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【ダンジョン】人助けしたら、知らんとこでバズってた件【実況】  作者: アッサムてー
人がいい掲示板実況者の話
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その後も、さらに二つの動画が投稿された。

しかし、やっていることはほぼ同じだったので、カットが入りまくりの編集となっていた。

それでも視聴者からほとんどクレームがつかなかったのは、それが初めて見るSSSSSランクダンジョンの階層の映像であったためだ。

さらにその十分程度の動画が、探索者達を統括している組織、【探索者連盟】ですら把握していなかった情報の宝庫でもあったのだ。

海外にも、SSSSSランクダンジョンは存在する。

しかし、やはりバベルと同じく片手で数えられる程度の階層しか攻略されていないのが実情であった。

それより上、あるいは深い階層へ潜る者もいなくはなかったが、皆帰って来なかったのである。

それがここに来て、五階層より先へ行く者が現れた。

しかも、動画でその様子を撮影し投稿しているのだ。


動画が投稿されているサイトの運営へも、ひっきりなしに問い合わせが来ていた。

問い合わせの内容は、


【あの動画の投稿主について情報を寄越せ】


というものだった。

しかし、それはコンプライアンス的に出来ない相談である。

潜っている場所こそSSSSSランクダンジョンだが、その内容はただの実況動画だ。

ありふれた、どこにでもある探索者によるダンジョンの実況動画に過ぎないのだ。

それだけでは、運営はユーザーの情報を渡すことなどできるはずも無い。


そんな中、最後の動画が投稿された。

いよいよボス戦である。


「やぁ」


すでにお決まりとなった挨拶。

視聴者達が、その挨拶を真似し弾幕となる。


《やぁ》

《やぁ》

《やぁ》

《やぁ》

《やぁ》

《やぁ》

《やぁ》

《やぁ》

《やぁ》

《うぽつ》

《うぽつ》

《やぁ》

《うp乙》

《うぽつ》

《やぁ》

《うp乙》

《やぁ》

《やぁ》

《まってた》

《やぁ》

《トレンドワードの震源地www》

《やぁ》

《やぁ》

《やぁ》

《うぽつ》

《SNSのトレンドワード群よwww》

《うp乙》

《やぁ》

《やぁ》

《やぁ》

《トレンドワードの一位が何故か【ゴキブリ】で草》

《ゴキブリにならんでドラゴンがトレンドワード二位なの、バグだろ》

《一匹=三十匹、もトレンド入りしてて草》


流れていくコメントにもあるように、様々なSNSで何故か【ゴキブリ】がトレンドワード一位となっていた。

二位が【ドラゴン】、三位が【やぁ】となっていた。

それより下の順位になると多少前後するものの、【SSSSSランクダンジョン】、【バベル攻略】、【ダンジョン実況】、【メシア】、【前人未踏】、【馬】、【攻略バカ四天王】、【ダンジョン探索バカ十二神将】、【一匹=三十匹】といったワードが並んでいた。

どうやら、【ニンジャゴブリン】はランク外になったらしい。


「それじゃ、当初の目的十階層のボス討伐やってくぞー」


のんびりと冬真がそんなことを言った。

直後、ドローンが映し出したのは大きな扉だった。


「ここ、ボス部屋な。

バベルだと十階ごとにボスがいる。

エリアボスってやつだな」


《うぽつ》

《うp乙》

《wktk》

《キタ━━( ゜∀゜ )━( ゜∀)━(  ゜)━(  )━(゜  )━(∀゜ )━( ゜∀゜ )━━!!!!》

《やぁ》

《へぇ、そうなんだ》

《ダンジョンって、微妙にゲーム仕様っぽくなってるよな》

《倒したハズのボスモンスターが、いつの間にか復活してるもんな》

《ほかのダンジョンだと、中層or深層ってざっくりした区分でしか出現しないけど、バベルは固定なのか》


視聴者のコメントを補足するように、動画の中の冬真が説明する。


「他のダンジョンだと、例えば十階層から二十階層が中層だった場合、そのどこかにランダムにいる、出現するって感じだけど。

ここ、バベルは百階層までは十階層ごとにボス部屋が設置されてて、そこにボスモンスターがいる。

それ以降は百階層毎にボス部屋がある」


《へぇ、そうなんだぁ》

《ん?》

《んんん??》

《待って待って待って??》

《ザワザワ》

《この口振り、まさか……》


コメントがざわめき出す。


「まぁ、実況できる人が居るかもだからこれも情報提供しとく。

ここ、全部で千階層あるから」


冬真の説明が示すモノ。

それに気づかない者は、視聴者にはいなかった。


《おいおいおい》

《Σ\(゜Д゜;)オイオイオイオイ》

《マジかよ……》

《メシアのやつ、バベル攻略したことあんのか?!》


一気にコメントと視聴者、つまり同時接続数が増えた。

増えすぎた。

そのため、悲劇が起こってしまう。

動画のサーバーが落ちたのだ。

メンテナンスとなってしまった。

各地リアルで悲痛な叫びが上がる。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!??

鯖落ちした?!」


「ここで?!」


「マジかよ……」


「続きがぁぁぁあ!!」


「いやぁぁぁあア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」


「メンテナンスぅぅうううう!!!!」


冬真はそんな声が上がってるとは思いもよらなかった。

なぜなら、彼はいつも通り掲示板実況をしていたからだ。


《おwwwいwwwスレ主www》

《騒ぎになっとるぞwww》


「騒ぎ?」


《動画投稿しただろ?》


「あぁ、うん。

つーても編集して投稿したのは、知り合いのスレ民だけど。

それが?」


冬真はただ用意されたドローンを使って、言われるまま撮影を行っただけだ。

あとはスレ民にデータを渡しただけである。

というか、投稿日は今日だったのかと今気づいた。


《その動画のせいで、サイトのサーバーが落ちたぞwww》


「……へ????」


寝耳に水な話に、冬真はそんな声を漏らした。

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