初めての事件
翌日の放課後、玲奈は本を開いてその内容を見た。本によると、今日の午後に山で転落事故があるらしい。玲奈達三人は早速、現地に向かった。
玲奈達が向かったのは、青波台の北の方にある小高い山、白部山だった。玲奈達は低学年の時に遠足で登った事がある。
「しかし、こんな山で本当に死亡事故なんて起こるのか?」
勤がそう言って本に書かれている事に疑問を抱く。ところが、玲奈はそれを信じて疑わない。
「この本に書かれている事は本当に起きるんだよ!私、見たもん…」
勤は、玲奈の本をもう一度よく見た。そこには、確かに今日の日付と、その下には老人が白部山で転落死すると書かれている。
「なんでこの本は、俺達にここまで親切に教えてくれるんだろうな」
「それは…、分からない」
玲奈と勤が話しながら山を登る中、智はその後ろを黙って付いて来る。智は、何か伝えたい事があるようだが、敢えて黙っているようだつた。
「とにかく!その本に書かれている老人と、転落しそうな場所を探さなきゃ!」
玲奈は、勤の手を引いて山を登っていった。
そして、頂上に差し掛かった時、玲奈は同じように山を登っている男性の老人を見つけた。老人は、重たい荷物を背負って、神社にお参りに行っていたようだった。
お参りを済ませた後、玲奈は、早速その老人に話し掛けた。
「こんにちは!お爺さん」
老人は、玲奈達に気づいて返事を返す。
「おう、若いの、君達も散歩かい?」
「はい!丁度私達も帰りますし、一緒に帰りませんか?」
「まぁ、構わないが…」
玲奈はお爺さんの手を引いて、一緒に山を降りる。それを見た勤は、玲奈の前に出て、こう言った。
「俺は先に行って道の様子を見てくる!」
「勤君、ありがとう!」
勤は、玲奈を置いて走って山を降りて行った。しばらく降りていると、途中の道が崩れかかっている。それを見た勤は、走って戻り、玲奈に伝えた。
「玲奈、あっちの道は危ない」
「そうなの?それじゃあ、お爺さん、別の道から帰りましょうか」
「いつもの道が危ない、とな…?」
どうやら、その道は普段その老人が通る道だったようだ。玲奈は、別の道を通って、町に降りる。
そして、老人は無事に白部山から降りて、家に帰って行った。玲奈が本を開くと、そのページの文字は消えていた。町は夕焼けに包まれ、子供達が帰って行く。
「良かった、無事に免れたようだな」
「うん、この調子で解決すればいいんだよね…?」
玲奈が本を閉じて振り向くと、さっきまで居たはずの智の姿が無かった。
「あれ?智君は?」
「山を登る時は居たのに、いつの間にか消えてる…」
玲奈と勤は、智の事を探してもう一度山を登ったが、崩れかかった山道にも、頂上にも姿はなかった。
玲奈と勤は、智の事を気にしながら白部山を再び後にした。その様子を何者かが、木陰から覗いていた。