プレイ時間:126時間〜
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何度目の即死かわからない。
その間、一回もデギオンを倒せてはいない。
レベルは上がっている。ついに90に達している。
僕は生命力が回復する間に、アイテムを本当に全て放り出した。
携行アイテムだけではなく、武装も装備もだ。予備の武器どことか、鎧さえも捨てた。
唯一、細剣ダイアロンドだけを持つ。
どうせどれだけ防御力を高めても、死ぬだけだ。
なら可能なかぎり身軽でいる方がいい。
デギオンが今まで通りの突撃。
二振りの剣の間合いを正確に読み取り、回避していく。
深い踏み込み、回避不可能な時間差攻撃。
細剣ダイアロンドを僕は複雑に操った。
こちらに向かってくるデギオンの剣による攻撃を、こちらからの攻撃でキャンセルさせようとするが、威力が足りず、わずかな停滞だけ。
その停滞の隙間に身を滑り込ませ、攻撃をやり過ごす。
間合いはまだデギオンの間合い。
しかしそれはこちらも歓迎している。
二本の剣による攻撃は、厳密に計算されて、僕の避ける先さえも把握されているようだ。
その支配を逃れようとしても、結局は切り刻まれる。
僕に自由にできるのは、切り刻まれるのが早いか遅いか、追い詰められるか身を投げ出すか、その程度の差だ。
それならより意味のある方を選ぶ。
僕は二本の剣の前に身をさらして、攻撃モーションを繰り出す。
短い溜めの動作でデギオンの攻撃を回避し、今度はこちらからの反撃。
必死だった。
難解な複数のモーションの連続が、不規則な怒涛の連続攻撃へとつながる。
最初、デギオンはそれを防ごうとした。
しかしデギオンによるこちらの攻撃を中断させるキャンセルのための攻撃さえも、僕の攻撃が逆にキャンセルする。
デギオンが唸る声がした。
ほとんど冗談のように、僕のアバターがデギオンを串刺しにしていく。
体力のゲージがイエローから、レッドに変わる。
足りるか、とは考えなかった。
デギオンの反撃に集中して、封殺していく。
ヒット表示のエフェクトが、一つ大きくなる。
デギオンが倒れこむ。
倒した、のか。
僕のアバターが肩を上下させる。実際の僕も息をするのが苦しかった。
テキストが目の間にポップアップで表示される。
あなたのレベルが94に上がりました。
四つも飛び級したようだ。
「死んだのは久しぶりだ。悪くない動きをするようになったじゃないか」
デギオンが起き上がり、交代だ、と横に控えていたアカリアの方を見る。
アカリアは鎖鎌ではなく、今は短剣を両手に持っている。
「まぁ、やるようにはなったかな。僕も本気でやるとしよう」
こうして僕は今度はアカリアと訓練をした。
僕はやっぱり数え切れないほど即死して、アカリアを一度だけ、倒せた。
レベルは上がり続け、この日のうちに99に達した。
二人にははるかに及ばないけれど、数値の上では差を縮めることはできていると思うしかない。
(続く)




