プレイ時間:0.5時間〜
プレイ時間:0.5時間〜
アイテムの中でも回復系のアイテムを売ってる店を見つけた。
店名は「華佗の店」だ。華佗? どうもNPCの店のようだけど。
中に入ると、老人のアバターが「何をお求めかな」と尋ねてきて、ウインドウが開いて一覧が表示される。
この手のゲームの常で、最も安い回復アイテムは「薬草」である。しかし「緑草」、「赤草」、「黄草」とある。カーソルを動かすとそれぞれに効果が違うとわかる。
生命力の回復に使える緑草を選択し、一つが10ダラーなのをよく見て、思い切って個数を100にしてみる。
アバターは特に気にした様子もなく、頷いている。
と、ポップが開いて、「緑草を100個手に入れました。携行に追加されました」と表示が出るじゃないか。
恐る恐る店を出て、往来でカーソルを移動させ、携行の欄を見る。
一つ目はこん棒で、これは個数は一つ。
次の項目は緑草で、個数は、100。
全体での数は、「101/ 」である。
もしや、このバグは無限にアイテムを持てるという類のバグなのだろうか。
とんでもないことになってきたぞ。
さすがに興奮しつつ、もう一度、「華佗の店」に入った。回復系のアイテムを買い漁って、5000ダラーほどを無駄に使っていたけど、携行できるのだから、問題ない。
店を出て、次は武器を探した。
路上の店を通りがかりに見ると、短剣があり、値段は100ダラーだ。
これは。
思わず足を止めて店員に確認すると、彼はNPCではなく人間らしい。
「何? 素人さん?」
アバターに似合わない低い声が発せられる。
こちらはボイスチャットを切っているので、テキストで確認する。
「その短剣、レベル1でも使えますか?」
男の視線が何もないところを見据え、そして店員は軽い調子で頷いた。
「こんな武器、レベル1でもなきゃ使わないな」
さすがに回復系アイテムで散財しすぎたせいもあって、思わずこの安物の短剣を買っていた。
こん棒よりはマシだろう。
防具は気になったけど、あまりに店の数が多すぎて、すぐには把握できそうもない。
それにセントラルのすぐそばなら、モンスターもそれほど強敵じゃないだろう。
短剣の名前を確認すると「ダガー」という名前だった。
気になるのは耐久度という数値が15しかないことだ。打撃力という項目は、25。ちなみにこん棒は耐久度も打撃力も20だ。
まぁ、5という数の差がどれだけ大きいか知らないけど、ダガーで行こう。
大通りに戻り、まっすぐに世界樹に向かった。
目の前にトンネルのようなものが見えてくる。
このゲームの戦場は世界樹の中にある。その中には100を超える層があって、上に行くほど出現するモンスターは手強い。もっとも、いくつかのパスワードさえ知っていれば、どの層へも行ける仕様だ。
何はともあれ、第1層を冒険することにしよう。
世界樹に入ると、「危険地帯へ入りました」という表示が出て、すぐに消えた。
(続く)