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プレイ時間:24時間〜

プレイ時間:24時間〜



 結局、祝福の雫と干し肉を大量に買い込んだので、千年樹の根を全部、ダラーに換金しても赤字になった。

 その上、武具のメンテナンスをしなくちゃいけない。

 まだダラーに余裕があっても、さすがに10万ダラーも半分になってしまい、アカリアを頼る気になった。

 今日が顔を合わせる約束の日で、宿から寄り道をしても余裕を持って訓練施設の前にたどり着いた。

 往来をいく他のプレイヤーの数はいつもより少し多い。

 日曜日だから、仕事が休みの人が多いんだろう。

 眺めていると、一部のプレイヤーの胸元や襟元に、飾りがあるのに気づく。

 それは「勲章」と呼ばれるもので、例えばモンスターの撃破数とか、パーティでの集団戦における功績とかで、運営から与えられる。

 一番、目につくのは黄色い勲章で、このそのままの名前の「黄色の勲章」は、モンスターを500体撃破すると手に入る、最初の勲章だ。

 中には橙色の勲章のものもいる。こちらは1000体撃破で手に入る。

 それより上の勲章ももちろんあるけど、それだけの力量のプレイヤーが第1層のセントラルにいる理由はない。

 もちろん勲章は身につけずに隠しておくこともできる。

 デギオンもアカリアも勲章をいくつも持っているはずだけど、二人とも何も身につけていない。

 僕も雰囲気で察しつつあるけど、セントラルにいるのは初心者か、初心者を助けようと思っている慈善家じみたプレイヤーがほとんどだ。

 ただし、高レベルプレイヤーは他の高レベルプレイヤーを警戒するようだ。

 初心者を助ける行為の一側面に、初心者プレイヤーを食い物にする悪事があるからで、高レベルプレイヤー同士でもそういう部分で、いがみ合いが起こる。

 正義と悪なのか、エゴとエゴなのかは、僕には判断できない。

 高レベルのプレイヤーの中でも、面倒を抱え込みたくないプレイヤーが勲章を隠し、そしてひっそりと暮らすのだろう。

 そう、デギオンやアカリアのように。

 道を行くプレイヤーで、勲章をつけていない名も知らぬアバターを見ていると、通りを横切ってアカリアが姿を現した。

「何、その盾?」

 何の武装もしてないアカリアのアバターが右へ行ったり左へ行ったりして僕の背中を見る。

 アバターは武装をしまうこともできるけど、身につけていることもできる。待機モードとも呼ばれる機能だ。

 セントラルは安全地帯なので、待機にするか、携行の状態にして消しておくかを選べる。

 今、僕のアバターは背中に騎兵槍を斜めに背負い、さらに戦士の盾を背負っている。

「自分で買ったの? デギオンに作らせれば安く済むのに」

 面倒をかけたくなくて、とテキストを打つと、かもね、とアカリアが応じた。

 そこへデギオンもやってくる。彼もアカリアと同じことを言って、作ってやったのに、と悔しげに言った。

 こうして三人揃ったので、訓練施設に入ることになった。



(続く)

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