プレイ時間:35時間〜
プレイ時間:35時間〜
結局、アカリアに一発も当てられないまま、ちょっと休みましょう、という言葉に僕はアバターの動きを止めた。
止めたけど、すぐに一人で運動を確認する気になった。
レベルやステータス、モーションとは別の要素を、アカリアが僕に見せていたと、理解し始めたからだ。
TWCにおいて特徴の一つであるモーションは、確かに基本操作を簡便にする。
二連続突きや三段突きがそうだ。
一度の操作で二回や三回の突きを行える。
でも実際には、それは基本操作とは別の操作方法を求めてくる。
モーションの組み合わせの最適化と、素早い入力。
確かに単発よりは二発や三発の方が強い。でも他のモーションと組み合わせれば、相手にダメージを与える以上の不利を強いることができるようだ。
さっきの四つの連結もそれだと思う。
攻撃したのを防がれた上にしたたかに反撃されるのでは、どちらが有利かははっきりしている。
不思議なゲームではある。
アカリアがあの動きを僕に教えているのは、高レベルプレイヤーに求められるテクニックだからだと思う。
一発一発が強力になったり、激しい連続攻撃のモーションを覚えても、勝てない相手がいるのかもしれない。
「それにしても不思議なプレイヤーだね、君も」
僕が一人で反復している横で、アカリアが声をかけてくる。
「僕が誘うまで、パーティに参加しないで、それでよくゲームを続ける気になったね」
まさか、10万ダラーで経済的に余裕があったから、とは言えない。
「元はどこか別のゲームのユーザーだったの?」
質問されたので、動きを止めてテキストを入力した。
「こういうゲームは興味があったんですけど、初めてです」
「なんで他のゲームをプレイしなかった?」
あまり現実世界の話はしたくないけど、少しなら問題ない、はずだ。
「親に禁止されていて」
反応がない。
現実世界で言うところの、ポカーン、という感じだろう。
「親?」
アカリアが確認してくる。
「なに、君って学生なの? 親って、大学生じゃないよね。高校生?」
これはいよいよ答えづらいな。
「年齢はあまり、言えません」
そうテキストを打つと、ああ、ごめんごめん、とアカリアがアバターに拝むようなモーションを取らせた。
「ちょっと踏み込み過ぎた。悪かった」
頭を下げるアカリアが少し可笑しいけど、今の僕はテキストとモーションでしか返事ができない。
テキストを打たずに、僕はアバターに胸をそらせるモーションをさせた。
なにそれ、とアカリアが笑い、それでこの話題は終わりになった。
明日には、第2層へ行くことになる。
楽しみじゃないか
(続く)




