プレイ時間:15時間〜
プレイ時間:15時間〜
デギオンは複数の素材系アイテムを組み合わせて、武器を作ったけど、面白い光景だった。
まず彼の眼前に格子でできた球体が出現し、そこに亜鉄の石と、幾つかの素材系アイテムが放り込まれる。その球体にデギオンが触れると、格子の中で素材系アイテムが一つに溶け合う。
暗い黄金色の球体が出来上がり、今度はデギオンの手が何もないところから槌のようなものを取り出し、それで球体を叩いた。
一度、二度、三度、と僕は数えていたけど、15回ほど叩くと、球体は棒のようなものに変わっている。
さて、とデギオンのアバターがつぶやく。
彼の手が金属質の棒に触れて撫でていくと、まるで魔法みたいに触れたところから形状が変わっていくのは、ゲームの中とはいえ、美しい。
彼が手を離すと、そこには一本の細い円錐状の武器が出来上がっていた。
短い柄を握って振り回してから、デギオンが振り返る。
「一応、俺が作ったから銘が入っているよ。名前は「キツツキ」だな」
「名前、ですか?」
「これからこの武器アイテムを解体しても、そこから手に入れた素材系を使って作る限り、銘は継承されるんだ。まぁ、気に入らなければ、素材に変えたらNPCに売り払えばいいさ」
とんでもない、と思ったけど、テキストを入力するより先に首を振るモーションを選んだ。ボイスチャットをオンにしていれば、すぐに答えられたんだけど。
しゃべる勇気が僕にあればいいのに。
こういう後悔はもっと先だと思ったけど、意外に早くやってきたものだ。
騎兵槍を受け取ると、テキストが表示され、「騎兵槍キツツキを装備しました」と書いてある。
「次は盾だが、前と同じでいいかな。騎兵槍のせいで、武装と装備できる容量がだいぶ小さいはずだ」
それでいいです、と応じるとデギオンが前と同じ円盤盾を用意してくれた。
「料金だが、ローンを組むかい? そうだな、二ヶ月くらいは待つぞ」
「おいくらですか?」
「槍が1200ダラー、円盤盾は500ダラーだ」
ちょっとびびったけど、すぐ払う旨を伝えると、デギオンが目を丸くした。やっぱり器用なプレイヤーだな、と思う。
「俊敏性と同じく、金離れも良いとは、やっぱり面白い坊やだ」
そう言いながら、デギオンは深入りせずに、料金を受け取った。
この店は何度も来たくなる店だなぁ、と思う自分がいた。
デギオンは、つまり、気持ちいい人なんだ。
(続く)




