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プレイ時間:206時間〜

プレイ時間:206時間〜



 ついにガルケスの生命力がゼロになった。

 ほとんど同時に僕とアンリー、エンズナッハが蘇生する。

 が、入れ違いに今度はチェンホーが一撃を受け、倒れる。

 あっという間に数が減っている。今、動けるのはイゼル、デイロード、アンリー、エンズナッハ、カッティ、僕と、そう……ヴァルナヴァルはどこへ行った?

 まさか死んではいないだろうと周囲を見ると、彼は何か、壁に向かって武器を振り回していた。

 ふざけている、遊んでいるわけではないだろうけど、あまりに必死に壁を攻撃しているのは、滑稽だった。

「ヴァルナヴァル、手伝ってくれ!」

 彼の姿を見て、僕の心の中から切迫した思いとか、緊張とか、もっと言えば真剣さが消えた。

 だって今のヴァルナヴァルは、間抜けすぎる。

 何かこの数時間、僕は必死になりすぎていたかもしれない。

 これはゲームだし、命がかかっているわけでもない。

 ダメだったらもう一回、やればいい。

 そうすれば今回よりはうまくできるはずだし、それでもダメなら、もう一回やる。

 失敗や敗北を積み重ねて、それでいつかは次に行けるのが、ゲームだ。

 あるいは、人生も。

 それは言い過ぎか。

 僕の声が聞こえたのだろう、ヴァルナヴァルが大声で応じる。同じ家にいる家族にも聞こえたんじゃないかというほどの声量だった。

「ここに照準が合わせられる岩があるんだ!」

 照準が合わせられる?

 それは不自然な現象だった。

 TWCにはいくつかの種類の照準があって、例えばNPCに話しかける時は、そのアバターを照準する。

 戦闘の時には多数のモンスターを相手にするとき、攻撃の対象を選択するための照準を使うし、一体のモンスターでも、巨大なボスモンスターなどになると、そのアバターの一部に意図的に攻撃を集中させるためなどで、照準は利用できる。

 ただ、このフィールドの壁なんかに照準できる理由は、意味不明だ。

「俺の武器が壊れちまいそうだ! ボス! 手伝ってくれ!」

 思わず僕はイゼルを見た。

 彼は即座に頷いた。戦闘の指揮を取ってくれるという意図だと、言葉なしでもわかってくれる。

 僕は手を焼いているサンダリオンの攻撃範囲を抜け出すと、ヴァルナヴァルに近づいた。

 彼は本当に壁の一部の岩を攻撃しているようだ。

 見てみると確かにそこに照準が合う。

「バグとも思えないけどな、こいつだけだから」

 実際、周囲の壁に照準を合わせようとしても、無理だった。反応がない。

 考えている暇はなかった。

 僕はその岩に照準を合わせ、攻撃モーションの中でも普段は使わない最強の12連続攻撃を選択した。

 非実戦的な大げさな溜めを作り、攻撃が始まる。

 焔王剣マグナルッタが、真っ赤な軌跡を縦横に描いた。




(続く)

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