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【ダンジョン】人助けしたら、知らんとこでバズってた件【実況】  作者: アッサムてー
伝説リアタイ世代と、掲示板実況者達

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109/121

すでに色んなことが恒例化した配信実況が始まった。

今回は、1番人気のバベル攻略配信である。


《配信はじまてた》

《乙~》

《おつおつ》

《メシアの配信だぁwww》

《相変わらず、捕まらず配信やってんのか》


《???捕まらず?とは??》


《←ほら、楫取恋のゴタゴタあったじゃん?》

《魔族関連よ魔族関連》

《国の内外問わず、有名企業がメシアとスネーク囲いこもうとしてんのよ》

《あと、あの時映ってたスレ民もな》


《なぜに??》


《バベルクラスに挑戦して帰って来れてる&魔族のこと知ってるから》

《企業お抱えの探索者だと歯が立たないみたいでなぁ》

《最近、あちこちの企業で探索者の募集かけてる》

《戻って来れない奴多発してるらしいな》

《せめて、スレ民だけでも囲いたいんだろうが、如何せん情報不足でな》


《画像解析すりゃ一発だろ》


《それがそうもいかんのよ》


《なんで??》


《画像検索&解析した途端、その痕跡が消されるの》


《まじかー( ゜д゜)》


《どこぞの政府とかそういう組織が関与してんじゃないかって話まで出てんだぞ》

《(*´・д`)-д-)))ソゥソゥ》

《メシアもスネークも、画像だけじゃなく音声で探そうとしてもその端から、削除されるっていうな》


《そういえば、どこにも痕跡のこってないんだってな》

《もっと言うと、メシアやスネークは存在してないことになるとかって話なら聞いたことある》

《あれ、ガチだったんだ》


《(*´・д`)-д-)))ソゥソゥ》

《ガチよガチ》

《存在がお化けとかツチノコなんよ》


攻略配信の途中であるが、さすがにコメントに答えざるを得なくなる。


「誰がお化けだ、ツチノコだ」


《オメーらだよwww》

《スレ主のことだよ》

《メシアのことだなwww》

《鏡って知ってるか?》

《つ【鏡】》

《でも、よく逃げおおせてるよねー。どうやってんの??》


と、今度はメシア(冬真)ではなく、スネークが答える。


「頑張ってる」


なんならサムズアップしてくる。


《頑張っただけで、逃げおおせるとかwww》

《普通はできないからwww》

《企業に情報提供くらいしてやれよwww》

《(*´・д`)-д-)))ソゥソゥ》

《だんだん企業が可哀想になってくるわwww》


「なんでだよ。ヤダよ」


スネークの声は弾んでいる。


《それはそうと、またコラボやらないの??》

《そういや、楫取恋のゴタゴタ以降、コラボしてないな》


突如出現したドラゴンを捌きつつ、冬真は答える。


「そういえばそうだったな」


「あー、全裸男のやつはさすがにクレームもらったから」


《クレーム?》

《でも、モザイクかかってたろ》

《途中からは鍵付き配信だったじゃん》

《クレームつけるやついたのか》


「配信サイトの運営から、


さすがに全裸はやめてくれ。

もしするなら、R18タグ付けてくれ。


って言われたんよ」


《まさかのwww運営www》

《そんなwww濡れ場ありのエロ動画じゃないのにwww》

《全裸になってたのは、お前らじゃなく別の馬だろwww》

《別にコラボ相手は、あの全裸男じゃなくてもいいんでないか?》

《(σ・ω・)σそれな》

《わかる》

《ほんとそれな》


「それがなー、そうもいかんのよ」


と、今度は冬真が言った。


《なにが?》

《全裸男はよくて、それ以外のコラボがダメな理由があんの?》

《バベル以外のダンジョン配信なら良くね?》


「誰が、企業からの回し者か調べなきゃいけないから。

コラボ相手装って、俺たち拉致る可能性だってあるし。

そうなったら逃げるけど、まぁ、なんつーの?

余計な労力使いたくないっつーか」


冬真が説明する横で、スネークがうんうんと頷いている。


「なにげに素性調べるの大変なんだよなぁ。

俺だって普段は仕事してるし」


《でも、最近マンネリじゃね?》

《いやいや、ほかの配信者だと死んでるから、マンネリとは言えないだろ》

《スネークって、普段仕事してるんだ》

《なんで探索専門でやらんの?》

《スネーク、めっちゃ強いから探索者専門でやったら稼げそうなのに》


「そりゃ、活動とお仕事の違いだから。

探索者志望のやつ、ここを勘違いしてる奴が多いんだよなぁ」


《どゆこと??》


「あくまで活動に過ぎないから。

探索者として活動するのを、就職としてとらえてる奴が多いんだよ。

憧れたり、稼げるかもってことで探索者になるのは否定しない。

でも、明らかにアルバイトやパート、社員として働くってのとは違うんだ」


《そういうもんか》


「そういうもんそういうもん」


言いつつ、企画担当のスネークは考える。

やがて、


「でも、たしかにそろそろなにか企画配信やりたいよなぁ」


《お?》

《コラボ、来るか??》


「まぁ、近いうちになにかしらするかもなぁ」


《コラボなら、雪華ならいいんでない?》

《恋たんは、まだ実家のゴタゴタの後片付けしてるみたいだしなぁ》

《でも、冤罪晴れて良かったよな》


話題が楫取恋のことへ移る。

楫取恋のことは、専門学校でも持ちきりだった。

一時期は悪い噂が流れていたが、冤罪が晴れたことにより、すでにそんなものは消えている。

所詮、噂は噂ということだ。

何より、ダン専に通うもの達は去年まで学生だったものならいざ知らず。

社会人も多い。

そして、社会人学生たちは、同級生とはいえ、そこまで他人に興味が無かったりする。

思うところが全く皆無、というわけではないが。

基本、自分たちに危害が及ばないのなら無関心の者が多い。

楫取恋が犯罪者扱いされて、それが冤罪だったとわかったところで、だからなに状態である。

なぜなら、資格取得には関係ないのだから。


さて、そうこうしているうちに、配信も終わりに近づく。


「今日はここまでか」


冬真がスネークを見ながら言った。


《え、あ、もう二時間たってる》

《まじかー、早いわ》


「企画に関しては、そのうちSNSでお知らせするから、待っててくれ」


と、これはスネークだ。


《了解了解》

《コラボコラボ( ゜∀゜)o彡°》


この日はこうして、配信は終わった。

しかし、スネークは宣言どおり、数日のうちに企画を考え、お知らせするのだった。

その手始めは、意見の募集だった。


【次の配信でやってほしいこと募集するよ】


と、SNSで発信したのである。

結果、引用や関連ツリーとして、次々と意見が書き込まれた。

そうして集まった意見の中で、反応が良かったものを、今度はアンケート機能を使ってしぼる。


二週間以内に、その企画は決定した。


「魔族、キール・ロンドとの対戦をもう一度見てみたい、か」


決定した企画内容を、冬真は読み上げた。

コラボもいいが、魔族との激闘も視聴者たちは望んでいるらしい。


「まぁ、ちょうどいいな」


こうして、その企画ははじまったのだった。



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