表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/365

プレイ時間:0.5時間〜

プレイ時間:0.5時間〜



 アイテムの中でも回復系のアイテムを売ってる店を見つけた。

 店名は「華佗の店」だ。華佗? どうもNPCの店のようだけど。

 中に入ると、老人のアバターが「何をお求めかな」と尋ねてきて、ウインドウが開いて一覧が表示される。

 この手のゲームの常で、最も安い回復アイテムは「薬草」である。しかし「緑草」、「赤草」、「黄草」とある。カーソルを動かすとそれぞれに効果が違うとわかる。

 生命力の回復に使える緑草を選択し、一つが10ダラーなのをよく見て、思い切って個数を100にしてみる。

 アバターは特に気にした様子もなく、頷いている。

 と、ポップが開いて、「緑草を100個手に入れました。携行に追加されました」と表示が出るじゃないか。

 恐る恐る店を出て、往来でカーソルを移動させ、携行の欄を見る。

 一つ目はこん棒で、これは個数は一つ。

 次の項目は緑草で、個数は、100。

 全体での数は、「101/ 」である。

 もしや、このバグは無限にアイテムを持てるという類のバグなのだろうか。

 とんでもないことになってきたぞ。

 さすがに興奮しつつ、もう一度、「華佗の店」に入った。回復系のアイテムを買い漁って、5000ダラーほどを無駄に使っていたけど、携行できるのだから、問題ない。

 店を出て、次は武器を探した。

 路上の店を通りがかりに見ると、短剣があり、値段は100ダラーだ。

 これは。

 思わず足を止めて店員に確認すると、彼はNPCではなく人間らしい。

「何? 素人さん?」

 アバターに似合わない低い声が発せられる。

 こちらはボイスチャットを切っているので、テキストで確認する。

「その短剣、レベル1でも使えますか?」

 男の視線が何もないところを見据え、そして店員は軽い調子で頷いた。

「こんな武器、レベル1でもなきゃ使わないな」

 さすがに回復系アイテムで散財しすぎたせいもあって、思わずこの安物の短剣を買っていた。

 こん棒よりはマシだろう。

 防具は気になったけど、あまりに店の数が多すぎて、すぐには把握できそうもない。

 それにセントラルのすぐそばなら、モンスターもそれほど強敵じゃないだろう。

 短剣の名前を確認すると「ダガー」という名前だった。

 気になるのは耐久度という数値が15しかないことだ。打撃力という項目は、25。ちなみにこん棒は耐久度も打撃力も20だ。

 まぁ、5という数の差がどれだけ大きいか知らないけど、ダガーで行こう。

 大通りに戻り、まっすぐに世界樹に向かった。

 目の前にトンネルのようなものが見えてくる。

 このゲームの戦場は世界樹の中にある。その中には100を超える層があって、上に行くほど出現するモンスターは手強い。もっとも、いくつかのパスワードさえ知っていれば、どの層へも行ける仕様だ。

 何はともあれ、第1層を冒険することにしよう。

 世界樹に入ると、「危険地帯へ入りました」という表示が出て、すぐに消えた。



(続く)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ