街の選挙
「……はぁー夢じゃないか」
夢である事を祈りながら寝た吉田煌介は少し悲しく思いながら雲の観察をするべく鍵を開けて部屋を出た。
「今日も一日中快晴になりそうだな」
雲が無くて少し悲しく思った煌介は部屋に戻り外出の準備をしていた。
「今日で異世界の文字を翻訳出来るようにしたいな」
(異世界の文字が分かれば色々と良いからな)と思い煌介が準備をしていると、いきなりノックがかかり扉の向こうから声がした。
「コウスケさん、カナシアです。部屋に入っても良いですか?」
「入っても良いけど靴を脱いでから入って」
「分かりました。ではお邪魔します」
彼女、カナシア・コールデンは靴を脱ぎ部屋に入った。
「変わった部屋ですね。見たことが無い物ばかりで興味があります。……この本読んで良いですか?」
「読めないと思うから読まなくて良いよ。あと、勝手に触らないでくれよ。危険な物ばかりあるからな」
「……はい、分かりました……座っても良いですか?」
「良いよ座っても。後、俺に何か話があるのだろ」
カナシアはベッドに座り煌介から言われて「はい、そうなんです」と言い来た理由を話した。
「今日、街の『最高責任者を決める選挙』がある事を昨日伝え忘れたので来ました」
「選挙?それって義務なのか?まず、俺らは選挙に参加出来るのか?それって強制参加なのか?」
日本では、選挙の投票は18歳以上しか出来ず煌介にとっては関係ない話だと思っていた。
「7歳以上であれば絶対参加しないといけませんよ。投票しなかったら牢獄行きですし、『この街に住んでいる人』が対象ですので絶対参加ですね」
しかし、煌介に関係する話だった。
(うわー面倒くせー)と思った煌介はカナシアに「代わりに投票してくれないか」と言うが首を横に振られて、「本人じゃないといけないので」と言われた。煌介は渋々了解しカナシアと一緒に投票しに行った。
投票する場所は街の中央で行われており、そこには幼い子供や老人が集まっていてその中には冒険者もいた。
「俺、投票する人の顔も名前も知らないのにどうやって選べばいいんだ?」
「投票されている人に聞けば名前を答えてくれますよ。今日、遠出から帰って来た冒険者は皆んな聞くので安心してください」
「………遠出から帰ってくる冒険者は皆んなこの日に合わせて帰ってくるのか?」
「そうですよ。『街に住んでいる人』が対象者なので」
(うわっ、まじか!俺も遠出する時は気をつけよ)と思う煌介は代表者の所に行った。
投票する人は3人おり、その人達は全員男性だった。
「あのーすみません、名前と、どうして最高責任者になりたいと思ったのですか?」
「ほぅ、貴様は我の名と理由を知らないと。つまり遠出から帰ってきた冒険者だな」
「いえ、違います」と煌介は言うが男はそのまま話をし続けてた。
「我の名は『シルバー・ストリーク』だ。我がここにいる意味は、『貧困を完全に消す』為だ。まだ、この街には貧乏生活をしている輩が残っている。我はこの不平等に不満を持っている。この不満を消すには最高責任者にならないと出来ない。だから、我に票をいれてくれ!」
(あ〜貧困ね。次の人聞こう)と思いながら煌介は次の人の所に行った。
「すみません、名前と理由を聞きたいです」
「はい、分かりました。では僕の名前は『キール・ロワイヤル』です。僕がなりたい理由は『種族の差別を無くしたい』からです。世界では未だに種族による差別がなくなっていません。それにより戦争が起き、沢山の犠牲者が出たこともありました。僕はそんな事が起きて欲しくない。だから、僕に投票をしてください。お願いします!」
(はいはい差別ですね。次の所行こ)と煌介は思いながら次の所に行った。
「名前と理由、言ってください」
「うーん、なんか扱いが酷い気がするけど良いか。俺は『テネシー・クーラー』だ。理由はこの『街の発展』をしたいからかな。この街、王都に近いくせに、あんまり発展していないんだよなー。王都から職人達を呼んで発展させたいんだよ。だから、投票、宜しくお願いします」
(街の発展か。取り敢えずカナシアの所に行こ)と思い煌介はカナシアの所に行った。
「カナシアは誰に投票するんだ?」
「私はテネシーさんに投票しようと思います」
「代表者の中で一番カッコ良いから?」
「違います!それ相応の理由があるからです」
(違ったか。身長の僕だったのか)と思う煌介にカナシアから「誰に投票するのですか?」と聞かれた。
「俺は、シルバーさんの方に投票しようかな。金がないと自由に生活することが出来ないしな」
煌介はそう言いカナシアと一緒に投票しに行った。
投票を終えた2人はギルドで依頼を受けて街の外に出ていた。
「今回の依頼は難しい?それとも簡単?」
「難しいですね。『旨蛇』はレアモンスターなので中々見かけませんし、目撃してから半年経っているのでどこを探せば良いのか分かりません」
(何でそんな難しい依頼するのかな)と思う煌介に一つの豆知識を思い出した。
「そうだ、髪の毛を燃やして蛇を誘き出せば見つかるかもしれない」
『人の髪の毛を燃やすと蛇が寄って来る』と親から聞いていた煌介は早速髪の毛を切ろうとした。
※蛇が寄ってくる理由は交尾をする時の音に似ているや、燃やした時の臭いで寄ってくるなど色々と理由がある。
「そうなんですか?それで旨蛇から、こちらに来るのですか?」
「そうだと思う。だけど、違う蛇もやって来るかもしれない。乗る?乗らない?」
「その話、乗ります!簡単に終わらせたいので!」
2人は自分の髪の毛を切りカナシアに燃やしてもらった。燃やしてから数十分、蛇が数十匹いた。
「カナシア、旨蛇は見つかったか?」
「……いました!あれです!あれが旨蛇です!」
カナシアが指した方に黒と青の縞模様の蛇がいた。
キャラクター紹介
シルバー・ストリーク
男性 19歳 身長182cm O型
街の最高責任者になろうとしている3人の内の1人。幼少期が貧乏暮らしだったので貧困をこの世から無くすと決意し、これに参加した。時々貧困で困っている人を助けている。最近、家に泥棒が入りお金が半分になった。
キール・ロワイヤル
男性 23歳 身長187cm A型
街の最高責任者になろうとしている3人の内の1人。親が「どんな人にも丁寧に」と言い7歳からずっとその調子。戦争が嫌いでいつも「戦争が起きないでください」と願っている。最近、ペットを飼い始めた。(犬)
テネシー・クーラー
男性 17歳 身長175cm O型
街の最高責任者になろうとしている3人の内の1人。コミュ障で人と話すことが苦手。人と話す時は創った自分と話すようにしており、いつもはネガティブ思考で生きている。最近、友達ができた。
モンスター紹介
旨蛇
体長1.5m 体重500g
黒と青の縞模様柄の蛇。貴族の高級料理に使う為死体で売ると最高で家が立つ。生きたままなら最高で豪邸が立つ程高く売られる。旨蛇の肉を食えば寿命が伸びると言われている。