プレイ時間:117.5時間〜
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長話になっちまったな、とグリドリンが頷く。
「ハルハロン、あんたはデギオンとアカリアを探しているのか?」
どう答えればいいか、わからなかった。
そんな僕に、グリドリンが嬉しそうに言う。
「探しているから、その服を着ているんだろう?」
「そうかもしれません」
二人にはまた会いたい。
でもなぜか、会えないような気がする。
違う世界に行ってしまったような。
二人か、もしくは僕が。
「何かわかったらあんたにメッセージを送るよ」
「ありがとう。セグドリンがあなたを探しているけど、この店のことを教えてもいいかな」
「いや、それは俺から連絡する。あいつは何をしていたか、まだ聞いていないな」
「第33層でひっそりと商売をしている。僕は彼に防寒着を作ってもらった」
ああ、あの吹雪の層で必要な防寒着か、とグリドリンが頷いている。
彼がどこかに視線をやったかと思うと、僕のアカウントにメッセージが届く。送り主はグリドリン。さっき、僕が素性を明かした時に他意がないことを示すためにメールアドレスも伝えていて、早速、それを辿ったらしい。
「今、どこの階層を攻めている?」
「第50層。ビッグ・フォールの危険地帯です」
ああ、そこね。そう言ってからグリドリンが僕が求めている答えを口にしそうになり、「待って!」ととっさに止めていた。
ぽかんとした顔をアバターに作らせるグリドリン。
「僕は自力でどうにかしたいと思っている」
「ヒントなしでか?」
「そう」
短い返事に、グリドリンは何度か頷いて、ヒントの中のヒントでも教えてやるよ、と言った。
「ヒントのヒントのヒントにしてください」
「ややこしいなぁ。あの危険地帯の攻略の最初の一歩はイベントからだ。どういうイベントがありそうか、考えるか、調べるかするんだな。俺はログアウトする。またな、ハルハロン」
こちらから何を言う間も作らずに手を振って、グリドリンのアバターが消える。入れ違いに彼が使っているらしいNPCアバターがやってきて、閉店を告げた。
イベントか。
外に出て、中央広場に向かいながら、思案した。
イベントから始まったボス戦はあっても、危険地帯に入るためにイベントがあったことはない。
イベントということは、そのきっかけは必ずNPCから始まるはず。他にはプレイヤー一人で起動しないイベントもあるから、そうなると僕は詰んでしまうだろう。
しかし、あの情報屋は人数には少しも触れなかった。
どういう可能性があるだろう?
(続く)




