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記憶の奥底で


 玲奈は、慌てた様子で戻って来た梨乃に驚き、声を出した。

「梨乃姉ちゃん!どうしたの?」

「急に思い出した事があって…、一緒に来てくれない?」

一同は、梨乃に付いていき、ある所に辿り着いた。




 そこは、大きな交差点だった。梨乃は、そこの真ん中に立って、数珠を握る。すると、梨乃の周囲に『風』が吹き込んで来た。梨乃はその『風』を読んで記憶を辿っていた。目を閉じると、過去の情景が浮かんで来る。


 それは、まだこの交差点に車が通っていた頃だった。幼い双子の姉妹が、そこで交通事故に遭った。片方は命を落としたが、もう片方の少女は、片方に庇われたお陰で一命を取り留めた。梨乃は、死んだ方の少女が自分だったのだとすぐ分かった。


 そして梨乃は目を開けると、すぐに由香の方を見た。

「由香…?」

普段、梨乃は叔母である由香の事を呼び捨てにはしない。それなのに、急にそう呼んだ。

 すると、由香は何か気づいていたらしく、梨乃に微笑んだ。

「実は産まれた時から気づいていた、やっぱり私の事が気になっていたのね」

由香は、梨乃がようやく気づいてよかったと思っていた。

「由香さんに双子の姉の千香さんが居たのは本当だったんだ…」

玲奈は梨乃の後ろでそう言って驚いていた。

「前世の記憶か…、俺にもあったりするのかな」

「私にはよく分からないや」

玲奈と勤がそう言って笑い合う中、智は急に真剣な顔になって、何かを睨んでいた。



 死出山から立ち去る直前に、梨乃は霊水晶の数珠を握り締めた。自分の力がどういうものなのか、全体像は自分でもよく分かっていない。それでも、この力が誰かの助けになるように使いたい。


 梨乃がそう考えていたその時、何処かから感じた事のない霊力を感じた。それは、『風見』の力でもなく、人間が発するものでもない。

「“人ならぬ者”が、私達に干渉している…?」

梨乃はそう言って周囲を見渡したが、それらしき人は居ず、卓や瞬に聞いても、首を振るばかりだった。




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