表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/365

プレイ時間:17.75時間〜

プレイ時間:17.75時間〜



 パーティというものは知っていたけど、いつか誰かに誘われるだろう、と淡い期待があった。

 それは僕がレベルを上げて、どんどん世界樹の上に向かって進む中で、自然とそうなる、という、まぁ、期待というか、理想だった。

 その時の僕は結構、頼りになるプレイヤーで、信頼できる仲間と一緒に強敵に挑む、みたいなイメージだった。

 それがレベル3で誘われるなんて。

 ただ、不安も急に沸き起こってきた。

 目の前の少年店員は間違いなく僕より、段違いに高いレベルだ。

 僕の返事に、アカリアはパーティを組むかどうか、確認する手続きをしてくれた。

 目の前に「アカリアとパーティを組みますか?」という表示が出る。

 だいぶ緊張しながら、それを選択すると、急に、ああ、とアカリアが声を発したので、こちらが驚いた。それこそ現実世界で椅子から飛び上がるほど。

「私は新規のパーティを設定したけど、名前はどうしようか」

 名前。

「あなたが決めてください」

 今までパーティを組むことを夢見ながら、名前を決めることまでは考えなかった。

 迂闊、というか、あまりにも遠い先のことと思っていたこともある。

「どんなのがいいですか?」

 確認すると、アカリアがちょっと頭上を見上げるそぶりをした。これはモーションではなく、彼が現実でHMDか何かをつけた頭で頭上を見たようだ。

「よくあるのは、なんとか団、とか、なんとか隊、とか、なんとか結社、とかかな。外国人はまた別だけど」

 団、隊、結社……。

「アカリアさんは、どんなパーティに属しているんですか?」

 少し答えづらそうな沈黙の後、ささやくような声があった。

「新月騎士団、それと、初心者を助ける会、の二つかな」

 思わず笑い声が漏れてしまったけど、ボイスチャットがオフで助かった。

 平静を装って「初心者を助ける会、って、本当ですか?」と質問してみた。からかうつもりもなく、本当に気になったのだ。

 顔をしかめたアカリアが声も不機嫌そうに答える。

「デギオンだって入っているよ、あそこには」

 デギオンが? そういう知り合いだろうか。

「じゃあ、僕たちのパーティの名前は、ニューカマーズ、にします」

 返事はすぐにはないけど、別にいいか、と呟いて、何かを手続きしたアカリアがこちらに笑みを見せる。

 すると僕の眼前にテキストが現れ、「ニューカマーズに登録しました」とそこにはある。

 画面の隅の表示をチェック。

 パーティメンバーは僕とアカリアだけだ。

「いっそのこと、デギオンも巻き込もうか」

 いきなりそう言った少年に、思わずじっと視線を向けるけど、少年はそっぽを向いて急に話し始めた。

 僕ではない誰かに話しているのだ。

 本当にデギオンと知り合いなんだ。



(続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ