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直後。
百人いた魔族の首が、漏れなく落ちた。
少し遅れて、その体も力を失って倒れる。
それらの光景が動画で流れると、数秒にも満たない短い時間、弾幕となっていたコメントが消えた。
やがて、
《え》
という、コメントが流れていった。
それを皮切りに、視聴者の驚きが弾幕となって画面を覆い尽くす。
《!?》
《!?》
《((( ;゜Д゜)))》
《!!??》
《!?》
《!?》
《!?》
《!!??》
《!?》
《なになに?!》
《!!!1》
《!?》
《!?》
《!?》
《!!》
《!!??》
《????》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《なんだ今の?!》
《!?》
《!?》
《!?》
《!!!!》
《!!!!》
《!?!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!!!!》
《!?》
《!!??》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《この技って……》
驚愕のあまり、言葉を失っていた者がほとんどである。
そして、それはスレ主、スネーク、恋の三人も同じであった。
続いて、今度は楽しそうな少し茶化すような声をドローンが拾う。
「最高ランクダンジョンに、こんな形で挑むことになるなんてね」
声の主の姿を、ドローンがとらえる。
映し出されたのは、右目を眼帯で覆い、魔法を使用するための杖を持った雪華であった。
雪華は倒れた魔族を見回し、自動で回復しているものをみつける。
雪華は杖を掲げて、
「聖決壊」
呪文を唱える。
その場に巨大な魔法陣が出現する。
回復しつつあった魔族や、すでに倒れた魔族の体が塵と化して消えていく。
「ほんと、スパルタだわ」
雪華はそう呟くと三人を、というより、馬のマスクで顔を隠した冬真を見た。
そして、近づきながら彼へ声をかける。
「こんなスパルタによく耐えたわねー。
まぁ、だからこその強さかとは思ったけど」
それから、もう一度杖を掲げると、
「全回復してあげるから、感謝しなさいよ」
そう言って、三人を癒したのだった。
《せ、雪華たんだぁぁぁああ!!》
《おおおおお!!!!》
《久しぶり!!》
《おおおおお》
《(」’ω’)」オォオォオ!!!ウウゥゥアアォオ!!!!!!》
《おおおおお》
《おおおおお》
《おおおおおおおおおおおおおおおお》
《おおおおお》
《オオオオオ!!??》
《ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!》
《おかえり!!》
《雪華たん、おかえり!!》
《俺的神動画!!》
《おおおおお》
《おおおおお》
《おおおおお》
《前は回復も治癒もできなかったのに!》
《おかえり!!》
《おかありー!!》
動画のコメントも盛り上がる。
そうこうしているうちに、魔族全てが塵となって消え、アイテムが残される。
「助かったー、ありがとな」
と、1番にお礼を言ったのはスネークだった。
続いて冬真も、お礼を言う。
「ほんと、助かった。
ありがと」
最後に恋が、それに続く。
ただし、苦々しい表情ではあったが。
「……ありがとう」
「どういたしまして」
雪華は恋の表情に気づいていたが、あえて見ないふりをした。
スパルタ師匠達によって、その辺の教育も受けたのである。
「じゃ、怖ーい師匠達のノルマが残ってるし、もう行くわ。
またね」
「え、アイテムは?」
「今の私には必要ないから、そっちで好きにして」
なんて言って、雪華は本当に去ってしまう。
「おう、了解。またな」
冬真も気安く、そう返す。
そのあと、三人はドロップしたアイテムを回収していく。
そして、目的のものを見つけたのだった。
「あ、あったあった!」
スネークが巻物を拾い上げ、見せてくる。
《え、これ?》
《これが?》
《夢幻絵巻!》
そして、恋へと渡す。
「よし、じゃあ配信ここまでだな。
視聴ありがとうございましたー!」
冬真が宣言し、この日の配信は終了したのだった。