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【完結】追放から始まる『異世界“純愛”物語』  作者: 地獄少年
第九章 悪夢

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第一話 集合

ダーレー王国。


トゥールビヨン国王とキルケーたちの話し合いが終わったと同時に、すぐ側の魔法陣が光る。






「マサヤっ!?」


光る魔法陣から現れた三人。


マイリージャンに担がれ血だらけになっているマサヤの姿を見て、キルケーは思わず悲鳴を上げた。


「キルケー、この二人に回復魔法を頼む!」


オーウェンとマサヤを抱えているリーが叫ぶ。


キルケーはリーが叫ぶよりも先にマサヤの元へ駆け寄っていた。




「三人揃って来たか……と言いたいとことだが、何があった?」


マサヤとオーウェンとマイリージャン。


待ち侘びていた三人が一緒に現れたことに驚いたが、それ以上にマサヤとオーウェンの姿を見て何か大きなトラブルが起こったことが窺えた。


「ゴドルフィン王国が攻めて来ました。エクリプスとライン隊と共に応戦しましたが、多勢に無勢。戦況を覆せる事なく撤退しました」


リーがダーレー王国で起こったことを手短に話す。


「リゲルだ。リゲルたちが生きていた……」


回復魔法を唱えてもらったマサヤがリゲルたちが生きていたことを告げる。


「えっ……」


リゲルたちが生きていた事にキルケーも驚きを隠せなかった。


罪人の首輪をつけたまま上級の森へ追放された三人。


生死の確認をしていなくても、死んだものとばかり思い込んでいた。


あの時の彼らの実力では、上級の森で生き延びることはほぼ不可能だったはず。


もし本当に生き延びたのだれば、誰かの助けがあったのかと疑う。


「奴らは強くなっていた。三人とも淡色の髪に変化していた。実力で上級の森を生き延びたに違いない……」


マサヤの言葉に、キルケーの疑いはアッサリとかき消される。




「…………」


トゥールビヨンは悩んだ。


今すぐ反撃の軍をダーレー王国に差し向けるべきか。それとも、このまま静観するべきか。


今から兵を編成して向かったとしても戦況を大きく覆すことは難しいだろう。


それでも軍を派遣すれば彼らの足止めにはなるし、これ以上被害を拡大させずに済む。


ただ、反撃の隙をつかれてこちらに軍を送り込まれる可能性もある。


相手の意図が分からない以上、こちらも動きが取りづらかった。




トゥールビヨンが悩んでいるとき、隣の魔法陣が再び輝いた。


魔法陣から現れたのはエクリプスだった。


「報告します。リゲルたちゴドルフィン王国の兵はダーレー王国から全軍撤退しました」


「全軍撤退だと?」


エクリプスの報告にトゥールビヨンは耳を疑った。


「はい。王城と城門、それに街の家々の多くは破壊されました。ライン隊をそのまま現地に残し調査にあたらせています」


「国王はどうした?」


「まだ生死は不明です……」


「そうか……」


トゥールビヨンはエクリプスの報告に疑問をもつ。


国を乗っ取るつもりなら、そのまま国土を制圧するまで攻め込むものだ。


撤退するにしても十分な数の兵は残しておくもの。


全軍撤退させる理由が思い浮かばなかった。




「マーヤ。偶然とは言え、オーウェン王子を助けたことは素直に讃えるとしましょう。今回の試験は合格とします」


「『運だけの英雄、再び』ですね」


フウカとライカがマサヤの元へ歩みより、彼女らなりの労いの言葉を掛ける。


「こんな緊急事態の時にいつも通りの会話をするな。少しはブレろ」


いつも通りの全く変わらない対応をする二人に、マサヤは少し苛立ちを見せた。


試験の結果なんて、今はどうでもいい話だ。


「ブレたら負けよ。心はいついかなる時も平常であることが大切」


「緊急事態だからこそブレたらダメなのです。やっぱりマサヤンは失格ですね」


言っていることは分かるが、全く緊迫感の無い二人の話し方にはうんざりする。


「みんな無事で良かった……」


キルケーが安堵の表情でオレたちの無事を喜んだ。




「私は一度国へ戻ります」


エクリプスがアンダルシア王国へ帰国する旨を伝える。


「ソロモンへ報告後、ライン隊と共にダーレー王国の調査を続けます」


「頼む。情報がまとまるまで我々は動かぬ旨を伝えてくれ。具体的な作戦立案は明朝以降だ」


「はっ」


報告を済ませたエクリプスはテレポートの魔法を使ってそのまま姿を消した。




「全員、今夜はこの城で過ごせ。今は動かぬ方が賢明だ」


「しかし!」


オーウェンが反論する。


「今からオーウェンが戻っても事態は変わらない。状況が分かるまでは動くな。オーウェンが死んだらその時点でダーレー王国は滅亡すると言うことを忘れるな」


エクリプスの報告だと、ダーレー王国の国王は安否不明とのこと。


この場合は既に死んでいると仮定するべきだ。


となれば、オーウェン王子の命は最優先で守らなければならない事になる。


オーウェンの気持ちは分かるにしても、無闇に帰国させるわけにはいかない。




「はい……」


オーウェンもトゥールビヨンの言葉に従うしかなかった。




ダーレー王国が不穏な状況であることを鑑みて今後の予定を立てようと考えていた矢先の出来事。


彼らの動きの方が早かった。


事態を把握してから行動に移そうとした分、後手に回ることになった。






リゲルたちの作戦は、まだ終わっていない。

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