プレイ時間:31時間〜
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じゃ、これをあげよう、とアカリアが言うと、少年のアバターの前に何か、板のようなものが出現した。
何だろうと思っていると、アカリアがそれに触れた途端、さっと広がったではないか。
それは服だった。
真っ青な長衣で、複雑な文様が縫い取られているように見える。
「デギオンとアカリアの仲間がいつまでも初期服ってわけにはいかないからね」
空中を服が横切って、僕の手元へ来る。
あんたの分も用意したから、ともう一つ、板を取り出し、それが服に解け、そちらはデギオンへと渡された。同じ青色をしている。
「お揃いのユニフォームか。まあ、これも面白いか」
椅子から立ち上がったデギオンがすぐに服を着替えた。真っ青で中華風だった。
僕は操作に慣れていないので、あたふたと椅子を立ち、服を着替える操作を間違えながら、どうにかこなした。
その時にはアカリアも服を着替えている。
「ちょっと記念撮影でもしようよ」
アカリアがそう言って、僕に武装をしまうように促してくる。
言われるがままに僕は騎兵槍を外し、戦士の盾も外した。鎧もだ。
背景がこれじゃあね、と言いながらも、アカリアがデギオン武具店の壁際へ移動する。デギオンがそれに「文句を言うな」と言いながら、ついていく。僕もその背中についていった。
壁を背景にして、「ポーズ!」とアカリアが叫んだので、僕はどうするべきか、迷った。
シャッター音が三連続で鳴り、アカリアとデギオンは姿勢を小刻みに変える。
「どうする? 撮り直す?」
虚空から出てきた三枚の写真が、僕たちの前に表示される。
二人はバッチリ決まっているのに、僕だけは三枚とも、おかしな方向を見ていた。
「これで良いです」
僕がそういうと、遠慮するな、とデギオンが助け舟を出してくれる。
「本当にこれで良いです」
僕は素早くテキストを打った。
「記念ですから」
デギオンが何か言おうとしたけど、アカリアが「これはこれで良いね」と宣言し、写真を三枚とも保存した。それが僕の手元にも配られてきた。
僕は写真を繰り返し確認した。
お揃いの衣装を着た、三人のアバター。
僕が最初に出会った仲間の記念写真。
大切にしまう気持ちで、荷物の中に入れる。
「で、これからどうするつもり?」
テーブルに戻って、その話になった。切り出したアカリアは、僕に決めさせたいらしい。
「第2層へ行こうと思います」
「その方がいいよね。じゃあ、僕たちもしばらくは仕事は休みってわけだ。いいよね、デギオン」
「当たり前だ。どうせ大して儲からない店だ」
デギオンの一言で、今後の方針は決まった。
次の金曜日の夜に第2層へ向かうと約束して、それまでにそれぞれ、自由に動けるように準備することになった。
(続く)




