エピソード1入学
初めてオリジナルを書くので生暖かく見ていただけると幸いです。
ピピピッピピピッ
「ふあぁぁ〜〜あ。」
眠い目を擦り身体を起こす。現在時刻は午前六時、いつもりより起きるのは一時間ほど早い。ベットから降り、カーテンを開ける。陽の光を身体中に浴びること3分、身体を伸ばしたりして筋肉をほぐす。
「そろそろ下に行くか。」
そうして、部屋を後にした。
下に降りるといつものように家政婦が料理を用意し、待っている。他の家族はすでに朝食を済ませたようだ。席に座って朝食をとっていると、後ろから声がした。
「今日から入学だろ、貴人。」
俺を呼んだのは神志那理人、俺の父親だ。
「はい。」
身体を椅子ごと向けて返事をする。だが、端から俺の返事などどうでもいいような目で俺に言った。
「自分のやるべきことをやれ。お前は俺の道具だ、けして目的を忘れるなよ。」
「はい。」
そう言って俺を一瞥すると玄関の方へ向かった。仕事に行くのだろう。
あの父親は、息子のこと道具としか思ってないような人間だ。冷徹で悪辣で傲慢な人間だ。あいつは、政治家として働いている。政治界の中でも権力や発言力を持っているらしい。
と、今はそんなことより朝食を食べよう。入学式に遅れてしまう。
朝食を食べ終えた後、家を出て電車に乗った。行き先は、今日から俺が入学する国立良成高等学校。
この学校では、年に一度、生徒会長及び副会長を決める大会のようなものがあるらしい。それは、一般的な学校で行われる会長選挙とは異なり学問や思考能力、運動能力などによる総合成績で決定される。
大会参加者のなかで最も優秀だったものを生徒会長、次に優秀だったものを副会長とするらしい。
この学校にはあらゆる権力が生徒会に集結されている
学校の校則や施設及び行事などの追加や消去などが学校の教員の許可なしでも可能。そして、この生徒会の最も大きなメリット、それは内申だ。国内ならば全ての進路選択が自由でありそれを可能にする力があるらしい。それを目当てに大勢の受験生がこの学校のを受験するため毎年倍率は脅威の20倍。推薦などは言うまでもないだろう。偏差値は75らしい、流石は国立進学校だ。とまあ、斯様にこの学校に入学してくるのはそれを乗り越えたいわばエリート達だ。その、生徒たちの中のトップが生徒会というわけだ。
生徒会では会長、副会長以外は定期テスト、文化祭、体育祭の3つから選定され、全ての行事及びテストで成績トップ3を生徒会へと配属するらしい。
つまり、生徒会長決定祭で敗れてもまだ、生徒会に入れるチャンスはあるというわけだ。肝心の時期だが
生徒会長決定祭は2月。2月から来年の2月までの間は生徒会長及び副会長である。
そして、他の生徒会員を決定するのも2月。
2月にあるのは決定祭と時期を合わせるためらしい。
時期をずらすと新生徒会発足に向けて影響が出てしまうからだろう。それぞれ会長祭が5日、生徒会員決定は20日になっている。と、ホームページで読んだのはこのくらいたったな。
「次は、良成高等学校前、良成高等学校前、お出口は右側です。」
さて、そろそろだな。
電車から降り、ホームから出る。すると目の前に、桜が舞う中でも存在感を放つ大きな門が出てきた。
「ここか。」
俺は久しぶりに感じる期待を胸にこの門をくぐった。
「えーっと。クラスは」
五組、そう書かれていた。この学校は一から五組まであり、それが三年まである。ひとクラス40人計200人が一学年。学生は全部で600人だ。
後、一つ言い忘れていたがこの学校は生徒全員が寮生活を余儀なくされる。
さてと、五組はここか。教室のドアを開けるとほぼ全員の生徒が揃っていた。ある人は、前を向きスマホを弄り、ある人は後ろ向き新入生同士で話していた。
俺の席は、一番右側の列の一番後ろだ。自分の席の位置に安堵しつつ、鞄を机に置き全体を見渡す。すると
チャイムが鳴り、教師が廊下に入ってくる。
「初めまして、私は君たちのクラスを担当することになった橘侑希だ。よろしく。」
そう言って教師は学校についての説明をした。
「まず、この学校では、生徒全員が寮での生活をしてもらう。生活に必要なものや娯楽品などは学校内外で購入可能だ。但し、外出する際には外出届を記入してもらう必要がある。まあ、大抵のものは学校内で購入可能なので必要ないと思うがな。それから、学校外からの関係ない者の来校は禁止だ。これは、家族であっても関係はない。資金については、この学校内専用のクレジットポイントを使ってもらう。生活費などは学校の負担。他にも生徒たち専用の口座をこちらで用意した。親が君たちの口座に入金する事は可能である。入金された場合は、学校内ではクレジットポイントに変更される。娯楽品などへの使用目的として学校から一万、親からの定期支払いによる一万計二万クレジットポイントが口座に振り込まれる。使用方法に関しては学校の校則に則って使用してくれ。
学校内にある施設ではバイトなども可能だ。
これが学校での生活に関する話だが、質問はあるか?
………無いなら次に行く。」
「次に生徒会についてだ…………」
とまあ生徒会についての説明を橘がしていた。どうやら生徒会員は五月、七月、十月、十二月、二月にある計五回の定期テストとそれぞれの行事によって選定されるようだ。
「他に質問のあるやつはいるか?………では、30分後に入学式がある。全員遅れないように。」
ガラララッ
と、橘はドアを閉めて教室後にした。
俺も校内探索がてら学校をみて回ろうと思い立とうとしたとき、
「皆で自己紹介をしない?入学式まで時間があるし。」
はぁ、これは出たら気不味いやつか。と、俺の校内探索は程なくして潰えたのだ。
周りから賛成の声が聞こえ、順番に自己紹介をしていった。
まずは、言い出しっぺの金髪イケメンがやるらしい。
「僕は成城悠人。好きなのはサッカー、特技は運動全般かな。皆と仲良くなれるよう頑張ります、よろしくお願いします。」
と、自己紹介が終わると大きな拍手が送られる。
これが陽キャなのか、と軽く戦慄した。自己紹介は初めての行事、ここを落とすわけにはいかない。
「えっと。神志那貴人です。あ、好きな食べ物はえーっと、パスタです。あー………皆さんと仲良くなれるよう頑張りたいと思います。…よろしくお願いします。」
パチパチパチと慰め程度の拍手が送られる。これはやってしまった。と、顔を俯かせる。これでは先が思いやられる、と軽く絶望していると、隣から笑い声が聞こえる。気になって視線を向けると、こちらをチラチラしながら笑っている女がいた。
「えーっと、俺なんか変なことしたか?」
と聞くと、
「いえ、その、…余りにも…自己紹介がっ……下手くそで……っ………ンンッ申し訳ないわ。私は、高梨香菜よ。よろしくね、神志那君。」
「ああ……よろしく。」
と、話していると何時の間にか他の生徒は自己紹介を終え体育館に移動していた。
「私達も行きましょうか。」
「ああ。」
自己紹介の失敗で凹んだ気分を引きずって体育館へと重い腰を上げて向かった。
校長の長い話を聞き終え、次は生徒会長の番になったようだ。この学校で一番優秀な生徒というだけあって、周りの生徒達も心なしか、目を輝かせているような気がする。
「次は生徒会長より、新入生への挨拶です。」
「皆さんこんにちは、この学校の生徒会長の一条義です。まずは、入学おめでとう。この学校では先生からの説明もあったように生徒会長を目指して争いが繰り広げることになるだろう。その争いの中で、自らの力の無さに絶望するものもいれば、はたまたそれを糧に成長するか。どちらを選ぶかは君達次第だ。選ぶ選択によって未来は大きく異なるだろう。君たちが自分にとって最良の選択をする事を期待している。生徒会会長、一条義。」
終わった瞬間、少しの沈黙の後に大きな拍手が会長に送られた。なるほど、内容は良いが言い方にものすごく迫力があった。新入生に危機感を与えるためだろうか。まあ、入学式は終わったしさっさと必要なものを買って家に帰ろう。
俺はこれから始まる学校生活に期待を膨らませた
読んでいただきありがとうございました。なろうのほうでは初めて小説を書かせていただきます。なんというか、学園系を描きたかったんですが、頭を使う系も描きたかったので少し某小説とにているところがありますが、頑張って自分で考えたのでご了承ください。
ペースについてですが、好評なら週1くらいのペースで
不評なら月1くらいになると思います。それではまた次回お会いしましょう。