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同時多発的に行われた、スレ民たちによる生配信。
それによって、SNSのトレンドワード1位に躍り出たのは、【レイド戦】であった。
続いて【屍の山】、【樹海】が続く。
激戦を繰り広げる、スレ民達も首をかしげている。
「おいおいおいおい、この前の奴はこんなに強かったか??」
「強かったけど、普通の魔族としての強さだったな」
「というか、今回のは普段のキールの強さではないとおもうんだけど」
そんな会話が交わされる。
そこに、キールが攻撃魔法を打ち込んでくる。
それらをヒョイヒョイと躱し、何人かが武器を叩きつけるように振るう。
キールもそれを軽く躱してしまう。
「当たらん。
いつもならこれでぶん殴れるのに」
一人がそんな毒を吐いた瞬間。
腹に穴が空いて、内臓がぶちまけられ倒れる。
そこに【タナトスの秘薬】が、なみなみと注がれたバケツがドローンによって運ばれぶちまけられる。
そのドローンを操作しているのは、
「うん、まぁまぁかしら?」
無理を言ってこの場に連れてきて貰った老女である。
自分も何かしら、戦闘に参加したいという無茶ぶりを聞いた結果、このような形での参戦となっている。
当の本人の近くには護衛兼ドローンの操作説明役として、スネークことリオがいる。
「上手いな」
「そう?」
老女は嬉しそうだ。
老女は手際よくドローンを操作し、予め用意しておいた秘薬を運んで死者を蘇生していく。
屍の山から死者が蘇り、ひっきりなしにキールへと突撃する。
それでも、キールは倒れない。
殺されない。
そして、キールはどこかへ向かおうとしていた。
おそらく街へ。
人の住む場所へ。
それをなんとか阻止しようと、雪華が風の魔法で吹っ飛ばす。
キールは老女とリオのいる方へ吹っ飛んできた。
「あ、まずいな」
リオが滑らかな動きで老女を抱え上げ、その場から離れる。
一瞬で、二人はキールと距離をとる。
しかし、キールが老女に気づいた。
キールの動きが一瞬、止まる。
その場の誰も気づけなかったが、キールの瞳には老女の若かりし日の姿が映っていた。
キールの姿が消えた。
動きが、さらに一段階あがったのだ。
気づいた時には、老女を抱えたリオの眼前にキールの姿があった。
「チッ」
舌打ちして、リオは老女を抱えたまま逃げる。
キールはそれを追おうとする。
そこに、
「【魔滅の剣】!!」
冬真が追いついてキールに攻撃を叩き込む。
しかし、ヒラリと避けられてしまった。
キールは冬真を蹴り飛ばす。
体の中で、骨と内臓がグチャグチャになる。
「っ……かはっ」
血を吐き出す。
そんな彼へ、雪華が持参していた【タナトスの秘薬】をぶっかける。
「さんきゅー」
「お礼はいいから。
どうすんの、アレ?」
「お前の、その目の魔法でなんとかならんの??」
「この位置だと、あのおばあさんを巻き込む。
それに、今のキールだと逃げられたら終わり。
魔力をごっそり持っていかれるのよ。
だから攻撃を外したら、私は足手まといになる」
「じゃ、最後の手段か」
冬真と雪華、2人の視線の先ではキールがリオと老女を追いかけ回している。
そんなキールへ、他の者たちが総攻撃をかけている。
攻撃は当たったり避けられたりである。
と、そこで雪華がなんとはなしに浮かんだ考えを口にした。
「攻略本にはなにか書かれてないの?」
「え?」
冬真が雪華を見る。
たまたま、その近くを走り抜けたスレ民の何人かもその言葉に立ち止まる。
「いや、強すぎる敵がいて倒せない。
でも、あんた達には【夢幻絵巻】っていう攻略本がある。
なら、それ確認してみたら?
って話なんだけど。
載ってるでしょ、情報。
それを確認した上での、この企画なのよね?」
一瞬の間。
「「「「それだぁぁぁぁあ!!!!!!」」」」
続いたのは、ある種間抜けな強者達の叫びであった。
そう、誰も、攻略本を確認していなかったのである!!




