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死出山へ


 その週末の事だった。玲奈達四人と、瞬と瞬の妻である由香は、電車に乗って死出山の近くまで向かい、それから歩いた。

 玲奈と梨乃は何度も訪れた事があったが、勤と智は初めてだった。

「そういえば…、智君は前は死出山の近くに住んでたんだよね?」

「ああ…、そうだけど?」

「引っ越す前はどうだったの?」

「引っ越す前?今と変わらないよ」

次に玲奈は、勤と話を始めた。

「勤君のご両親は昔ここに暮らしていたんだよね?」

「ああ…、人が居なくなる少し前までな。だから玲奈達が死出山の話をしているのを聞いて驚いたんだよ」

勤の両親は死出山出身だった。その為、玲奈が茂の孫だと聞いて、驚いていた。智も、玲奈が死出山の事を知っている事に驚いているらしい。

「そういえば…、智君はどうして私に最初に会った時、渡辺茂の孫だって分かったの?」

「別に、どうだっていいだろ」

その後、智は玲奈とも勤とも視線を合わさず、一人考えながら歩いていた。




 その地には、今はもう人は住んでいない。いや、住めなくなっているのだ。死後の世界に繋がる地とされている死出山は、人が暮らしていた頃から不可解な事故が多数発生していた。


 玲奈は、死出山に住んでいた事はない。だが、茂や瞬達の話を聞いた事はあった。現地に辿り着くと、今も家や学校がそのままの状態で残っている。それは、確かにこの地に人が住んでいたというのを伝えているようだった。



 梨乃は玲奈達と分かれ、卓と一緒に死出山を登っていた。どうやら、梨乃達のご先祖様で、『風見の始祖』と呼ばれる風見清蓮に会う為らしい。

「卓兄さんが清蓮さんに会った事があるって本当なんですか?」

「ああ…、丁度今の玲奈ちゃん達くらいの時にね」

「御先祖様が陰陽師だったなんて…、信じられません」

「俺達の御先祖様は、今の俺達以上の力を持って妖達を退治していたらしい。俺も、清蓮と同じ『風見』の能力を持っているらしいが、清蓮と同じようには使えない。」

「卓兄さん…」

梨乃は、卓が力を使っている所を見た事がなかった。記憶を辿る能力だからか、周囲の目にはっきり見えない。それに、卓は自分の力を積極的に使おうとしない。


 それに、清蓮と同じ力なら、妖や霊に対処できる霊術が使えるはずなのだ。だが、風見の能力と、陰陽師の霊術は同じ力でも全く異なるものらしく、能力者だからといって必ずしも陰陽師の霊術を使える訳ではない。



 霊術を使う為には、それに対応出来る程の霊力と、修行を積まないといけない。瞬も卓も、霊術を使える程の霊力は持っていない。だが、卓は梨乃こそは陰陽師の力を使えると思っているのだそうだ。

「今の梨乃は明らかに昔の俺よりも強い力をもっている。だから、梨乃だったら陰陽師の力を使いこなせるかもしれないって思っているんだ」

卓の話を聞きながら、梨乃は以前無意識に力を使った事を思い出した。玲奈を守ろうと動いた時、一瞬だけ自分の周囲に風が吹いたような気がしたのだ。

「そういえば…、この前玲奈ちゃんを守ろうとしたら、風を発生したんです。もしかして、自分で発生させたのではないかな…って」

「ひょっとして、それは霊術の片鱗かもしれないな」

梨乃と卓はそう話しながら、山の奥へ奥へと入って行った。



 

 梨乃が居なくなった後、玲奈は勤と智の事を見ていた。同級生の中には、男子と一緒に居る事に色々言う人も居るが、玲奈は誰と一緒に居ようと何も変わらない。

「恋かぁ…」

男の子が二人も側に居るのに、玲奈は恋心というのがまだよく分からない。恋をするのは何も、同級生の男の子だけではないよ。と愛花は言うが、玲奈はまだ実感が湧かない。

 恋がしたいと、昔愛花に言った玲奈だったが、今はまだその気持ちがよく分からなかった。

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