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【ダンジョン】人助けしたら、知らんとこでバズってた件【実況】  作者: アッサムてー
人がいい掲示板実況者の話
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つかつかと、雪華が冬真へ歩み寄る。

しかし、それに待ったをかける人物がいた。

恋である。


「最初に、ここに来たのは私です」


「はあ?!」


「順番は守ってください。

貴方は私のつぎに来ました。

つまり二番目です。遅かったから二番目なんです。

私が先です」


「いってくれるじゃないの。

Sランクダンジョンを攻略して持て囃されてるからって、調子のるなよな」


美少女二人の言い争いが始まる。

冬真と雪華の動画を視聴している者たちのコメントも、別の意味で盛り上がっていく。


《修羅場だwww》

《なに、この修羅場www》

《盛りあがってきたぜ!》

《修羅場を見ながら飲む炭酸ジュースはぷまい》

《修羅場!修羅場!( ゜∀゜)o彡°》

《怖い怖い怖い》

《いいぞー!》

《キャットファイトになんねーかな》

《やめて!スレ主のために争わないで!!》

《Wwwwww》

《若手探索者だと、雪華も恋もかなり強いからなぁ》

《この二人がぶつかるってなると、ヤバくね?》

《ヤバいな》

《SNSのトレンドワード草》

《え、トレンドワードおもしろいことになってるの??》

《いいから見てこい》

《その方がはやい》


それぞれの動画の同時接続数もヤバい事になっている。

雪華ちゃんねるは、初の同時接続数一千万人を超えていた。

しかし、冬真の動画の方はそれを遥かに凌ぐ同時接続数をたたき出している。

五億人はゆうに越えて、もうすぐ十億人を記録するところだ。

コメントで話題になっているSNSのトレンドワードは、1位が【ド修羅場】、2位が【ダイナミックお邪魔します】となっている。

その後に、【馬と蛇】、【スレ主】、【ストーカー】、【雪華が二番目】などがトレンドワードとなっている。

しかし、ここにとあるワードが追い上げを見せ始めた。

それは、【修羅場実況】である。

なぜ、こんなワードがトレンド入りしたかと言うと、雪華と恋のやりとりを面白がった蛇が、スポーツ観戦の実況のようなことを始めたからであった。


「スレ主を巡っての美少女同士の対決。

はてさて、先にスレ主とコラボ企画を進めることができるのはどちらか?

スレ主的にはどっちとお仕事したいですか?」


質問を振られた冬真の答えはというと、


「……もう帰りたいです」


答えになっていない答えだった。

その声には心底うんざりした色があった。


「たしかに、そろそろこのダンジョンを出ないと終電もだけど、未成年のスレ主は補導されかねない時間となってしまいます」


《そういや、スレ主未成年だったwww》

《条例的にはそろそろアウトの時間やな》

《雪華と恋は、18歳過ぎてるから一応美少女だけど成人扱いなんよね》

《つーか、雪華たん病み上がりなんだからまだ動かない方がいいのでは》

《何言ってんだよ、死亡率高い職業トップ入りの探索者やぞこいつら》

《ぶっちゃけ、いつ死んでも不思議じゃない職業だもんなー》

《俺、この前、別の動画ちゃんねる見てたらその配信者が配信中に死んだの見たぞ》

《よくあるよくある》

《あ!魔法合戦はじまった!》


「次世代を担う、若き才能の二人がぶつかりました!!」


ついに、雪華と恋の戦いの火蓋が切られてしまった。


《いや、こうなる前に止めろよ》

《いっそのこと、雪華、恋、スレ主達の四人でコラボ企画やればいいのでは?》

《まぁ、二人が共倒れしても万能薬あるから死者はでないはず》

《ましてや、メシアは甦らせる秘薬も持ってるしな》

《倫理観狂うよなー》

《(*´・ω・)(・ω・`*)ナ-》

《それな( ̄▽ ̄;)》


そんなコメントに気づいた蛇が、視聴者達へ言う。


「ダンジョンが現れて、さらにゴールドラッシュの時代が過ぎて、たくさん探索者が生まれた。

でも、そのダンジョン探索の歴史は基本【死】に彩られてるだろ。

その【死】が娯楽になってるのに、今更倫理観とかいっちゃうわけ??」


《まあなー》

《それは言えてるwww》

《ダンジョンの出現で、世界中が狂ったとは、昔はよく言われてたらしいもんな》

《慣れって怖いねー》

《(・ω・`*)ネー》

《そりゃ、推し配信者が死ねば悲しいけど。逆に言えば悲しいだけでしかないしな》

《それな》

《わかる》

《だって、自分が死ぬわけじゃないし》

《救命士や医療従事者に謝れ、クソ共》


それはそうと、雪華と恋の力は拮抗していた。

つまり、決着がつかないのだ。


「よし、そろそろ止めるか!」


蛇としても頃合だと考えたらしい。


「止めるって、どうやって??」


冬真の疑問も尤もだ。

蛇は、楽しそうにパンパンと手を叩いた。

すると戦っていた雪華と恋の周囲に魔法陣が展開する。

その魔法陣から光る縄が現れ、二人を拘束してしまった。


「こうやって♡」


その映像が、ドローンを通して世界中に配信される。

一瞬だけ、驚きで視聴者達の動画への書き込みが止まるほどだった。

それだけのインパクトがその映像にはあった。


「お見事」


冬真が素直に賞賛する。

それを受けて蛇が返す。


「俺を誰だと思ってんだよ」


その声は、弾んでいた。

一方、雪華と恋は視聴者たち以上に驚き、言葉を失っていた。


「はは、大人しくなっちゃってまぁ」


楽しそうな蛇を、雪華と恋は恐怖に満ちた目で見る。

化け物を見るような目で、見る。


「……あなた、一体何者ですか?」


「あんた、何者??

ただの馬野郎の鞄持ちかなんかだと思ってたけど、違うわね?」


《おいおいおい、魔法で拘束しやがった》

《対象者を傷つけることなく、拘束とか出来るのかよ、初めてみた》

《普通はできない》

《魔力の調整が難しすぎるから、普通はできないはずだぞ》

《どんなに才能あるやつでも、同じことすれば対象者が細切れか輪切りになる》


メシアに続いて、アレは誰だ案件が再び巻き起こるには十分過ぎる光景である。

事実、また各国からの鬼のような問い合わせがはじまった。


「俺が誰か、なんてつまんないこと聞くんだなぁ。

お前ら、面白い奴らかと思ったのに意外とつまんないんだな」


二人の顔が歪む。

怒りで、歪む。


「まぁ、とりあえずちったぁ頭が冷えたみたいだな」


そこで、蛇が冬真をみた。

冬真を見て、頷いてみせる。

何かの合図のようだ。

直後、冬真がドローンに向かって話し始めた。


「じゃあ、終電諸々があるので今回の動画はここまで。

今後の企画、活動にかんしては、SNSか別で動画を上げるのでそちらをご覧下さい。

ご視聴、ありがとうございました!」


冬真の動画を観ていたもの達の悲痛な叫びが、弾幕となって流れていく。


《え、えええええ??!!》

《工エエェェ(´д`)ェェエエ工》

《ここで?!》

《ここで終わり?!》

《ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!??》

《おぃいいいいい!!??》

《中途半端すぎるだろ!?》

《お預けかぁ(´・ω・`)》

《ふざけんなよ、おぃいいいい!!??》

《乙》

《88888888》

《88888》

《次の配信まってる88888》

《!!!( ゜д゜)ハッ!!!!雪華の方の、動画見ればいいんだ!!》

《雪華の方もダメだ》

《またドローン壊されたっぽいぞ》

《ドローン:解せぬ》

《さすがに、スレ主はドローンを弁償したほう良くないか》

《(σ・ω・)σそれな》

《888888》

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