新たな事件
翌日、早速玲奈は本を開いた。すると、そこには少女が神隠しに遭って、行方不明になっていると書いている。
そういえば、昨日青波台で行方不明になった者が居ると聞いた。恐らく、それなのだろう。警察も必死で探しているそうだが、未だに見つかっていない。
玲奈達は早速少女が居そうな場所を探したが、どれだけ探しても見つかりそうにない。
すると、ずっと何かを注意深く察知していた梨乃が、玲奈にこう言った。
「これだけ探しても見つからないのなら、“人ならぬ者”が関わっているのかもしれない」
「そうなの…?」
「神隠しと呼ばれるものの中には、霊や妖、怪が関わっている事があるんだって、おじいちゃんが言っていたの」
梨乃の祖父である守も、瞬程ではないが能力を持っていた。人の寿命を視る事が出来る守は、死出山で神隠しに遭った人を何回も見ていたらしい。
また、瞬も幼い頃に神隠しに遭った事がある。その時は、霊が関わっていた。そうなれば、今回の事件もその可能性が高い。
だが、今の所その原因らしいものに出逢わない。神隠しに遭った時に、瞬は神社に居た事を知っていた梨乃は、青波台にある神社に行こうとした。
青波台の北にある山、白部山には白部神社がある。そこは、竜神が祀られているという事で有名だった。梨乃がその話をしている間、勤はずっと何かを考えている。
「勤君、どうしたの?」
「いや、竜神が人攫いなんてやるのかなって」
「怪としての本性が出ただけだろ」
勤の考えに割り込むように、智がそう呟く。智によると、竜は怪の一種なんだそうで、人間を襲っても何の違和感も無いのだそうだ。
「智君って、霊とか妖や怪を信じてるの?信じてないの?」
玲奈がそう聞くと、智は急に黙り込んだ。智は何故か梨乃と同じかそれ以上に、その話に詳しいのに、何かにかけてそれを黙ろうとするのだった。
そして、玲奈達は神社に辿り着いた。だが、祭殿の中には誰も居ない。梨乃は、その奥にある本殿の中に入った。すると、透明な糸に縛られた五歳くらいの少女が、本殿の隅の方に居る。
梨乃は、霊術でそれを断ち切ると、少女を抱えて外に出た。
「大丈夫?!」
「うん…」
「どうして、普段寄り付かない本殿に居たの…?」
「竜を見たの、そしたら、いつの間にかここに…」
竜を見た事に衝撃を受けていたのか、少女は混乱しているようだった。梨乃は、少女を背負って山から降りようとすると、何故か少女は梨乃の耳を引っ張った。
「今行ったらダメ!お姉さん達も竜に攫われるよ?!」
「そうなの?」
「私見たの、同じように連れ去られた人が何人も居る」
梨乃は少女を一度降ろして、話を聞いた。
少女の名前は石見奈々と言った。彼女によると、竜を目撃した人が何人も居て、その人が皆、竜に連れ去られているらしい。その人達は今も山の何処かに居るそうだ。玲奈が本を見ると、奈々が言っていた事と同じ事が書かれてあった。
「じゃあ、その人達を探さないとね!」
玲奈達四人は奈々を連れて、山の中を探した。最初の時も同じ場所で事件が起きたはずなのに、どういう訳か前よりも山が広く感じる。
「何が起ころうとしてるんだ…?こんなはずじゃなかったのに…」
皆が行方不明になった他の者を探している間、智は一人顔を真っ青にして、頭を抱えていた。




