表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/365

プレイ時間18.5時間〜

プレイ時間18.5時間〜



 約束の時間より先にログインした。

 パーティを組んだことで、セーブポイント以外にもログイン可能な場所を設定できて、今のところ、デギオン武具店になっている。

 大抵のパーティーはどこかの飲食店を設定しているらしい。

 デギオンもアカリアも、どんな目で見やれるやら、というようなことを言って、結局、デギオン武具店になったのだった。

 TWCの飲食店には基本的に上限がない。外見ではほんの二十人の満員になりそうに見えても、入ってしまえばちゃんと席が用意される。

 僕はデギオン武具店ではなくて自分のセーブポイントにアバターを作り、買い物に行った。

 二人を信用していないわけじゃないけど、回復系のアイテムが欲しかったのだ。自分の面倒くらいは自分でみたい。

 華佗の店に入り、祝福の雫を10個仕入れた。全部で3000ダラー。

 それから少し迷って、「秘術の霊薬」という回復系アイテムを買った。

 これは死者蘇生を行うアイテムの一つで、しかしこのアイテムで蘇生しても、生命力は1にしかならない。戦いの最中では使えないけど、一応、持っておこう。

 デギオンやアカリアが死ぬとも思えないけど。

 秘術の霊薬は一つで1500ダラーもする。

 それだけTWCでは死んでからのペナルティの五時間ないし六時間が重要なことを意味する。

 その後にはブレッド・ファーストで固焼きパンを20個ほど、手に入れた。全部で2000ダラー。

 これくらいなら、回復も足りるだろう。

 約束の時間が近いので、僕はデギオン武具店に向かった。

 中に入ると、すでに二人が待っていて、デギオンとアカリアは何か話していた。

 二人がこちらを振り向く。

「なんだ、坊や、どこに行っていた?」

 デギオンが人の良さげな笑みを見せる。

「ちょっと買い物に行っていました」

 テキストを返すと、アカリアが小首を傾げる。これは高レベルのアバターだけのモーションだ。

「何を買ったわけ? それと、どうしてボイスチャットをしないのかな」

 どう答えるか少し迷って、慣れていないので、とテキストで応じるしかない。

 頭の中では中学校での同級生の嘲笑が響いていた。

 僕の喋り方や声を馬鹿にする、あの嬉しそうな声。

 他人を傷つけて喜ぶ、下衆の笑いだ。

 そして僕はそれを前にして俯くしかできない、弱い人間だ。

「ま、行くとしよう。準備してあるよな、アカリア」

「第1層のボスに手こずるわけもないけどね」

 そんなやり取りをしてから、二人がこちらにやってきて、それぞれに拳を僕に突き出してくる。

 そんなモーションがあったな、と確認して、僕もそれを選択。

 三人の拳が触れ合う。

 こうして僕は初めてのボス戦へ向かうことになった。



(続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ