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【ダンジョン】人助けしたら、知らんとこでバズってた件【実況】  作者: アッサムてー
お人好し掲示板実況者と名家出身の女の子
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《それで、今日はどこのダンジョンに潜るんだ??》


さっさと実況を進めろ、とばかりにスレ民が掲示板へと書き込んだ。

その書き込みに、冬真は答える。


「バベル」


《お!》

《マジか!》

《動画の方だと、最初に投稿した動画以来じゃね?》


「まぁね」


実際、初めて投稿した十数本の動画以外ではバベルの実況はしていない。

それを待ち望む声も上がっているのは事実だ。

けれど、活動についてスケジュールを組んでいる蛇の方針もあって、バベルのダンジョン実況はしていない。


《バベルの実況すりゃあ良かったのに》

《ただでさえ毎回、動画の同接数がえぐい事になってるからなぁ》

《バベルシリーズとか銘打って実況したらいいのにな》


そんな好き勝手な感想が書かれる。

と、そこへコテハン【スネーク】が書き込みした。


《良いけど、万が一スレ民映ったら顔出し、無修正で動画投稿するぞ?

ニヤ(・∀・)ニヤ》

《あ、スネークだ》

《スレ主、メシアと動画配信してるスネークか?》

《顔出しは嫌だなぁ》

《そういや、俺たち普通にあそこで遊んでたわwww》

《放送事故起きたら、身バレまで一直線だもんな》

《えー、でも最初の動画には映ってなかったじゃん》


最初に投稿した動画への意見に、スネークが答える。


《あれは編集でカットして消したんだよ》


単純明快な答えに、スレ民達は納得した。


《あー、通りで》

《納得したわ》

《やたらカットが入ってるなぁとは思ってたけど、そういうことか》

《スレ民っぽい探索者がいないの、変だなぁとは思ってたんだ》

《そうか、編集で消してたのか》

《なるほどなるほど》


バベルにはスレ民がそれなりの人数が挑戦しているのだ。

いや、この場合は遊んでいるといった方が正確かもしれない。

だから、全くと言っていいほど他の探索者、もといスレ民が動画に映っていないのはありえないことだった。


《表向きは、絵的につまらないのとダラダラした戦闘動画を流すのは飽きられるって理由にしたけどなwww》


と、スネークは釈明した。


《ま、そうでもしないと大騒ぎにはなったか》

《カットして正解》

《あ、そういやスネークは雪華についてなにか知らないの??》

《なにかって?》

《訓練云々について》

《んー、少なくとも関わってるのが俺や知り合いの特定班じゃないのはたしかだな》

《それこそ特定班に調べてもらえばわかるのでは?》


「そこまでの時間を使いたくないなぁ」


冬真はポツリと呟いた。

携帯端末はそれを拾って、掲示板へと書き込まれる。


《たしかにwww》

《しかし、無駄話にはこうして時間使ってるの草》

《スレ主的には、なんとなく気になったレベルなんだろ》

《なんとなく気になった、にしては激おこだけどな》

《どうでもいいけど実況しろよ》


「お、そうだったそうだった。

つーても、とくに目的もない散歩探索だけどな」


スレ主の言葉が掲示板に書き込まれる。

その時だった。


《あ、あー、うーん??

これヤバいか??》


そんなスレ民の書き込みがあった。

そして、同じスレ民が続けて書き込みをした。


《なぁなぁ、スレ主?

お前、バベルにいるんだよな?》


「いや、これから向かうとこ。

今から、南にある某SSランクダンジョンに入るとこだよ」


バベルがあるのは、とある霊峰の裾野に広がる樹海の中だ。

そのあちこちに、Sランクオーバーのダンジョンが乱立している。

規制線や、三角コーン、立ち入り禁止の立て札が置かれているし、防犯カメラやスピーカーも設置されている。

無謀な探索者を見つけ次第、一度は止めるためだ。


設置されていないのは、楫取家が開発した【迷いの結界】くらいだろう。

もちろん、これにも訳がある。

楫取家による、Sランクオーバーのダンジョンの実質的な私物化を防ぐためだ。

現に、【迷いの結界】を使用しているダンジョンはその性質もだが、楫取家の私有地のような扱いとなっていた。

つまり、発見され持ち帰ってきたアイテム類は楫取家のものとなるのだ。

それはつまり表舞台に出てこないものの、魔法技術の開発などでは最先端を行っているということで。

これ以上、力をつけられると厄介なことになると危惧するもの達が、なんとかそれを阻止しようとしているのである。

だからこそ、バベルとその周囲は従来のやり方で立ち入り禁止の措置をとっていた。


しかし、これらを突破してバベル内で遊んでいる者たちがいた。

それがスレ民達である。


《なんだなんだ??》

《どしたどした??》


さて、そんな他のスレ民達から疑問の声が上がった。

その疑問に、書き込みをしたスレ民が答える。


《あのさ、万能薬持ってたらほしいんだけど。

いま、手持ちがなくてさ。

つーか、人命救助するから手伝いに来て欲しい。

自分一人でも、何とかできなくはないけど、骨が折れそうだから》

《人命救助?》

《また、人身売買の売れ残りが処分されたかね?》

《一応、保護組織の人らと連絡とっておくわ》

《子供?》


スレ民が自主的に動き始める。

同時にさらに疑問やら質問やらが飛び交った。

冬真も、おそらく自分のように処分されるか、それとも雪華のようにダンジョンに殺されるかした探索者を想像しつつ、件のスレ民の書き込みを待った。

幸いにして、万能薬諸々はそれなりの数を所持していた。

いや、彼の場合、なるべく多く所持するようにしているのだ。


《スレ主の友達、楫取恋がモンスターに殺されるとこに遭遇した》


スレ民の書き込みに、冬真は目を丸くした。

その時の感情はそのまま言葉となって滑りでた。


「……なんで??」

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