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プレイ時間:8時間〜

プレイ時間:8時間〜



 夕方に家に帰ってきて、夕飯の前にちょっとWTCの中でやっておくべきことに気づいた。

 セーブポイントから大通りを戻り、華佗の店へ行く。

 老人のNPCのアバターを介して、祝福の雫を追加で買っておく。

 緑草よりも効果が強いし、何せ、僕にはダラーは余るほどある。というわけで、祝福の雫を追加で16個、買い求めて、全部で30個になるように補充した。

 そろそろダラーの残額を確認する必要もある気がしたけど、会計の場面で残額がまだ8万ダラーよりも大きいので、自分の杞憂が可笑しかった。

 こうして完全な状態で、僕は足早に、という気持ちで実際にはノロノロと草原に向かい、ためらいもなく危険地帯に踏み込んだ。

 できればプランツスレイブとやりたいなぁ、と思ったけれど、それより先に化け草が飛び出してきた。

 攻撃をとっさに回避モーションで右に避けようとしても、アバターが遅い。

 っていうか、今までで一番、動きが悪い。

 体力か? 違う、ほとんど減っていない。

 敏捷性の数値はそもそも減る仕様ではない。体力の影響は受けるけど、今はそこまでの体力の減りじゃない。

 なんなんだ?

 ダメージを受けて、生命力が減る。こんなことじゃ、また武具のアイテムを補修しないといけなくなるぞ。

 しかし対処法はある。過去の苦い経験を踏まえて、連続攻撃、を意識したただの単発攻撃モーションの繰り返しで押し込んでいく。これ以外に選択肢がないのだった。

 化け草が消滅した時、さすがに僕も額を拭おうとして、ヘッドギアを付けていることにやっと気づいた。

 経験値が手に入り、それより先に生命力を回復させるために祝福の雫を四つ、消費した。今回はちゃんと周囲を把握しておくために、スティックをぐるぐるして視野を巡らせる。同時に首を左右に振って、更に念入りに確認。

 と、さっきの化け草が飛び出してきた草むらから、新たな化け草が飛び出してくる。

 それはちゃんと見えていた。

 見えていたけれど、同時に二体、出てきた。

 二体!

 さすがに分が悪いというか、勝てるわけがない。

 円盤盾で防ぎつつ後退を選択。

 ああ、もう! なんでこんなに動きが遅いんだ?

 TWCの戦闘では、逃げることを選ぶことが可能で、それはモンスターからそれなりの速度で離れればいい。離れ方は後ろ向きに進んでもいいし、モンスターに背中を向けてもいい。

 とにかくモンスターの認識の圏外に出ることができれば、それで逃げは成立する。

 そのはずなんだけど、僕には今、それができなかった。

 後ろ向きに盾で防御しつつ下がるけど、二体の化け草の攻撃を捌けるわけもなく、逃げに徹するにも足が遅すぎる。

 全快したはずの生命力が半分になり、四分の一になり、八分の一になった。

 ゼロに変わる。

 そうしてあっさりと、僕はまた死んだのだった。

 このゲーム、本当に人気ゲームか?



(続く)

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