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午後六時ジャストに、その生配信は始まった。
予告通りに、始まった。
「やぁ。
スレ主だ。
それじゃ、初生配信やってくのでよろしくお願いします」
すでにお決まりとなった挨拶。
コメントもその挨拶で埋まる。
《やぁ》
《やぁ》
《待ってた》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《見れたーヾ(●´∇`●)ノ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《微妙に重いな》
《あ、ほんとに生配信やってる》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《投げ銭システム解放してほしい》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《どこのダンジョンを実況するんだろ》
《wktk》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
「今日は、探索者連盟のクエストをこなしつつコメントでも読んでいく予定」
《やぁ》
《え??》
「あ、投げ銭は今回の動画では無し。
次の生配信からやろうと考えてる」
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《メシアって、探索者として登録されてないんじゃないの??》
《登録してない、されてない奴が探索者連盟のクエスト受けられるの?》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《言われてみれば、たしかに》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《だよな、顔の画像検索かけたのにメシアのこと探せなかったし》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
「あー、なるほど
じゃあ、まずはクエストから答えていこうかな」
《どこのダンジョンいるのか教えて》
《Sランクダンジョン??》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《【やぁ】がウザすぎ》
《言ってやるなよ、挨拶されたら返すのがマナーだろ》
「順番な、順番。
まず、探索者として正式登録されていない奴が、探索者連盟のクエストを受けられるのかって質問な。
裏技がいくつかある。
別に犯罪でもなんでもない方法だ」
《へぇ、そんな方法があるのか》
《どんな方法なんだろ》
「知り合いがクエスト受注して、俺が代わりにやるんだよ」
《ただの代行業www》
《代行やんけwww》
《ブラックの探索派遣会社がやる手口www》
《その知り合いが中抜きするんだなwww》
ある意味、辛辣なコメントが流れる。
その時だ。
「失敬な、ちゃんとしてるっつーの」
冬真のものでは無い声が、動画の中で響いた。
それは、女性の声だった。
《ん?》
《お?》
《メシア、声変わりした??》
コメントがザワつく。
冬真が説明する。
「あー、今の声の奴が知り合いで、今回のクエストを表向き受けてくれた人だ」
《え、でも、姿が見えない》
《ザワ……ザワ……》
《( ;゜д)ザワ(;゜д゜;)ザワ(д゜; )》
「あと、俺のマネージャーみたいなことしてくれる人。
そんでもって、前の動画を編集して投稿してくれた人だ」
さらにコメントがザワつく。
《( ・_・)(・_・)(・_・ )ザワザワ》
《( ; ゜д)ザワ(;゜д゜;)ザワ(д゜; )》
《ザワ( ;゜д)ザワ(;゜д゜;)ザワ(д゜; )》
《ざわ...ざわ...》
《(((( ;`ω´)))(`ω´;((`ω´; )))ザワザワ》
《ザワ……ザワ……》
流れていくコメントのざわつき具合に、冬真は苦笑する。
「ざわつき過ぎだろ」
《いや、ザワつくだろ》
《協力者がいる、とは思っていたが、まさか女性とは思わなかったから》
《協力者は、なんで姿映さないんだよ?》
《顔見せてー》
《そうだそうだ!!メシアの協力者の顔、見たいんだぞ!!(ノシ 'ω')ノシ バンバン》
今度は女性の声が答える。
「えー、俺の顔??」
そう言いながら映し出されたのは、ヘビの被り物をした協力者の姿だった。
コメントが草だらけになる。
《Wwwww》
《wwww》
《馬の仲間はヘビだったか》
《恐怖!!トカゲ人間現る!!》
《クwwwッソwww》
《wwwwwwwww》
《www》
《姿が痛すぎワロタ》
《wwwwwwwww》
《wwwwwwwww》
《草生える》
《雑草だらけやんwww》