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「六階層から十階層は、こんな感じで平原のフィールドになってる」
冬真の言葉とともに、撮影用ドローンが果てしない平原を映し出す。
青空、白い雲、風にそよぐ草花の光景がそこにあった。
《おおおおお》
《おおおおお!!》
《おお!!》
《ここが、六階層か!》
《はぇー、六階層ってこんな感じなんだ》
《うぽつ》
《うp乙》
《おつ》
《うぽつ》
《うぽつ》
《うぽつ》
《うぽつ》
《はじまてた》
《888888》
《wktk》
《って、およ?》
《なんか、動画が重い???》
《やべぇwww負荷かかり過ぎとるwww》
《鯖落ちするのが先か、動画を見終わるのが先かwww》
今のところ、冬真の動画が投稿されているのはこのサイトのみである。
つまり、他の場所ではまだ見られない。
切り抜きや転載動画はあるものの、最新の動画であるこの五本目はまだどこにも投稿されていない。
それもあって、想定以上の同時接続数を記録した瞬間だった。
「ここからは、他のダンジョンとそう変わらないかな。
違うのは空間が歪んでて、だだっ広いことと……」
冬真が説明していると、そこに影がさした。
《なんか、暗くね?》
《ザワ……ザワ……》
《ザワ……ザワ……》
《ザワザワ》
《ざわ》
ドローンのカメラが、影の主を捉え映し出す。
《((( ;゜Д゜))エッ!?》
《:(´◦ω◦`):ガクブル》
《!?》
《!?》
《( ゜д゜)》
《!?》
《!?》
《( ゜д゜)》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《!?》
《Σ(・ω・ノ)ノ》
《!?》
《!?》
《(((;゜ρ゜)))アワワワワ》
《ガクガクガクガク (((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル》
《うぽつ》
《うp乙》
《??!!》
《!!??》
《!!!!》
《うぽつ》
《うぽつ》
《!?》
《!?》
《!?》
《??!!》
《!!??》
《!!!!》
映し出されたのは、ドラゴンだった。
今度は感嘆符の弾幕で画面が埋まる。
洋の東西でデザインこそ違うものの、誰しもが知るモンスターである。
――グゥルルルル――
ドラゴンが、冬真を睨みつけ唸る。
威嚇しているのだ。
しかし、冬真はこのダンジョンにはよく潜っている常連なので、ビビることなく淡々としている。
「基本的にほかのダンジョンだと、ラスボスになるドラゴンがポコポコ出てくることかな」
《ポコポコ出てくるとか》
《キノコみたいに言わないでwww》
「一匹見つけたら、三十匹は近くに居るとみていい」
《ゴキブリか!!》
《ドラゴンの扱い、ゴキブリで草》
《ゴキブリかよwww》
《ドラゴンは、ゴキブリだった??》
《しかも、よく見りゃAランクダンジョンにしかいない奴やんけ》
《いや、ゴキブリは1匹いたら100匹いる、だろ30匹ではないぞ》
そんなコメントが続く。
その時だ。
ズンっ!
ズンズンっ!!
ズズンっ!!!!
と空から巨体が次々と降ってくる。
《!?》
《!?》
《!?》
《??!!》
《!!??》
《!!!!》
《!!!!》
《??!!》
《!!??》
《!?》
《!?》
《!!??》
《!!!!》
《!!!!》
《??!!》
《ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!??》
《なにこれなにこれ?!?》
それは何匹ものドラゴンだった。
文字通り、空から降ってきたのである。
そして、冬真を取り囲んだ。
「一定時間同じ場所にいると、やっぱり取り囲まれて袋叩きにされるんだよなぁ」
《ひぃふぅみぃ、五匹、か》
《えーと、一匹見つけると30匹はいるってことだから……》
《5×30=150》
《わァ~…》
《oh(´・ω・`)...》
《イヤァァァア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!》
《ぉぉおおおおお!!??》
《わぁぁぁぁああああ!!!???》
《死ぬだろ、これ》
《落ち着けよ》
《少なくとも、動画を編集、投稿してんだ無事だったんだろ》
《いやそうだけど、そうじゃなくてさ!!》
またもコメントで画面が埋まる。
その向こうで、冬真はゆっくりと剣を抜き、構えた。
そして、
「ていっ!!」
そんな声とともに、剣を一閃する。
直後、ドラゴンの首が落ちた。
「人数いればなぁ、短時間で素材回収できるんだけどなぁ。
まぁ、今回は無しだ。
今回の目的は、十階層のボス討伐だから」
なんて言って、冬真は自分が倒したドラゴンはそのままに歩き出した。
《おおおおおおおおお!!》
《おお》
《おおおおお》
《スゲー》
《おおおおお》
《おおおおお》
《おおおおお》
《おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお》
《おおお》
《ヤベェ》
《SUGEEEEEEE》
こんな感じで動画ではカットを挟みつつ、六階層を攻略し終えたのであった。
「よし、そろそろ十分だから。一旦終わり。
また後で」
《888888》
《888888》
《またあとで!》
《うわぁ、やべぇ》
《ここまで見たけど、鳥肌やべぇ》
《88888》
《次が楽しみ》
《それな》
《88888》