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【ダンジョン】人助けしたら、知らんとこでバズってた件【実況】  作者: アッサムてー
人がいい掲示板実況者の話
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あっという間に、冬真達は一階層を攻略した。

SNSのトレンドワードはというと、動画開始前から戦闘開始直後は【レンフィールド】、【呪いのダンジョン】、【メシア】、【配信開始】だったのだが。

戦闘開始直後は、前述した通り【引っ込めBBA】、【あざといポーズが許されるのは10代まで】、【恋映せ】、【雪華を映せ】、【BBAにも需要がある、それがわからんのか童貞ども】、【BBAと熟女は似て非なるものだろ】という一部誹謗中傷のトレンドワードが並ぶこととなった。

そして、冬真による生い立ちが語られると、【違法ポーション】、【ぬるま湯の中で生きてきた連中】、【世間知らず】、【ダンジョン遺棄】という、ワードが並びいつも通りの混沌となっていた。

そこに、とあるトレンドワードが上位へと駆け上がっていく。


それは【影のモンスター】というワードである。

一階層では姿かたちすら無かったのだ。

視聴者達のコメントも、


《影のモンスター、出なかったね》

《影のモンスターさん、マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン》

《精神異常、(ノシ'ω')ノシはよはよ》

《かわいい女の子が虫を食べるとこ見たいんか、おまいら》

《メシアが食べる可能性ェ》


というもので、【影のモンスター】の登場と、それを倒すところより、むしろモンスターからの反撃を期待するかのようなコメントが多かった。


《つーことは、二階層以降かな?》

《かなぁ??》

《かわいい女の子が虫を食べるところというより、こう敗北からのエチエチグロ光景が観たいというか》

《特殊性癖持ちは帰ってくれ》

《グロはともかく、エチエチは無いと思う》

《いや、グロいので興奮するやつはするんやで》

《それはそうと、精神に異常を来すモンスターがいるとして、使ってるの精神支配系か?》

《話聞く限りそれっぽいが》

《ミーム汚染とは違うのかね?》

《どうなんだろ??》

《ミーム汚染は大枠で情報災害に分類される》

《でも、スネークの説明や調べた限りだと、影のモンスターに遭遇しても必ず、異常な行動をとるわけじゃないらしいから》

《ここから考えると、精神支配系の技をくらってる可用性が高い》

《そういや、精神に異常をきたした場合って、元に戻るの?》

《病院送りになって、基本そのまま一生入院生活っぽい》

《うへぇ》

《回復したやつおらんの?》

《どうなんだろ?》

《少なくとも退院したって話は、掘っても出てこない》


そんなコメントが続く中、冬真達は二階層へと続く階段をのぼる。


《しっかし、探索者の存在は金のかからないダンジョンの監視役だろ》

《そのダンジョンに基本立ち入れない処理をするって( ̄▽ ̄;)》

《ほんと、矛盾だよなぁ》

《でも、どうやってメシア達はダンジョンに入ったんだ??》

《つーか恋と雪華にもルール破ってること教えてやれよ》


階段を登りつつ、コメントをチェックしていた雪華が首を傾げる。


「ルール??」


「ここに入るのには特別な許可が必要なんですよ」


雪華の横から、そんな事も知らないのか、と言いたげに恋が呟いた。


「あ、そうなんだ」


《おや?》

《雪華たん、意外と冷静》

《場合によっちゃ、資格剥奪もありうるのに……》


「そういうダンジョンがある、とは話に聞いてたから。

ここがそうなんだ」


《いや、冷静過ぎでしょ》

《資格剥奪の可能性あるって知ったら取り乱すとばかり》


「結果を出せば、それが考慮されて多少のルール無視は許容されるから」


雪華は言いつつ、ちらりと恋を見た。

恋も本来のルールを破った上でSランクダンジョンに挑み、そして史上最年少で攻略したのである。


《あ、たしかに》

《ルールをガチガチに固めて守ってる連中より、結果は出しやすいからなぁ》

《その代わり、ズルだなんだと言われるけどな》

《卑怯だのズルだの改竄だのは、結果を出せば絶対言う人いるからねー》

《嫉妬から来てるんだろうが》


二階層へとたどり着く。

そのタイミングで、冬真が言った。


「嫉妬って言えばアレだ。

俺のアンチスレ建ってて笑った。

検索したらアンチ動画もあったなぁ。

バベル攻略は真っ赤な嘘ってことで、こことここで動画の編集が行われてるとかそういう検証動画がたくさん投稿されてた」


その瞬間、大多数のコメントの書き込みが無くなった。

冬真ことメシアの過去動画は、その功績から賞賛されこそすれアンチスレが建つことは予想外のもの達が視聴者には多かったのである。


《マジかよww》

《メシア、メンタル強くね?》

《強いよな》

《少なくとも、自分のアンチスレとアンチ動画見たってことだよな》

《有名税だろ》

《有名税にしても、やり過ぎなのは過去の探索者アンチ動画でも見受けられる》

《アンチスレやアンチ動画が原因で探索者を引退したひと結構いるからなぁ》

《ほんとに怖いのは、モンスターかスタンピードかはたまた同族の人間か》

《そんで、アンチ対策なにかしたの??》


「いや、別に」


《対策なし?》


「対策したところで、ほとんど意味ないからねぇ。

辞めないよ、ああいうのは辞められない。

だって下手するとダンジョン実況より視聴回数稼げるからね」


これは雪華の言葉である。

続いて、蛇の声が入る。


「悪口って、めっちゃ金になるからなぁ。

それも、


嘘を見抜いてやったぜ!


みたいなのは、ガチで視聴回数えぐいから」


「一番は無視。

黙ってブロックが基本」


雪華は断言した。

彼女にもアンチは存在する。

アンチによるコメントに、彼女の投稿した探索実況動画の検証動画もある。

けど、相手にしない。

これが一番なのだ。


「それにしても、噂の【影のモンスター】はいつ出るんでしょうか」


恋が二階層をキョロキョロと見回しながら呟いた。

その時だ。

彼女の視線の端に、何か動くものがあった。


「?」


戦闘体勢にはいりつつ、その動くものの方を見た。

それが真っ黒な何かだと認識する。

瞬間、


「?!」


その真っ黒な何かが襲いかかってきた。

よくよく見ると、それは見知った形をしていた。

恋の影だった。

影、というには語弊がある。

目、鼻、口はない真っ黒なのっぺらぼうだ。

マネキンを黒く塗りつぶした物にもみえた。

それが恋の姿形をとって襲いかかってきたのだ。

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