0、届かぬ懺悔
全部失ってしまった。
何一つ、守ることが出来なかった。
誰一人、幸せにすることが出来なかった。
自業自得とでも言おうか……自分は、正しいことをしていたつもりだった。これで良いんだと、振り撒いてきた。その種が、毒花を咲かせるなど知らずに。
自分が行ってきた事は、間違いだった。しかし、その間違いも今となっては、後戻り出来ない程の花を咲かせた。どうしようもない……自分には、どうしようも出来ない。父上、母上、兄上……やはり私は、どうしようもないクソ人間のようです。
私に期待をかけて下さった貴方方のお気持ちを、踏み躙る結果になってしまったことを、心からお詫び申し上げます。
……今更謝ったところで、もう遅い。誰も、此処には居ないのだから。そんなことは判りきっているが、私は……私に関わった全ての人に、心の中で謝罪を捧げた。
どうか、どうか、こんな私に、もう一度チャンスを与えて下さるというのなら、やり直しを始めるその瞬間に……私を殺して下さい。
居ない方が良かったのです。
誰も幸せになりませんでした。
誰も幸せに出来ませんでした。
誰も守れませんでした。
何も出来ませんでした。
何も変える事が出来ませんでした。
怠けた自分の本性を、正せませんでした。
全部、失ってしまいました。
私の所為で、救えたものも、救えませんでした。
私が居たから……僕が、居たから……僕なんかを庇ったから……!
お願いです。どうか、僕を、殺して……救って下さい──