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《スレ主、戻ってこないなー》
《恋が起きたとこまでは、書き込みあったけどな》
《現場逃走したゴーストリーマンはどうなったんだろ?》
《そして、彼の行方を知るものはいない》
《羅生門かよwww》
《恋と話してるんだろ》
《つーか、なんでゴーストリーマン逃げたんだろ?》
《だよなー、顔見られても平気とか言ってたのにな》
《今北産業》
《メシア、趣味で掲示板実況
恋が別のダンジョンにて死亡
発見者のゴーストリーマン、逃亡》
《スレ主、久方ぶりの掲示板実況
何故か恋がバベル敷地内にて死亡
発見者リーマン逃亡》
《なるほど、わからん》
《最初から見てこい》
《(。_。(゜д゜(。_。(゜д゜ )ンダンダ》
《その方が話早い》
いつも通りの書き込みが行われる。
その時だった。
《ゴーストリーマン参上∠( ˙-˙ )/スタ》
今回、冬真に諸々押し付けて逃げやがった諸悪の根源が現れたのだ。
《えwww》
《本人??》
スレ民達も一斉に、本人かと確認する。
当人の答えは決まりきっていた。
《本人なう》
続く質問は、
《どうして逃げたんだよ??》
というものだった。
これにも、逃走ゴーストリーマンは答える。
《いやぁ、ふと冷静になってさ、めんどい事はゴメンだなって》
スレ民達は画面の向こう側で呆れるしか無かった。
《それで、逃げたと?》
《だって、スレ主の友達なら、スレ主に任せた方がいいだろ?
こんな枯れたおっさんだと、いくらダンジョン内が無法地帯とはいえ、あらぬ誤解と罪を着せられかねないし》
《あー、訴訟になっても有罪にはならんけど、あるあるなやつな》
《ましてや恋の場合、良いとこのお嬢様だしな》
《噂じゃ、今どき珍しい血筋を大事にしてる家出身と聞いたことがある》
《だろ?
その点、スレ主なら恋と知り合いだし、その実力も知られてるから安心じゃん?》
《なにがどう安心なのかはわかるよーな、わからんよーな》
スレ民達が雑談していると、今度はスレ主こと冬真が書き込んだ。
「来たぞー」
冬真が携帯端末で音声による書き込みをする横で、命を救われた恋がそれを眺めている。
傷を負った腹部は綺麗に傷も消えているが、破けた服はそのままだ。
まるで人形のように滑らかな肌が見えている。
なるべくその箇所を見ないようにして、冬真は書き込みを続行した。
ちなみに、紙袋はそのまま被っている。
《お、来たか》
《待ってた》
《恋はどうした?》
《また入口に放置プレーでもかましたか??》
「まさか。
ちょっと事情聞いてたんだよ」
《事情?》
《なんでバベルの敷地内にあるダンジョンに挑戦してたか、話してくれたの??》
スレ民のそんな書き込みを読んでから、ちらりと冬真は恋を見た。
恋の表情は暗かった。
「……まぁな」
《恋はなんでそこにいたんだ?》
「なんか、探し物をしてたみたいだ」
《探し物?》
《珍しいアイテムとか??》
「たぶん、かなり珍しいアイテムだと思う。
初めて聞くやつだ」
《なんてアイテム?》
そこでまた、冬真は恋を見た。
恋も冬真を見つめ返す。
「……賢者の書ってアイテムなんだけど。
知ってるやついるか??」
《へ?》
《え?》
《いや、え???》
《ええ??》
《待って?ちょっと待って??》
《( ;゜д)ザワ(;゜д゜;)ザワ(д゜; )》
スレ民達が戸惑う。
《あのさ、スレ主?
そのアイテムのこと、スネークから何も聞いてないの??》
《これ、話してないんじゃないのか??》
《え、待って??
もしかして、かなりややこしいことになってないか、これ??》
スレ民たちの反応に、冬真は訳が分からず首を傾げるのだった。