プレイ時間:108時間〜
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喫茶店の中には五人がそろっていた。
「ほんじゃ、行きますか」
ヴァルナヴァルがすぐに席を立つ。ガルケス、デイロード、アンリー、ユンリーと続く。
揃って中央広場に行き、ヴァルナヴァルがやりたいというので、それに従って彼がパスワードを入力するのに同期する。
景色が変わった先は、廃墟だった。
薄暗く、朽ちかけた近代的な建物の群れ。どこかでカラスが鳴き、風が吹いてチラシが地面を這うように舞う。
「ここが次の街か」
デイロードが周囲を見て呟く。
街の名前は「ロスト・シティ」。僕はすでに攻略している。
「ここはショップが極端に少ないから、他所からアイテムを持ってこないといけない」
そう説明すると、廃墟だしね、とアンリーが応じる。
「問題は宿もなければ食料品店もない」
この一言はさすがに彼らにも気になったようだ。
「じゃあ、どうやって体力を回復させるんだい?」
ガルケスの言葉に、だから他所でだよ、と答えるしかない。
「この層に長居するのは無理だけど、まあ、ちょっとした手間があるだけ、というかね」
「さっさと攻略して、上に行こうぜ。ボス、ここの危険地帯の概要は?」
すでにヴァルナヴァルはここを通過地点と見ているようだ。
心強いけど、レベルがやや足りないかもしれない。
「危険地帯の名称は「廃墟」だね」
「そのままじゃないか」
「出現するモンスターはロボットだ。バトル・ドロイドが多いかな。ボスはジェノサイダー。これも機械だ」
SFの設定なんだな、とデイロードが呟く。
「この街の特徴はNPCの武具職人が多いことだね。修繕屋も多い。武器や防具のメンテナンスには好都合だ」
自分でそう説明して、騎兵槍と鋼鱗の盾をここで直すことに決めた。
セーブポイントにできる飲食店がないので、僕たちはただの街頭を新しいセーブポイントにした。
「ボイスルームで明日のことを話そうか」
僕からそう促すと、全員が了承して、一度、ログアウトした。
ボイスルームは、ボイスチャットでやりとりできる会議システムで、周りに秘密の会話ができる。その代わり、一度、ログアウトしないといけない。
トップページからボイスルームを選択し、フレンド登録している中で了承し合ったものだけが集まる。
そこで僕は明日の午後、真澄と顔合わせをする時の段取りについて、打ち合わせた。
今更、誰にも異存はないし、脇坂くんなどは「美少女だといいなぁ」などと呟いていた。
そのまま雑談になり、しかし時間も時間なので、一斉にログアウトすることになった。
僕自身のTWC攻略はまったく前進していない。不満はないけど、焦燥はある。
夏休みになれば少しは時間が取れるだろうけど、さて、どこまで進めるだろうか。
まだデギオンの背中も、アカリアの背中も、遠すぎる。
(続く)




