表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/365

プレイ時間:20時間〜

プレイ時間:20時間〜



 一時間ほどでボスの前にたどり着いた。

 巨大な木だけれど、周囲には下草が少しだけ生えている領域が円形に広がり、そこに入るとボス戦が始まるらしい。

 ここまで世界樹の幹の中を横断したような感じだけど、もちろん、縮尺はめちゃくちゃなのもあるし、そもそも僕が初心者なので、道のりが長いのか短いのか、よくわからない。

 ボス戦を前に「ちょっとお手洗いに」と言ってアカリアのアバターが動かなくなる。

「あいつは女だぜ、坊や」

 そばに寄ってきたでデギオンが小声でそんなことを言った。

 あいつ、というのはアカリアのことだろうか。

「まぁ、中性的なアバターですから」

 ちょっとくだけた感じにテキストで返事をすると、その程度の驚きか、と逆にデギオンはがっかりしたようだった。

 すぐにアカリアのアバターが動きを再開し、「聞こえてましたからね」と出し抜けに言った。

「イヤホンをしていたから」

 油断ないな、とデギオンのアバターが肩をすくめる。

 三人で特に打ち合わせもなく、それでも僕は四種類の丸薬を二個ずつ飲んで、そうしてからボス戦が始まる領域に踏み込んだ。

 何が起こるのか、と思っていると、巨大な木が揺れ始め、それがみるみる形を変えた。

 植物でできた巨人である。

 名前は、プランツロード。

 しかも厄介なことに、周囲から次々とプランツスレイブが出現する。

「素人のパーティは大抵、やられる。強敵だぞ、坊やには」

 斧槍を構えて、先頭のプランツスレイブを一撃で倒したデギオンが、「さっさと行け」と言う。ボスに向かえ、ということらしい。

 アカリアも鎖鎌を振り回し、次々とプランツスレイブを倒していた。

 僕は可能な限りの速度でプランツロードへ向かい、その途中でプランツスレイブを二体ほど、撃破した。テキストで「経験時間によりモーションが追加されました」という表示が二つ同時に出た。

 確認する余地もなく、プランツロードの前で、その木でできた腕の一撃をのろのろとした横ステップでは回避し損ね、ダメージを受ける。

 生命力のバーが三割ほど、ごっそりと減った。

 まさかここで死ぬわけにもいかない。

 モーションの踏み込みと二連続突きを組み合わせて、攻撃を当てる。攻撃を受けると、わずかにプレンツロードが横へ移動する。

 化け草の時の要領で、プランツロードの攻撃を、出だしを潰す形で抑え込み、横へ逃げていくのを外さないように、突きの連発。

 体力もチェック。まだ余裕がある。丸薬が効いているんだろう。

 しかしその間に倒さないと。

 ぐっと今までにない大きなモーションでプランツロードが拳を振り上げた。

 今だとばかりに、踏み込みで間合いを消し、三段突きを繰り出す。溜め時間の間に踏み込んだので、隙は最小限だ。

 三連発が命中する。

 しかしプランツロードは動きを止めない。

 動作のキャンセルを受け付けないのか!

 咄嗟に防御のモーションを選ぶのと、拳が命中するのは同時だった。



(続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ