プレイ時間:28.5時間〜
プレイ時間:28.5時間〜
ログインしたのは夕方で、昼間はあれやこれやと忙しい日だった。
ログイン前にトップページを開くとメッセージが来ていて、それはデギオンからだった。
今日の22時過ぎに店に来て欲しい、ということだった。
まだ夕食も済んでいないし、22時までは間がある。かといって変に草原に繰り出して、死んでしまって約束の時にログインできない、ということは避けたかった。
結局、ログインはしたものの、訓練施設で全く手応えのない訓練用モンスターを相手に一時間ほどを過ごし、それからは中央広場へ行って、新人を勧誘しているプレイヤーを、片隅のベンチで観察していた。
見ていても面白くはないけど、興味深い点はある。
それは、スカウトのプレイヤーがしつこく食いさがるプレイヤーがいることで、外見上は特別ではないけど、あまりに必死なので、勧誘されているプレイヤーが特別だとわかる。
TWCはアカウントを作成するとき、どういう確率かは知らないけど、普通のプレイヤーにはない能力が付与されるプレイヤーが作られる。
その能力というのは、治癒を行える、という能力だ。
TWCの世界には魔法というものがなくて、これは攻撃する魔法がないどころか、回復する魔法もないこと意味する。
その例外が、「神官」とも呼ばれるプレイヤーである。
この神官たちは祝福と表現される治癒を使えて、レベルが上がれば死者蘇生さえも行う。
僕も雑誌上の情報で知っているだけで、実際の神官とはまだ知り合っていない。
治癒や死者蘇生は神官だけに与えられた特別なステータスの数値が意味を持つようだけど、僕は神官じゃないから、あまり調べても仕方がない。
それでもパーティを結成したり、あるいはギルドを運営することになれば、アイテムを買わずに治癒や死者蘇生を行える素質を持つ神官のプレイヤーは重要だ。
ダラーは無限じゃないし、僕も身にしみているけど、戦闘の最中に回復や死者蘇生を行うと、戦闘に参加できないプレイヤーが生じてしまう。
神官のプレイヤーがある程度の、中レベル程度になれば、場面に応じて回復役にも戦力にも変えることができると予想できるけど、そんなにうまくいくだろうか。
僕は偶然にもデギオンとアカリアの二人に出会えたけど、そんな幸運に恵まれなければ、神官のことやパーティのことを、もっと考えただろうか。例えば、泥臭く経験値を欲して、同時に何度も死んでいただろうけど、それが徒労と連想したのはいつになったのか。
TWCにおけるパーティの重要さは、モーションの成長と同じくらい、重いようだ。
夕食が近づいてきたので、僕は中央広場のベンチをセーブポイントに設定して、ログアウトした。
(続く)




