登場人物紹介:その5
■主要な神様
アマラ様
太陽と夏の女神。この世界における天界の最高神二柱のうちのおひとり。
ザックをこの世界に受入れたのがアマラ様らしい。いわばホストマザー、あるいはもうひとりのお母さん。地上のザックをいつも見護ってくれている
地上にいる真性の精霊五姉弟の母親でもある。ヨムヘル様とは夫婦のような姉弟のような親友のような、つまりそういう人間の概念には当てはまらない関係。
地上では他の神々や精霊とともに、祭祀の社に祀られ崇敬を受けている。
ヨムヘル様
月と冬の男神。この世界における天界の最高神二柱のうちのおひとり。
口には出さないが、ザックのこの世界におけるもうひとりのお父さん。
アルさんを経由して、ザックが元いた世界からもたらされた不死を断つ神刀である叢星、またの名をむらほしの刀を授けた。
夏の暑さが苦手らしいが、ほぼ地上に降り立つことはない。
サクヤちゃん
ザックがいた元の世界の女神サマで、前々世から前世に、そして前世から今世へと転生させた張本人。
転生にあたっては独自の神の力を転生特典として授け、かつ前世では赤子から幼少期にかけて身近にいて世話をし育てていた。つまり前世における養母。自ら美少女であることを自慢し、見た目や雰囲気は女子高生っぽいけど。
今世でもザックの幼少期まで、アマラ様のところにホームステイをして身護ってくれていたが、今世の家族や周囲がしっかり育ててくれていることを確認して元の世界に戻って行った。
■地上の人外の方々(王都屋敷関係者を除く)
ルーさん(ルーノラス)
神獣フェンリル。アラストル大森林の奥地に棲む。
白銀の毛並みを持つ巨大な狼の姿をした神獣。人化すると銀色の長い髪をなびかせた狼犬人の姿となり、白いローブを纏いどこかの宮廷魔導士のようにも見える。
アラストル大森林の管理を任せられているらしい。また、地上世界と天界の神を繋ぐ役割を持ち、地上の重要な出来事を天界の崇高神であるアマラ様とヨムヘル様へ報告する仕事をしている。ザックのことについては、5歳の彼と出会う以前から承知していたようだ。
アルさんとは顔を会わせればつまらない言い合いになるが、じつは仲が良いみたいでもある。
大森林に棲息する魔獣はもちろんのこと、地上の魔物、魔獣からは怖れられている。
ニュムペ様
真性の水の精霊。現在はナイアの森に再建された妖精の森に棲む。
800年前のセルティア王国建国にまつわる出来事で、初代王ワイアット・フォルサイスの母であるネーレをはじめとした多くの下級精霊が、部族王マルカルサス軍との戦いや戦後の地下墓地建設に加担したことから、それらの下級精霊を消滅させ、その当時の妖精の森は結果的に疲弊して無くなってしまった。
ルーさんが手を差し伸べ、以来、僅かな数の水の精霊を連れてアラストル大森林の奥地に隠棲していたが、シルフェ様とザックたちと共に地下墓地の浄化を行い、新たにナイアの森に妖精の森を再建した。
ネオラさん
アラストル大森林に隠棲してしまったニュムペ様と離れ、ひとりでナイア湖を長い年月、護って来た水の精霊。
現在はナイアの森の妖精の森で、ニュムペ様の側近を務めている。
ネリルさん
ニュムペ様と共にアラストル大森林の奥地に移り棲み、水の精霊のまとめ役をしていた。
ナイアの森の妖精の森へニュムペ様が移った現在も、大森林に残る水の精霊の責任者をしている。
ドリュア様
世界樹に棲む樹木の精霊。精霊族エルフの始祖とされている。
ニンフル大陸の東端に聳え立つ、天界と地上世界とを繋ぐとされる世界樹に棲み守護している。エルフの祖は、ドリュア様と光の神ヘイム様との間に生まれたアルヴァという子であると伝えられている。
おっとりした天然のお姉さんに見えるが、シルフェ様やニュムペ様よりは妹にあたるらしい。
世界樹訪問の帰りがけにザックは、世界樹の樹液で作られた世界樹ドリンクの原液ひと樽をドリュア様からお土産としていただいた。カップ1杯で人族なら5年は寿命が伸びるというこのドリンクについては、ライナさんたちに白状させられ試飲会をして飲ませたが、取りあえず封印の予定。
サラマンドラ様
真性の火の精霊で、ニンフル大陸東南にある火山に棲んでいるというが、ザックはまだ会っていない。
シルフェ様とは仲があまり良くないらしい。
グノモス様
真性の土の精霊で唯一の男性の姿をした精霊。サラマンドラ様の棲む火山の南方の地中に棲んでいるというが、ザックはまだ会っていない。
精霊族ドワーフの始祖とされ、どうやら狷介な性格らしくこちらもシルフェ様とは相性が悪いらしい。
エンルアナさん
天界から地上に降りたエンシェントドラゴンの金竜で、五色ドラゴンの黄竜とは同体とみなされる。地上におけるドラゴン族の統領。
ニンフル大陸の中央を東西に長く走る、ニンフル大山脈の中央部にある地下宮殿を本拠地とし、出仕して来た多くの若いドラゴンを手元に置いている。
口煩い爺様ドラゴンで、ナンバーツーのアルさんとは直ぐに言い争いをする。フェンリルのルーさんと3人が会うと、もの凄く面倒くさいらしい。
クバウナさん
天界から地上に降りたエンシェントドラゴンの白竜で、お婆ちゃんドラゴン。ザックはまだ会っていない。
カリちゃんの曾祖母で、地上において白竜の一族を作っている。ちなみに一族を形成しなかったのはアルさんだけらしい。そのアルさんが引き蘢りになっていたときに、クバウナさんが様子を見に行っていた。
白竜の一族は白魔法・光魔法が得意で、特に聖なる光魔法が出来るのはクバウナさんだけだという。
アルケタスくん
ナイアの森に棲むユニコーンの頭の息子。
妖精の森を囲む迷い霧の石を設置中に、オネルさんに近づいてそのまま付いて来た。
ユニコーンは魔獣ではなく神獣に近い存在であり、森の水を清浄に保つ役割がある。古くからナイアの森に棲むユニコーンの一族は、あらためてニュムペ様の眷属となった。
アルケタスくんは水の精霊との連絡役となり、なぜかザックとは仲が良い。
会話は念話によるが、なんとなくグリフィニアのトビーくんと似ており、ザックの扱いもトビーくんと学院の後輩のカシュくんと同列。
アッタロスさん
ナイアの森のユニコーン一族の頭。アルケタスくんの父上。古武士のような雰囲気を持つ。
以前に大怪我をして折れた骨の後遺症が残り、歩けなくなっていたのをザックが治療して回復する。
長年争っていたテウメーからの昨年の襲撃では一族を良く護り、ザックたちの手を借りて討伐を果たした。
アリュバスさん
アッタロスさんの弟でアルケタスくんの叔父。ナイアの森のユニコーン一族で第一の武人。
テウメーどもから襲撃の際に撤退戦で殿を引き受け、大きく肉を削がれて重傷となるが、ザックとエステルちゃんの聖なる光魔法とシルフェ様たちの回復魔法の重ね掛けにより、無事に回復した。
マルカルサスさん
王都の地下洞窟にある地下墓所に棲むアンデッド。かつてこの地を治めていた部族王。
セルティア王国の建国伝承では残虐で非道の王であり、多くの民や周辺部族を苦しめていたとされているが、直接に会って話をしたザックはどうもその評価や伝承が信じられない。
地下墓所に葬られアンデッドとなった後、邪な力の浸食を察知して自身と側近を墓所最奥の霊堂に自らを封印した。
ザックたちの浄化により側近は4名だけとなってしまったが、マルカルサスさんは部下のアンデッドとしての軛を断ったこの浄化に感謝をしている。
ルドヴィークさん
地下墓所に棲むアンデッドで、マルカルサスさんの側近。かつての騎士長。
■身近な貴族及びその関係者
ジルベール・ブライアント男爵
グリフィン子爵領の南に接するブライアント男爵領の領主貴族。アン母さんのお父さんでザックたちのお爺ちゃん男爵。妻はフランカお婆ちゃん。
北方15年戦争では先代子爵のカートお爺ちゃんと共に軍を指揮し、ブルーノさんら当時に闘った人たちとは戦友として知り合いである。
直ぐに何でも先走る、早合点お爺ちゃん。
エルネストさん(エルネスト・ブライアント)
ブライアント男爵家の長男で、ザックたちの伯父さん。アラストル大森林に接するラウモの町を治めている。妻はエリアーヌさん。ジョスランくんという息子がいる。
男爵位を継がず、大森林を研究する自然博物学者の道を選んだ。男爵お爺ちゃんは、エルネストさんがラウモの町を治めることを条件にそれを認め、孫のジョスランくんに男爵位を継がせるまで現役で頑張っている。
ヴィックさん(ヴィクティム・キースリング)
キースリング辺境伯家長男。今年25歳。次期辺境伯でヴァニー姉さんの婚約者。この夏にはザックの義理の兄になる予定。
気さくで快活、ヴァニー姉さんのために庭園の側に新居を建設させるなど、優しい性格でもある。姉さんとは王宮の舞踏会で知り合っていた。
学院生時代には総合剣術部に所属。王家のセオドリック・フォルサイス王太子は、1年先輩で同じ総合剣術部員であり、卒業後も仲が良い。
モーリッツ・キースリング辺境伯とその家族
キースリング辺境伯家当主。国境の領地を護る壮年の領主貴族。北方15年戦争には若手貴族として従軍し、ブルーノさんやアルポさん、エルノさんとも面識がある。
妻はエルヴィーラさん。娘にヴィックさんの妹のエルネスティーネさんがいる。
ベンヤミン・オーレンドルフ準男爵
キースリング辺境伯家に所属する準男爵。外交担当。ブルクくんのお父さん。
学院生時代はヴィンス父さんの後輩で、現在でも仲が良い。武人志向の息子のブルクくんとは違い、王宮や他の貴族との外交を専門にする文官肌。
フリードリヒさん
キースリング辺境伯家の家令で元騎士。辺境伯家と内政を取り仕切っている。ウォルターさんと旧知で良く似た立場にある。
ヴェンデル・バルシュミーデ準男爵
キースリング辺境伯家の騎士団長。クレイグさんに良く似たタイプで、北辺最大規模の辺境伯家の軍事面を統括している。
■王家と王宮関係者、王都の人
アリスター・フォルサイス王
セルティア王国第36代の王。ザックはまだ会ったことがない。別に特に会いたくもない。
王太子、アデライン王女、第2王子と3人の子がいる。
セオドリック・フォルサイス王太子
セオさん。アリスター・フォルサイス王の長男であり、継承権第一位の王太子。現在26歳。
辺境伯家長男のヴィックさんは学院生時代に1年後輩で、現在でも仲が良い。ざっくばらんで豪放な性格のようだ。
昨年の学院祭をヴィックさんと共にお忍びで訪れ、ザックに会いに来た。そのときに顔を合わせたシルフェ様にどうやら魅了されたようだが、なにかと無理ですから。長く続く王太子妃候補争いも激化していたが、そろそろ決着が着きそうであるらしい。
ザックにももちろん大きな関心を持っているが、辺境伯家長男、グリフィン子爵家長男、そして王太子が特別に繋がりを持つと、必要以上に警戒する輩が出て来るという分析もある。
クライヴ・フォルサイス第2王子
アリスター・フォルサイス王の次男であり、継承権第三位の王子。現在20歳。王子であることを笠に着た、横柄な性格が前面に出る失礼王子。
継承権第三位と立場が弱く、将来もあまり望めないことから、自分の味方となる王宮関係者や若手貴族を身近に集めようとしているらしい。アビー姉ちゃんやザックにも手を出そうとしたが、初対面での評価が最低なのでまあ無理ですね。
サディアス・オールストン
王宮騎士団の副騎士団長。建国以来の俊才騎士とされ、若くして副騎士団長になり騎士団内の若手エリートグループを率いているらしい。現在31歳のイケメン騎士。
2年前にジェルさんとの見合い話事件が起きたが、どうやらサディアス本人が望んだ話ではなかったらしい。
王都の地下洞窟に関心を持っていたり、人望と将来のないクライヴ第2王子に近い位置にいるなど、もうひとつ何を考え目論んでいるか分からない。
ラリサ・カバエフ
王宮魔導士だが、王宮の魔法部に所属しているものの魔法部勤務は行わず、クライヴ第2王子の側近的立場にいるらしい。
学院生時代は第2王子の同級生で、総合魔導研究部には所属していたが、魔法学の講義を一切受講しなかった。他者の魔法力を感知することの出来る、魔眼かそれらしき能力の持ち主らしい。妖魔族の出身ではないかという憶測もある。
クロヴィス・ジェルボー
王宮騎士団騎士。代々の騎士爵でロクに戦えない一派の一員。エステルちゃんが解釈するところの目多忙騎士(メタボ騎士)。ジェルさんの父上と以前にたまたま知り合い、ジェルさんにサディアス副騎士団長との見合い話を持って来た。
アンヘルさん
王都の北フォルス社の社守長。アマラ様に呼ばれて、お会いするため社を訪れた際に会う。ザックに興味を持ったらしい。
■学院の卒業生
フェリさん(フェリシア・フォレスト)
フォレスト公爵家長女。ザックが1年生のときの4年生で学院生会会長だった。普段は美人で英才だが、知る人ぞ知るちょっとイタいところのあるお姉さん。現在は17歳。
在学中はザックに多大な関心を示し、なんとか仲良くなろうとしていた。つまり恋に憧れる少女だったようだ。
卒業後はセオドリック王太子のお嫁さん候補となり、どうやら頭ひとつ抜き出たらしい。
エルランド・ヘルクヴィスト
ヘルクヴィスト子爵家次男。ザックが1年生のときの4年生で学院生会副会長だった。現在は17歳。ザックに対しては何かと面倒を見てくれていた。
テオさん(テオドゥロ・エスコバル)
王宮騎士爵家次男。ザックが1年生のときの4年生で第7男子寮の寮長だった。現在は17歳。
レオさん(レオポルド・バルデム)
王宮騎士爵家長男。ザックが1年生のときの4年生で総合剣術部部長だった。現在は17歳。
ザックを入部させたかったが、総合武術部の創部に協力してくれた。
ロズ姉さん(ロズリーヌ・オドラン)
ヴィオちゃんのセリュジエ伯爵家に所属するオドラン準男爵家長女。ザックが1年生のときの4年生で総合魔導研究部部長だった。やはりザックを入部させたかったが、総合武術部の創部に協力してくれた。
エックさん(エックハルト・フリーデル)
グラウプナー侯爵領騎士爵家長男。ザックの2年先輩で、総合剣術部部長であり第7男子寮の寮長だった。アビー姉ちゃんとともに課外部剣術対抗戦を立ち上げた。
ローゼさん(ローゼマリー・フリッシュ)
フリッシュ準男爵家長女。ザックの2年先輩で総合剣術部副部長だった。アビー姉ちゃんの友だちで、姉ちゃんに対して強いライバル心があった。
マティルダさん
ザックの2年先輩で総合魔導研究部の部長だった。
■セルティア王国外の登場人物
クラース・アレニウス
北方帝国ノールランド人。帝国での立場や仕事は正確には不明だが、どうやら諜報や工作を専門に行っているらしい。
ザックが8歳のときに、港町アプサラでフォルくんとユディちゃんを保護した際に出会った。
そのときには北方帝国の貿易船の船長らしく思えたが、後にファータの里への訪問時、リガニア都市同盟の南部の都市ヴィリムルに接近して来たボドツ公国部隊に同行し、潜入工作活動をしようとしてザックに妨害された部隊を率いていた。
サムエルさん
リガニア都市同盟の南部の都市で、ファータの里に近いヴィリムルの評議員。エルメルさんとは仲が良く、情報交換をする間柄。ザックはまだ会ったことがない。
ビャルネさん ディーサさん オスキャルさん
ニンフル大陸の東端、ドリュア様たち樹木の精霊が棲む世界樹の麓にあるエルフの母なる地、アルファ自治領のお偉いさんたち。ザックが事情聴取で訪れた際に、ドリュア様からの託宣に従って応対した。
ビャルネさんは自治領の長、ディーサさんはドリュア様を祀る社守長、オスキャルさんは自治領防衛隊の責任者である。
エルフの中でも、特に光のエルフと自らを呼ぶ母なる地の者たちは、人族など他の種族に対しては上位意識が強く慇懃無礼。話していて面倒くさい人たち。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
総数で170人ぐらいになりました。名前が分かっている人物はいちおう網羅したつもりですが、漏れていたらすみません。
今回で登場人物紹介は終了し、次回からまた本編に戻る予定です。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。




