輸出戻し税は補助金ではない
消費税は、国内における物品または役務の消費についてかかる税です。
何をどういおうと、建前というか理念はそうです。
ですので、海外に輸出する場合、輸出先から消費税を取る事はできません。この場合、0税率(免税は別の概念なので不適)とされるので、仕入れ税額控除の結果がマイナスになり、国から消費税が還付される事となります。
このことをもって、戻し税を輸出補助金であるとか、輸出する大企業のみを優遇するものであるとか主張する政治勢力が有ったりします。
では、本当に戻し税が輸出補助金であるかどうかを考えてみましょう。
例えば、自動車会社が自分で輸出することを止めて、間に輸出会社を挟んだとします。その会社は儲けを出さずに、仕入れ値で自動車を輸出するものとします。
その会社が1000億の自動車を仕入れ、1000億輸出したとします。仕入れの際には消費税を払うので、実際には1100憶支払う事になります。輸出先からの消費税の受け取りは0なので、結果的に100憶の戻し税を受け取る事になります。
100憶という巨額を受け取るわけですが。はたしてこれは輸出補助金ですか? 会社としてみれば、1100憶払って、1000憶売り上げ、そして国から100憶戻し税を貰って損益もキャッシュフローも0であるのに。つまり、この戻ってきた100憶は、本来不要なのに自動車会社が国に納めた100憶がわたって来ただけなのです。
この販社を自動車会社が合併したとします。すると、戻し税は自動車会社に入ってきます(ただし、仕入れ税額控除が小さくなるので、戻し税自体は前記の例より少なくなります)。これは大企業優遇の輸出補助金ですか? 全く得にならないのに。
トヨタには多額の戻し税が入っているでしょう。ただし、重要なのはそれをはるかに超える額の消費税を部品などの仕入れの段階で支払っている、という事です。消費税の収支がプラスになることは無く、あくまで(無意味に)払った消費税の一部が戻って来るだけなのです。
戻し税は、消費税収入の数%になる、という話が有りますが、これも単に国内消費額に対する輸出額の割合が数%である、という事を表しているにすぎず、別段驚く事でもありません。
戻し税で検索をかけると、
https://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140404/dms1404041732011-n1.htm
などがかかります。これによると、この話題は共産党議員が質問で行ったミスリードとあります。
ちなみに、同様に検索をかけると全国商工団体連合会のページも良く出てきますが、これは民商の上位団体であり、共産党の関連団体とされています。だから、共産党寄りの発言をするのは当然と言えるでしょう。
さすがに、共産党自身もこの「戻し税の嘘」がばれてしまったからと、上のZakzakの記事にあるように方針転換を図り
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-05-25/2012052508_01_1.html
みたいに下請けがいじめられている、なんていう話にすり替えていますが、それは全く別の話という事が出来ます。
とりあえず、この戻し税補助金議論には、共産党が深くかかわっているという事は認識しておいた方がいいと思います。