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二時間後。
二つ目の動画が投稿された。
「やぁ」
そんな緩い挨拶から動画は始まった。
《一コメ》
《キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《やぁ》
《wktk》
《キタキタ!》
《乙》
「じゃあ、続きやっていく。
どのダンジョンでもそうだけど、次の階層に行く場合は基本的に階段を使う。
まぁ、上に昇るか下にくだるかはダンジョンごとに違うけど。
ここは塔だから、上に行くことになる」
そうして映し出されたのは、デパートとかでも見る規模の階段だった。 階段をのぼって、二階層へ向かう。
「まぁ、ここでもこんな感じでモンスターに囲まれるから」
言いつつ、冬真が剣を振るう。
気持ちいいくらいスパッと一瞬で、取り囲んでいたモンスターの首が落ちた。
「こうやって倒す。
広範囲攻撃とか使えるやつがいたら、サクサク進めるから。
もしも挑戦するやつがいるなら、覚えておくか、そういう奴を仲間に加えとけよ。
あと挑戦は自己責任な」
《う、うす》
《お、おぅ》
《oh......》
《説明不足だな》
《広範囲攻撃できて、なおかつ即死攻撃できる奴じゃねーとキツイだろ》
《キツイっつーか、死ぬ》
《硬いからなぁ》
《防御力がバカ高いモンスターしかおらん》
《普通に死ぬ》
《バベルにたどり着く前に、普通の探索者は死ぬんだよ……》
コメントが流れていく間にも、動画は進む。
そして、あっという間に二階層を攻略する。
《おい、これまさか、ここまでカット無しか?》
《してないな》
《素材集めもしてないから、サクサク進んでくな》
《素材集めるとこもやってほしい》
《潜るのだけ、みたいだからな》
「三階層も入口付近の初見殺しが多いんだよなぁ。
よっと!」
冬真が言った瞬間に、横から巨大な斧が横向きに襲ってきた。
冬真はそれを、しゃがんでかわす。
《おおおおおお?!》
《ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛》
《なになに、この罠?!》
《罠じゃねぇ!!》
《え、サイクロプス?!》
《なんで?!》
《サイクロプスが持ってるのは、棍棒じゃねーのかよ??》
「三階層もこんな感じで、足踏み入れた時点で探索者の首を落としに来るから。
慣れとスピードが大切なんだよなぁ」
《あの、貴方、慣れるまでどれ位かかったんwww》
《神回避》
「油断してると」
言いながら冬真は、
――トンっ――
ジャンプした。
すると、今まで彼がいた場所へ巨大な手裏剣が飛んできてぶっ刺さる。
ザシュッ!!
ザシュザシュっ!!
それも一つではない、四つだ。
《今度は、なになになに?!?!》
《ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!?》
《おおおおおお!!??》
《いぁぁあああああ??!!》
ただの叫びのコメントが弾幕となって、画面を埋め尽くす。
視聴者達の驚きと叫びと恐怖で、画面が見えなくなる。
「さて、問題です。
これを投げてきたモンスターは、どのモンスターでしょうか?
ヒント、SSSSSランク以外にもいるモンスターです。
ってところで、そろそろ十分経過したから、答えは次の動画で。
そんじゃ、またあとで」
《待てぇぇええええ!!》
《ここで?!》
《ご無体な!!》
《うあああ!!ガチで動画ここで終わりじゃん!?》
《鬼畜か、このメシア?!》
《ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛》
《うそだろぉぉおおおお!!??》
やけに弾幕の多い動画となりつつあるが、視聴者の誰も気にしていなかった。