真珠、採取
「相席ですか?いいですよ。どうぞどうぞ」
女の人は「ありがとうございます」と言い隣に座った。
「私は『カナシア・コールデン』と申します。『カナシア』と呼んでください。貴方の名前は?」
「吉田煌介です。『コウスケ』でいいよ」
「分かりました。ではコウスケさん。急な頼みですが聞いてもらいませんか?」
「いいですよ。俺で良ければ。」
彼女は「ありがとうございます!」と言い頼み事の内容を言ってきた。
「真珠蛙から取れる真珠の採取を手伝ってくれませんか?勿論、報酬の山分けもします。だから、手伝ってくれませんか?」
「それって、ギルドの依頼だよな?」
「はい、そうですよ」
(この女俺に喧嘩売りに来てるだろ!俺、ギルドに登録してねーのに!)と煌介は思いながらギルドに登録していないことをカナシアに言った。
「俺、ギルドに登録していないから出来ない。他を当たってくれ」
「えぇ!そんな…他の冒険者は今、遠出してていないんです!ギルド登録費は私が払うので手伝ってください!」
煌介は「わかった。わかったって」と言いギルドの登録をするべく受付嬢の所に行った。
「はい、100ゴールド。これで登録します。」
「はい、わかりました。ではこちらの契約書にサインしてください。」
煌介は日本語で契約書にサインした。
「…あのーこれはなんて…」
「『ヨシダコウスケ』と読みます」
「…はい、わかりました。では、こちらがギルドカードになります」
「ギルドカード?なぁカナシア『ギルドカード』ってなんだ?」
「ギルドカードとはギルドに登録した人しか持ってないカードです。熟した依頼の内容や倒したモンスターの数が分かります。私のはこれですよ」
カナシアは煌介にカードを渡し[私すごいでしょ]アピールをしてきたが、煌介にとっては(なんて書いてあるんだろう)と思いながら見てた。
「では、これくらいにして行きますよ」
「ちょっと待って俺、素手で行くことになるから、荷物取ってきといい?自分の部屋にあるから」
「…分かりました。なら、私も一緒に行きます」
「えぇ!?…わかった」
煌介はカナシアを連れて自分の家の部屋に帰って行った。
「なぁ、真珠って何個採取するんだ?」
煌介は帰路の途中でカナシアから真珠の採取する数を聞いていた。
「真珠の数は50個です。今日、50個以上真珠を取らないと野宿になるので」
「50個?それって多い方なのか?それとも少ない方なのか?」
「多いです。一人で10個取れればいい方ですので」
(俺、爆弾女を抱えたかもしれない)と煌介は思いながら自分の家についた。「直ぐに支度するから待ってて」と言い煌介は部屋の中に入った。
「さて、準備するか」
煌介はリュックの中に塩酸が入った瓶と水酸化ナトリウム水溶液が入った瓶を入れて、もしものための医療箱も入れてナイフとお土産で買ったリグナムバイタ製の木刀を手に持ち準備を終わらせ、部屋から出た。
「準備はできましたか?」
「準備OKだ。」
煌介たちは街の外に出る為に門の方へ行った。
「なぁ、門て一つしか無いのか?」
「東西南北にそれぞれ一つずつ。北は王都『サンダライト』、南は砂漠の都市『サザンドラ』、西は深海の森『ウッズ』、東は魔女の街『ウィッザーハウス』とそれぞれに行く為の道があります。何故コウスケさんは分からなかったのですか?」
「記憶にないので」
「…そうですか。一応私たちは東の門の方に行ってますので」
煌介はカナシアからこの街の常識を教えてもらいながら東の門に着いた。
「ここから先はモンスターがいるので気を引き締めてください」
「わかったけど、その真珠蛙って強いのか?」
「簡単に倒せるモンスターなので弱いです」
「そうなんだ」
煌介たちが門の外に出ると早速真珠蛙が現れた。
「でか!ガマガエルぐらいの大きさだと思ったのに!」
真珠蛙は体長1m程の大きな蛙だった。
「コウスケさん。出来るだけ傷を少なめで仕留めてください。特に目は狙わないでください。結構価値があるので」
「わかったけど、カナシアは何もしないのか?」
「非常事態の為に魔力を貯めておきたいので」
(こいつ!ただ単に働きたくないだけだろ!)と煌介は思いながら真珠蛙に木刀で戦った。
「おい。倒したけど次、何すればいいんだ?」
「蛙から心臓を抜いてください。そこに真珠が何個かあるので」
「わかった。…蛙の解剖久しぶりだな。中3以来か」
煌介は蛙を解剖し、心臓を取り出し持ってきた水酸化ナトリウム水溶液が入っている瓶の中にいれた。
「⁉︎いきなり何してるのですか!心臓を謎の液体の中に入れて…」
「謎の液体ではなくて水酸化ナトリウム水溶液だ。心臓を溶かして真珠だけ綺麗に取り出そうとしているところなんだよ」
「すいさんかなとりうむすいようえき?よく分からないですが真珠を取り出していたのですね。すみません勘違いしてました」
「いいよ別に。そこまで気にしていないし」
心臓を入れてから3分後、細胞の部分は溶けて綺麗に真珠だけが残った。
「蛙から取れる真珠の数は決まっているのか?俺が見るには5個あるぞ」
「取れる真珠の数はいつも1個から2個なのでコウスケさんは運が強いのですね」
(俺は運は悪い方だと思うけどな)と思いながら煌介は持ってきたナイフで上手く真珠を取り出し引き続き真珠蛙を討伐して真珠を採取していった。
(ピンセット、持ってこればよかった〜)ピンセットを忘れた煌介はこの悲しみを晒そうとカナシアに話しかけた。
「なぁ、カナシアは魔法使えるのか?『魔力を貯めておきたい』と言ってたし」
「勿論使えますよ。初歩魔法の【ライター】ならいいですよ。見せましょうか?」
「じゃあ、見させてください」
「分かりました。では、…【ライター】」
そうするとカナシアの指先に小さな火が灯った。
「おおーすごい。俺も練習したらできるかな?」
「練習すれば誰でも出来、ま、す、よ…」
「?どうしたカナシア。驚いた顔をして」
「コウスケさん、後ろ…」
「後ろ?後ろがどうしたって言うんだ…」
後ろに顔を向けると、巨大なカマキリがこちらを見ていた。
キャラクター紹介
カナシア・コールデン
女性 15歳 身長166cm A型
去年、親との喧嘩で一人暮らしをすることになった少女。魔法は7歳から始めており上級魔法まで使える。好きな男性は自分より身長が高く優しくしてくれる人。
モンスター紹介
真珠蛙
体長1m 体重70kg
オスは黄ばんだ白でありメスはとても綺麗な純白の色をした蛙。眼玉は貴族の珍味として人気があり高値で売られている。心臓の部分にしか真珠は出来ない。比較的、簡単に倒すことが出来る為、よく魔法使いの的になっている。
巨大カマキリ
体長5m 体重170kg
今はまだ何もわからない。煌介のことを食べようとしている。