楊世を見る。
「もっと女の子って、こう優しくて柔らかくて…」
「それは違う!口が立つ分エキセントリックで獰猛だよ。」夏希が間髪入れず反論する。
「…だよね。男ってもっと話単純でスッキリしてるけど、女の子の話ってまわりぐどいし最後落ちないし、そのままどっか変わるし…返答に困るよ。」
楊世は女の現実を知ったみたいだ。
「ギャルゲーで憧れてるだけで良かったかもなあ〜女子高生って」ゲームをオンラインの対戦ゲームに変えた。