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プレイ時間:16.5時間〜

プレイ時間:16.5時間〜


 セントラルに戻って、さて、素材系アイテムを買い取ってくれるところは、と開放掲示板でさくっと検索し、公式の店である「オールレンジ・アイテムズ」という店が一応、最高値であるらしい。

 セントラルに限らず、TWCのすべての街にこの手の店が公式と私設を問わずにあるわけで、私設というのはプレイヤーが経営していることになるから、値段設定がある程度は自由になるらしい。

 もちろん、普通のプレイヤーは高く買い取ってくれる方を選ぶ。

 ただそれで済まないのが、商売らしい。

 店を開いているプレイヤーと交流を持ち、そこから滅多に出ない素材系アイテムの噂を聞いたり、まとめ買いや抱き合わせで実際的には安価に素材系アイテムを手に入れられるという、人間付き合いならではの利点があるようだ。

 それに公設の店でも、買取価格や販売価格は頻繁に変わる。運営による味付けだろう。

 何にせよ、僕は人脈もないので、セントラルの中央に近い場所に店を構える公設の取引所のオールレンジ・アイテムズで「古い根」を五つ、まとめて売りに出した。

 一つが10ダラーで、合わせて50ダラー。

 なんだ、意外に高いじゃないか。一つで緑草一つになる。

 携行しているアイテムの欄から「千年樹の根」を選択してみる。

 そうすると、対応しているNPCアバターが大仰に驚くそぶりをする。

「珍しいものをお持ちだね、お客さん」

 好々爺としたアバターが顔をほころばせる。さすがにNPCだけあって、自然に見える。ただこの世界では自然というのが逆に不自然かもしれない。

「200ダラーでどうだね」

 そう音声が告げて、びっくりしてしまった。

 そうか、千年樹の根は初心者プレイヤーの重要な資金源として設定されているんだ。プランツスレイブが強いのは、そういう理由らしい。

 売るかどうか迷ったけど、売ってしまうことにした。

 他に使い道も知らないし、やっぱり知り合いがいないので、今はダラーの方が必要だろう。

 毎度あり、という言葉と同時に、200ダラーの収入。全部合わせて、僕の懐には250ダラーが振り込まれたことになる。

 店を出て、今度は職人街へ。総合フォロー商会にたどり着き、さて、店内に入るといつものアバターがやってくる。

 武器の耐久度を回復するようにカーソルを動かしてボタンを押す。

 アバターが小さく首を横に振った。

「お客様の騎兵槍キツツキは当店は扱えません。修繕職人の練度30以上のプレイヤーにご依頼ください」

 修繕職人のプレイヤー? 練度30?

 僕はどうするか迷って、とりあえず、円盤盾となめし革の鎧は修繕してもらった。なめし革の鎧に関しては、寿命が間近です、とアバターに念を押された。

 それよりも、修繕職人だって?

 そんな知り合い、いるわけがない。

 自分で探すしかないか。



(続く)

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