プレイ時間:18時間〜
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どうやらアカリアはデギオンとフレンド登録しているらしい。
パーティを組むこととフレンド登録をすることは別で、フレンド登録をした時の特権の一つが音声通信だ。それも二人だけで話せる。
パーティのメンバーの間では他に漏れないチャット機能や音声通信もできるけど、これはパーティの中では筒抜けになってしまう。ログインしていれば、ということと、会話している側が他をミュートしていなければ、という要素があることにはあるけれど。
少しのやり取りの後、急にアカリアが立ち上がった。
「騎兵槍のメンテナンスが終わったから、返すよ」
そうか、すっかり忘れていた。
さっと手が振られると、僕の目の前に少しだけ輝いて見える騎兵槍キツツキが現れた。
耐久度は95、打撃力は55。
「さて、じゃ、行くとしますか、デギオンのところへ」
そのままアカリアが店を出ようとするのに、立ち上がり、後を追う。店を出る時、アカリアが店を「閉店」に変えた。
「どうして店を閉めたんですか?」
道を歩いていくアカリアにテキストを送ると、彼女が振り返って、首を傾げた。
「僕の店だから、僕がいなければ、営業はできませんからね」
僕の店?
つまり、アカリアは店員ではなく、経営者か!
これはとんでもないことになったのでは……。
大通りを抜ける途中で、お土産を買う、と言ってアカリアは素材系アイテムを売るプレイヤーの商店に寄り道をしたけど、すぐそばで買い物を見ていると、彼女は白金というアイテムを四つほど買っている。
白金って、いくらだろう? まさか彼女の横で店主に値段を確認するわけにはいかない。
店を出てからは一直線にデギオンの店に向かった。
中に入ると、デギオンが待ち構えていた。
「久しぶりだな、アカリア。こんな地上で何をしている?」
「それはさっき話した。このプレイヤーにあんな武器を与えて、どういうつもり?」
「持つ程度のステータスはあるだろ。見ていないのか?」
「見た。ちょっと特殊すぎるけど、許容範囲かな」
同感だ、と言ってから、やっとデギオンが僕を見た。
「坊やがパーティを組んで、こちらの美男子が参加したって聞いたぞ。本当か」
「本当です」
僕だけがテキストで会話しているので、タイムラグのせいで居心地が悪い。
デギオンは気にした様子もなく頷くモーションをして、「俺も参加しよう」と言い出した。
こちらから何か言う前に、僕の視界にポップアップがあり、「デギオンがパーティ「ニューカマーズ」に参加を希望しています」と表示された。
っていうか、僕がパーティーのリーダーになっている。
酷い名前だ、とデギオンがつぶやき、アカリアが放っておきなさいとやっつけた。
デギオンが登録し、ニューカマーズの顔ぶれは三人になる。
「で、パーティを組んで、何をする?」
デギオンの言葉に、まぁ、などとアカリアが答える。
「第1層の草原の一番奥まで行ってみましょうか」
一番奥?
(続く)




