真の最後の事件
香澄と別れた智は、一人帰ろうとしていた。その時、何かの気配を感じて、慌てて振り返る。
「そうだ、まだ終わっていなかったんだ!」
智は香澄の身の危険を察していた。本が無いので確証はないが、解決しようとしていた七つの事件は未だ解決していない。
「やっぱり俺が付いてないといけなかったんだ、香澄さん!」
智は慌てて走り出し、香澄の事を必死に探した。
智が慌てている事を少しも知らない香澄は、今も梨乃と一緒に居た。どうやら、家に着くまで付いて行くのだそうだ。
すると、智を探していた玲奈が、勤と一緒にやって来た。
「梨乃姉ちゃん、智君が見つからないの!」
どうやら、玲奈は智を探す時に偶然勤と出会って、一緒に探していたのだそうだ。梨乃は、香澄を家に送った後で探すと言って、玲奈達を後ろに歩かせた。
そして、梨乃は香澄を連れて梨乃達の前を歩いていた。その時だった。建設途中のビルの鉄骨が崩れて、香澄の元へ落ちて来る。
「危ない!」
梨乃は術で突風を吹かせて鉄骨を飛ばすと、香澄の手を引いて、その場から離れた。
鉄骨は地面に落ちたが、術のお陰で誰の所にも落ちず、地上の影響は最小限に抑えられた。
梨乃は安堵して香澄の手を握っていると、何処からか梨乃の名を呼ぶ声が聞こえた。見ると、梨乃によく似た老人がこちらを向いている。
「死の気配を感じて来てみたが、大丈夫そうだな」
「お祖父さん、どうしてここに?」
そこに居たのは梨乃の祖父である風見守だった。守は、梨乃と香澄の無事を確認して、安堵する。
「梨乃姉ちゃん!香澄さん!」
玲奈は二人の間に割り込んで、笑った。二人も、玲奈の笑顔を見て、また笑った。
そして、歩き疲れた香澄を休憩させる為に、玲奈達は公園に来ていた。香澄は、ベンチでお茶を飲み、一息つく。すると、そこに玲奈が探していたはずの智がやって来た。
「香澄さん!」
智はどういう訳か、慌てた様子で香澄に駆け寄る。どうやら、だが、誰もそれに気づいていない。
「智君!ずっと探してたんだよ!何処行ってたの…?」
玲奈はそう智に聞くが智は玲奈の事が眼中にない。ただ真っ直ぐに香澄を見つめている。
「香澄さん、僕は前世からずっとあなたの事を探していました。」
「前世…?」
香澄は突然の一言にただ立ち尽くして、智の事をじっと見ていた。




