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0、消えぬ約束
「30、ごめん」から分割しました。
その日は、とても良い天気だった。しかし、この二人だけの空間には、その光の入る隙間など無かった。暗闇に淡く光る雪のような白銀の髪を、ふんわりと揺らす少年は、長年離れ離れになっていた両親に再開したかのような、哀愁漂う……いや、喜びに満ちた表情で、拘束されている男児に手を伸ばした。
黒髪の男児は、ピクリとも動かずに、されるがままじっとしていた。男児は泣き叫ぶこともせず、恐怖を感じさせない空気を纏って、地べたに座っている。その両手両足が、金属の鎖で繋がれているにも関わらず。塞がれた視界が、白髪の少年によって開かれた時、黒髪の男児は初めて声を上げた。
「……だ、れ……?」
白髪の少年は、酷くショックを受けたような表情を浮かべた後、直ぐに微笑んだ。慈愛に満ちた表情で。そして男児の首を締める形で手を添え、歓喜に満ちた声で、こう言った。
「迎えに来たよ。流水」
完結です。最後まで読んで下さり、誠にありがとうございました。




