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プレイ時間:46時間〜

プレイ時間:46時間〜



 ログインして、僕は一人で石切り場と呼ばれる危険地帯に踏み込んだ。

 前の収穫はまだ換金していないので、回復系アイテムは形の上では一方的な出費だけど、帰って来れば収入もあるだろう。

 僕のアバターは騎兵槍に戦士の盾、鉄鎧という今まで通りの装備で切り通しに踏み込み、あっという間にロックタイタンの群れに包囲された。

 始めたばかりなら恐慌状態になりそうなものだけど、今は落ち着いている。

 的確な防御と、的確な反撃、逆襲。

 僕はほとんど無意識に、減っていく体力をチェックし、武器の耐久度も確認した。

 もちろん、その間にも攻撃と防御は継続していて、攻撃を当てる位置と防御する位置を正確に判断している。

 頭の中に重なって見えるのは、デギオンがエンデッドと決闘した時の映像だ。

 あの時、デギオンは斧槍の柄という極端に防御可能な範囲が狭い武器で、あの猛攻を凌いでいた。

 いつか、僕もあれができるようになるだろうか。

 それとも、あれはデギオンの特殊な才能か、長い経験で身につけた技で、僕には使いこなせる未来はないのか。

 ロックタイタンが倒れる。

 集中する。

 攻撃される地点が見える。

 こちらもその地点に攻撃をぶつけ、攻撃のモーション同士が相殺。

 即座に踏み込み、戦士の盾でロックタイタンをはね退け、防御が緩んだところへ騎兵槍を突き出す。

 ヒットの表示と効果音、エフェクトが弾ける。

 とにかく、続けるしかない。

 ここには、余計な奴はいない。

 大石も三谷も、いない。

 僕は今は一人だけど、デギオンとアカリアが、どこかにいる。

 この世界にはいなくても、現実の世界には、確かにいるのだ。

 会うことなんて、できないだろう。

 でも、二人がちゃんとした人間として存在することは、心強い。

 同じものを楽しんでいる、同じものを楽しめる人間がいるなんて、すごいじゃないか。

 ついに12体目のロックタイタンを倒し、モンスターの攻勢は小休止になった。

 僕はレベルが16に上がった。体力と生命力を回復させ、とりあえずはまだ戦えそうだ。武器の耐久度にも余裕がある。

 切り通しのど真ん中に突っ立って、遠くを見晴るかす。

 いつか、この先にある石の神殿に入って、そこにいるボスを攻略する。

 そういう未来ははっきり見える。デギオンがいること、アカリアがいることも、見える。

 その先は?

 何か、大勢の声が聞こえた気がしたけど、それは空耳だったらしい。

 一歩、移動すると、またモンスターの群れの攻勢が始まった。

 僕は素早くいくつかの数値をチェックし、攻防に集中した。




(続く)

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