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プレイ時間:38.5時間〜

プレイ時間:38.5時間〜



 昼食の後に今日の予定をアカリアに伝えていたので、ログインしてラーメン屋の中を数分眺めている間に、彼女のアバターが滲み出すように出現した。

「じゃ、まずは荷物を取りに行こうか」

 アカリアに促されて、店を出ると預かり屋の店舗に向かった。

 受け取る荷物は第1層で預けたもの全部だ。安全地帯にいれば動きに支障はないけど、これで前と同じ遅さでしか行動できなくなる。

「さて、ダラーは僕が持つから、買い出しに行こう」

 今度はストーンタウンの商店街で、大量の回復系アイテムを買うことになった。

 僕の10万ダラーの件は二人には話していない。それがちょっと後ろめたい。

 でもこうしてアカリアが次々とアイテムを買うところを見ると、彼女はダラーを豊富に持っているらしい。

 30分も買い物をしてから、やっと訓練施設に入ることができた。

 当然のように買い集めたアイテムは全て僕の携行の欄に追加されている。数字が「210/ 」だ。今まで持ったことのない量のアイテムだった。

 訓練施設で模擬決闘モードでアカリアと向かい合う。

 武器はそれぞれ短槍だ。

 僕は何度かアバターの動きを確認した。

「これはちょっと、やりすぎじゃないかな」

 そうテキストを書くと、重いほうがいいでしょ、とアカリアは取り合うつもりはないらしい。

 その上、短槍の一撃で僕を即死させた。

 訓練施設なので、すぐに生命力は全快する。

 それから30分ほど、僕は虫の居所の悪いアカリアに徹底的に打ちのめされた。

 それでもステータスの向上が3回ほど通知され、見る間に俊敏性を中心に僕の能力は向上した。

 したようだけど、動きが急に良くなるわけがない。

 訓練施設を出るときには僕はコントローラーを持つ手が疲れているのを感じるくらいだった。濃密な時間だったと言える。

「学校はいつから?」

 何気なくアカリアに質問されて、テキストで「四月五日」と答えて、反射的に「入学式」と付け加えていた。

 しまった、と思ったときには遅い。テキストはすでに公開されている。

「高校生だよね。まあ、楽しみたまえ、少年」

 このどうやら本当に少年のふりをしているらしい少女がどんな人間なのか、気になるけど、あまり踏み込む勇気も持てず、僕は「ありがとう」とだけ応じておいた。

 ログアウトした時には23時近かった。

 あまり夜型になると、学校が始まると辛い。

 ヘッドギアを外して勉強机に置いて、椅子にもたれて両手を揉みほぐした。



(続く)

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