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プレイ時間:14.5時間〜

プレイ時間:14.5時間〜



 デギオンの前に進み出て、コントローラーで素早くテキストを入力する。

「以前に買った武器が寿命になったので、新しいものが欲しいのですが」

 デギオンはテキストを読む視線の後、低いけど愛嬌のある口調で応じてくれた。

「それほど早く寿命が来るとは、使い込んだな。いい傾向だ。やる気のあるプレイヤーは好きだよ」

 すっとデギオンのアバターが一礼するモーションをする。僕は頭をさげる基本モーションを選択。

「素材系アイテムに変えたんだろ? 持っている? 売った?」

「持ってます」

 素早く選択して、亜鉄の石を取り出す。

 それをデギオンに渡すのを選択すると、何かのステータスを見たデギオンが一度、頷いた。

「全部は賄えないが、次の武器にこいつも使おう。武器の種類はどうする? また細剣か?」

 どうすると言われても。

 うーん、細剣、でいいのかな。

 ただ、実は三段突きを習得したのを見た時から考えていたことがある。

「槍って、ありますか?」

 そうテキストを入力してみた。

 オーケー、とデギオンが頷き、さっと手を振るモーションをすると、二人の間にウインドウがいくつか開く。

「こいつは短槍、こいつは長槍、そしてこいつが騎兵槍だ」

 一つ目と二つ目は柄の長さが違う槍で、三つ目は細い円錐状の武器だ。

「短槍は近距離で威力があるし、投擲のモーションを覚えていれば、投げることもできる。長槍は中距離なら使い勝手がいいが、両手が塞がるよ。騎兵槍は突きに特化しているけど、他は駄目だな」

 ペラペラとデギオンが解説してくれるのを聞きながら、ウインドウにあるステータスをチェックする。いくつかの項目を見比べていく。攻撃範囲、アイテムとして身につけておくのに必要な数値、そして耐久度と、おおよその寿命。

 値段を気にしないで済むのは、こうなると楽だ。

 僕がじっと考えている間、デギオンは無言で待っていてくれた。

 アドバイスを求めるべきかもしれないけど、デギオンは僕の決断を待っているようでもある。

 自分で決めろ、ということかな。突き放しているわけじゃなくて、ゲームを楽しませようとする意図に見えた。

「騎兵槍、にします」

「騎獣に乗れるのはレベル50から上だぞ。そうでなければ、自分で敵に突っ込むことになるから、俊敏性の数値がないと所持は難しいかな。こちらでも努力するが」

「俊敏性はあります」

 不思議そうな顔になり、デギオンがステータスの開示を確認してくるので、承認。

 僕のステータスを見たデギオンが動きを止める。それからこちらに目をやる。

 アバターなのに、胡乱げな視線の向け方に見える。

「レベル2で敏捷性が260? 見たことないな」

 見たことないもなにも、事実なんだけど……。

 チートを疑われるかな、と思ったけど、デギオンは顎に触れるモーションと首を傾げるモーションを同時に使って、器用に疑問の存在を表現した。

「他のステータスは平凡だから、まぁ、そういう経験時間なんだろうけど、面白いな、坊や」

 面白がられても、その、困る。

「ちょっとやってみよう。少し待ってくれ」

 デギオンが不敵な笑いというような表情を作って、店の壁に向かう。

 僕が見ている前で、彼が手を持ち上げると、その前に様々なものが浮かび上がり始めた。



(続く)

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