プレイ時間:26.5時間〜
プレイ時間:26.5時間〜
プランツロードは三段突きを追撃で繋げた十二連撃には耐え切れず、ついに倒れた。
地響きの効果音の後、その体が消える。
経験値の表示と「千年樹の種を手に入れました」とテキストが出る。
思わずため息をついて、体力を回復するべく、干し肉を摂取した。生命力の方は祝福の雫がもったいないので、緑草を使った。20個がこれで消えた。
デギオンの方を見るとまだ槌で岩を叩いているし、アカリアはすぐそばに突っ立っていた。
ちょっと怒りを感じて歩み寄ろうとするけど、そこでさっきと同じ効果音が鳴り響いたので、それはできなかった。
またプランツロードが出てくるのか、と思ったけど、実際はもっとひどかった。
周囲の地面からプランツスレイブが生えてくる。
全部で20体を超えている。
「ここからが本番だよ」
そう言いながら、すでにアカリアが鎖鎌を振るい、プランツスレイブを三体まとめて、一撃で撃破する。
僕もテキストを打っている暇はなく、騎兵槍の二連続突きで一体ずつ、プランツスレイブを倒していく。
あっという間には二人で二十体は倒した。
倒したけど、広場はプランツスレイブで溢れている。どんどん湧いているのだ。倒す数より多いのではないか。
どこへ攻撃モーションをしても当たるほどの、大群に包囲されている。
「まぁ、収穫に期待して、辛抱するように」
耳のイヤホンからアカリアの声がする裏で、デギオンが「今日はだいぶ粘るなぁ」と呟いている。
こうなるとプランツロードなど平凡なものに思える。
四方八方を敵に囲まれる、というより飲み込まれて、がむしゃらに攻撃し続ける。
突きでは一体しか相手にできないので、単発の突きの連続をアバターの向きを変えて繰り出すことで、プランツスレイブを押し返し、さらに防御姿勢で跳ね返すを繰り返して、プランツスレイブの大攻勢を跳ね返す。
テキストが出るたびに読まずに消した。視野が遮られると、それだけでも死に直結してしまう。
さらに「あなたのレベルが10に上がりました」とも出るが、即座に消した。命取りだし、喜ぶ間もない。
時間を忘れるほどの集中の末、「オーケー」とデギオンの声が聞こえた。
「とりあえずは問題ない量が手に入ったぜ。撤退するとしよう」
プランツスレイブに囲まれている僕からは、アカリアの鎖鎌の攻撃範囲がよく見え、しかしあまりに僕は二人と離れすぎている。
「生きているだけでも立派、立派。助けてやるよ、坊や」
次の瞬間、目の前にデギオンが現れたのには、本当に驚いた。
デギオンが突っ込んだ場所だけ、プランツスレイブが倒され、一本の溝ができている。
「さあ、逃げるぞ。ついてこい」
デギオンが本気になるとここまでか、という本当の驚きは、この後に来た。
彼の斧槍の一振りは直撃していないプランツスレイブさえも倒していく。
アカリアが何をしているかと思えば、降りてきた時の階段の入り口を守っている。
僕のアバターは体力が底をつきかけて、ゆっくりとしか動けない。でもデギオンが少しの隙もなく、守ってくれる。
「階段に上がって休憩だ。そこまでは持ち堪えろ」
デギオンの言葉に返事もできず、それでも僕は危ういところで、階段にたどり着いた。
鉄壁のデギオンとアカリアが作る安全地帯で、僕はやっと干し肉を使用できた。
死ぬかと思った……。
(続く)




