表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ダンジョン】人助けしたら、知らんとこでバズってた件【実況】  作者: アッサムてー
お人好し掲示板実況者と名家出身の女の子
76/117

25

後日、スネークによって配信予定が告知された。

すぐにその内容はあっという間にトレンド入りした。

SNSのトレンドワードの一位は【バベル】、二位は【SSSSSランク】、そして三位の【生配信】となっていた。

一般人もだが、ダンジョン内で手に入るアイテム、またはダンジョンの情報を売買している企業も、いまだ正体不明の配信者の動向を気にしていた。


正体不明の配信者こと、冬真達と接触したことのある配信者達、つまりコラボ動画の相手には探りが入れられていた。

しかし、全くと言っていいほど情報が手に入らないままである。

唯一、そんな企業からまだ探りを入れられていないのは活動休止をしている雪華である。

しかし、彼女に接触しようにもその所在はようとしてしれないのであった。

それこそ、意図的に痕跡を消されているかのように、活動休止後の消息が知れないのである。


探索者連盟は、国からもだが海外からも痛くもない腹を探られている始末だ。


「管理部で把握出来ていないとか、ありえないだろ」


そうボヤいたのは、探索者連盟の【調査部】の部長である。

【管理部】は、探索者の活動を監視、管理する部署である。

では【調査部】はどんな役目を負っているのかというと。

端的に言えば、


『異能力を使っての暴力サイッコーー!!ヒャッハー!!』


という輩を調査して捕まえることが出来る部署である。

探索者も人間なので、犯罪を犯すことがある。

つまり、そういうことだ。


本来は管理部、もしくは一般人や一般企業からの通報を受けて動き出す。

そう、本来なら犯罪者に関する通報を受けて動き出すのだ。

しかし、ここ最近【調査部】にくるのは通報ではなく、突如として現れた謎の配信者【スレ主】と【スネーク】について何か知っているんじゃないか、という問い合わせばかりであった。


「知ってたらとっくに上層部に報告してるっつーの」


管理部が知らないなら知らない、としか言えない。

まさにそこに無いなら無いですね、状態だ。


問い合わせは、一般人からのものだけではない。

上層部からもひっきりなしだ。

なんなら、さっさと調べろ、とお叱りが続いていた。

そうは言っても手がかりが無いのだ。

そう、不思議なほど、おもしろいほどに手がかりがない。


【スレ主】なる少年が初めて表舞台へと姿を現した時。

雪華を助けた時の動画に、不鮮明ではあるが【スレ主】はしっかり映っていた。

あの程度の不鮮明さであれば、現代の解析技術でなんとでも出来るはずなのだ。

けれど出来なかった。

そう、出来なかったのだ。

ならば、と今度は他ならないスレ主達が自ら投稿した動画を解析してみた。

例えば、声、喋り方、ちょっとした仕草。

それらを、今や日本中のあちこちに設置されているカメラの画像データと照合、なんなら過去十数年間のデータも引っ張り出して解析したのである。


結果はナシのつぶてというやつだ。

【スレ主】と【スネーク】はデータ上、存在していないことになった。


それならば、と異能力に頼った。

所謂、【鑑定能力】を持つ者たちに、スレ主達を鑑定して貰ったのだ。

しかし、鑑定能力者達をもってしても、なにもわからなかった。

新発見のダンジョンやアイテムが発見される度、それがどんなものか見抜くことのできる能力でも、わからなかったのである。


「全く、これこそ本当の魔法だろうがよ」


解析システム等になにか細工をされたのではないか、ということも考えられた。

けれど、その痕跡もなかった。

鑑定能力者達に、なにかしら裏があるものとも考え、身辺調査もしたが、こちらも無意味に終わっただけだった。


「そうじゃなけりゃ、本物の幽霊か??」


そう呟く調査部部長の目の前には、不鮮明なスレ主の動画のスクショと、鮮明なふざけた馬マスクのスクショが映し出されている。


「お前はいったい誰なんだ??」


スクショ画像に問いかける。

しかし、当たり前だが返答などない。


そんな中、メッセージが届く。

動画配信サイトからのお知らせだ。


【あなたがお気に入り登録しているユーザーが配信を開始しました】


そんなメッセージとともに、配信動画のURLが貼り付けてある。


「…………」


無言で、調査部の部長はそのURLを開いた。


『やぁ』


という、この正体不明配信者の、いつも通りの挨拶から動画は始まった。

その動画から視線を手元にやる。

そこには、スレ主に繋がるかもしれない資料が置いてある。


【和洋菓子店 綺羅星屋】のチラシと、その店に関する調査報告書だ。

今年で創業百年となる老舗である。


「…………」


スレ主の動画内で、モンスターの攻撃を無効化し、絶対的な防御力を見せつけた紙袋の出処である。


そんな技術力を、何故たかが菓子店が所有しているのか?


楫取家ですら、完全な攻撃の無効化と絶対的な防御力を持つ装備の開発には成功していない。

だというのに、この菓子店はその技術をもっているのだ。


「はあ」


ため息をつく横で、スレ主の動画はエグい同接数をたたき出していた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ