登場人物紹介:その1
暫く休載となって申し訳ありませんでした。
登場人物がかなり多くなっており、また読者の方からのご要望もあったことから、今回は登場人物紹介をさせていただきます。作者もときどき名前を間違えますし、整理も兼ねて……。
まずは主要な人びとから。
アヌポス新歴2549年4月、ザックが14歳の誕生日を迎える直前時点での主な登場人物です。
ザック(ザカリー・グリフィン)
本作の主人公で語り手。セルティア王国グリフィン子爵家長男。現在はセルティア王立学院の3年生で、王都フォルス在住。今年14歳。グリフィニアの冒険者からは若旦那と呼ばれている。
前々世に29歳で事故死。500年近く昔の過去に転生し、またもや29歳で襲撃を受けて奮戦するも死亡。二度目の転生により、ふたつの生の記憶を持ったまま現在の世界に生まれる。
前世で修練した剣や忍術、呪法。今世で鍛錬し続ける剣と魔法。そして前世の神サマに貰ったギフトに加え、今世の神様や精霊様からの加護と、それらが合わさり本人の自覚無く人外化が進行中の模様。
肝心の前々世での21世紀の知識や経験は、魂年齢70年余りを経て既に忘れがち。記憶と知識を共有する式神クロウちゃんに助けて貰わないと、ちゃんと役に立てられません。カァ。
クロウちゃん(クロウの九郎)
ザックが前世の呪法を用いて、この世界で生みだしたクロウ(小型のカラス)姿の式神。
この世界に濃厚に存在するキ素の力を用いて飛ぶことから、元々時速300キロ以上の速度が出せるのだが、風の精霊の加護を得て時速500キロ以上で飛べるようになったらしい。
ザックの分身とも言え、魂レベルでパスが繋がっていて、ふたりだけの通信、視聴覚同期、ザックの過去の記憶の共有などが出来る。
ザック以外との念話による会話、親しい人たちとの人間の言葉を用いない会話が可能だが、人間の言語を音声で発することは出来ない。カラスって、人間の言葉のマネが出来るんじゃなかったっけ。カァ。あ、カラスじゃなくてクロウです。
エステルちゃん(エステル・シルフェーダ)
精霊族ファータの里長の孫娘。ザックの許嫁。現在グリフィン子爵家王都屋敷の女主人。グリフィニアの冒険者からは姐さん、姐御と呼ばれている。
探索を生業とするファータ一族で、真性の風の精霊様の直系子孫である里長家であるシルフェーダ家の孫娘として生まれ、5歳から探索とさまざまな戦闘術を修練、12歳で見習い、13歳からグリフィン子爵家に派遣された。
15歳で当時5歳のザックと出会い、表の姿は侍女となってお世話係兼護衛兼見張り役になる。しかし実は、ザックが生まれたときから将来的に許嫁となることが、双方の両親間で話されていた。見た目が15歳で停止中のため、あと少しでザックに抜かされると本人は言っている。
風の精霊の眷属であるファータの特性として風魔法に優れ、白魔法、特に回復魔法は達人クラスになりつつある。アルさんから教わった黒魔法も修得。
魔法以外も武芸百般、人間離れした身体能力を持ち、真性の風の精霊シルフェ様から妹認定されて以来、本人の自覚無しに人間離れどころか精霊化が進行中。
■グリフィン子爵家
ヴィンス父さん(ヴィンセント・グリフィン)
ザックの父。グリフィン子爵家現当主。今年41歳。心配性の娘大好き父さん。
昨年に長女のヴァニーの婚約を認め、次女のアビーの騎士団入団と将来的にベネット準男爵家の養女となって継ぐことを認めた。
特に今年の夏には、ヴァニーがキースリング辺境伯家に嫁に行くことが決まり、ちゃんと娘離れが出来るのだろうか。
アン母さん(アナスタシア・グリフィン)
ザックの母。グリフィン子爵家夫人。今年35歳。天才魔法・元少女。
回復魔法の天才で、いまなお衰え知らずの美貌の持ち主。明るい性格で子爵領の多くの領民から慕われ、領外でも良く知られている。
セルティア王立学院の学院生時代では、ザックの前の魔法学特待生だったことから、現在も女子学院生の憧れの対象らしい。
ヴァニー姉さん(ヴァネッサ・グリフィン)
ザックの姉。グリフィン子爵家長女。今年18歳。もうすぐ次期辺境伯夫人。
学院生時代からダンスに秀でていたこともあり、グリフィン子爵家で唯一、王都の社交界に繋がりがあり、その存在と美しさが知られていた。
社交界で知り合った辺境伯家長男ヴィクティム・キースリングとの婚約が整い、この夏には結婚する予定。
アビー姉ちゃん(アビゲイル・グリフィン)
ザックの姉。グリフィン子爵家次女。今年16歳。騎士となった野性の剣術一筋娘。
学院卒業後、騎士としてグリフィン子爵家騎士団に入団。騎士団長付きの仕事に就き、現在は日々勉強中。将来はクレイグ騎士団長の養女となって、ベネット準男爵家を継ぐことが決まっている。
風の精霊の加護も貰い、ザックの行う戦闘行動にも参加するなど、グリフィン家の家族の中ではザックが秘匿している事柄や行動、人外のことなどを最も把握している。
カートお爺ちゃん(カーティス・グリフィン)
グリフィン子爵家先代当主。現在72歳ぐらい。
ザックの誕生に際して、ヴィンス父さんと大喧嘩をしてグリフィニアを家出。
以来、妻のエリお婆ちゃんと国内外の旅暮らしの果てに、現在はセルティア王国の南のミラジェス王国内の村で仮住まいをしながら旅を続けている。
昨年には王都でザックたちと会い、その後グリフィニアを訪れてヴィンスと和解した。
エリお婆ちゃん(エリノーラ・グリフィン)
グリフィン子爵家先代当主夫人。現在70歳ぐらい。
家出したカートお爺ちゃんと共に長年の旅暮らしを楽しみ、念願の息子夫婦と孫たちとの再会を果たした。
心配性で短気なグリフィン家の男どもを優しく見守るお婆ちゃんで、グリフィン家の強く逞しい女性の象徴。
■レイヴンメンバー
ジェルさん(ジェルメール・バリエ)
ザック直属の騎士団パーティであるレイヴンのリーダー。バリエ騎士爵家当主。今年24歳。
グリフィン子爵家騎士団騎士の中でも有数の剣士だが、既に王国一の女性剣士ではないかとの噂もある。
ザックの一刀で相手を倒す剣術に感銘を受け、自らもそれをものにすべく研鑽を続けている。
謹厳実直な性格と2年前の王宮騎士お見合い事件が災いしてか、いまだに結婚話の欠片もないのがかなり心配。だが本人は、少なくともザックが学院を卒業するまでは側で仕えたいと願っている。
オネルさん(オネルヴァ・ラハトマー)
グリフィン子爵家騎士団従騎士。ラハトマー騎士爵家息女。今年22歳。
レイヴンの3人のお姉さんの中でいちばんの若手だが、しっかり者の突っ込み役。ジェルさんに続く女性剣士としても、日々成長している。
騎士団見習い卒業時の試合稽古でザックに負けた後、ザックに「剣を捧げます」と宣言したのは騎士団内でも有名。ザックが5歳当時から一緒に剣術の稽古をしていたオネルさんも、もう22歳なんだね。
ライナさん(ライナ・バラーシュ)
つい先日、従士から従騎士になった。じつはアルタヴィラ侯爵領のバラーシュ騎士爵家息女。今年24歳。土魔法の達人。
11歳の年の暮れに家出し、土魔法を活かし冒険者になるために遥々グリフィニアに。若くして一流冒険者に仲間入りしたが、何があったのか14歳で騎士団従士に転職。本人は冒険者時代のことをあまり多く語ろうとしない。
ザックが2歳当時に、屋敷の庭師で土魔法の達人の元冒険者であるダレルさんのもとを訪れた11歳のライナと、初めて出会っている。「ちっちゃいザカリーさまが、わたしのお尻を掴んで後ろに隠れた」というエピソードを話すのが彼女は大好き。
戦闘の天才で、接近戦も得意の格闘魔導士。最近は土魔法以外の高度な魔法を研究修得中。
ところで、ティモさんをお相手にファータの嫁になる件のその後は、どうなのでしょうか。
ブルーノさん
ライナさんと同じく従騎士に。出身地不詳。年齢不詳。おそらく50歳前後と思われる。十代で15年戦争に参加するためグリフィン子爵領に来たらしい。
グリフィニアで最高の、更には王国一と言われた斥候職の冒険者でアラストル大森林の専門家だったが、一般からの従士募集にライナとともに応募し騎士団入り。ザックを幼少期から見守る立場となった。
斥候や近接戦闘ばかりでなく、風の精霊の加護を得て弓矢の腕も達人級である。
普段は口には出さないが、若者たちの行く末を気にかけているレイヴンのお父さん役。
ティモさん
調査探索部所属で従騎士待遇。ファータの探索者。今年29歳の筈だが、ファータ人なのでまだ20歳そこそこに見える。
グリフィン子爵家に派遣されているファータの中で、ザックとエステルの身近で仕える特命を受け、王都屋敷常駐としてレイヴンメンバーになった。
探索、風魔法、近接戦闘、体術に優れ、ザック、エステルちゃんとともに猿飛の術をこなす。
ライナさんからのアプローチに拒否感はないようだが、どうやらそれほど進展もしていない模様。
■王都屋敷の人びと
シルフェ様
真性の風の精霊。太陽と夏の女神アマラ様、月と冬の男神ヨムヘル様の5人の娘息子のひとりで、どうやら長女らしい。
風の精霊の頭として、地上世界の風の精霊を束ねている。精霊ではいちばんの武闘派で少々怒りっぽい。人間の世界に対しての好奇心も強い。
直系子孫であるエステルちゃんと瓜ふたつの容姿で、やや歳上の17、8歳ぐらいに見える。エステルちゃんを妹認定したことから、彼女にはお姉ちゃんと呼ばせている。
一方でアマラ様から頼まれて、ザックを護り助ける役目をしてくれているらしい。
人外のお方を、王都屋敷の人びとのカテゴリーに入れていいのか多少疑問の残るところなのだが、長期滞在で自分の家という認識なのでまあ良しとしましょう。
アルさん(アルノガータ)
天界から地上に下った、エンシェントドラゴン=五色竜のひとりであるブラックドラゴン(黒竜)。地上では金竜に次いでナンバー2らしい。古代遺跡からのお宝集めが趣味だが、放っておくと引き蘢りのお爺ちゃんドラゴン。
ファータの里の直ぐ近くにある境界の洞穴から繋がる洞穴に棲み、エステルちゃんが幼少期に出会って友だちになった。
その後にザックと出会い、彼の配下を自認するとともに、何千年振りだかで人間に変化して王都屋敷に長期滞在するようになると執事を自称している。
黒魔法が最も得意だが、この世界のあらゆる魔法に精通し、現在はライナさんとカリちゃんの師匠でもある。
シフォニナさん
風の精霊でシルフェ様の最側近。常に行動を共にするしっかりお姉さん。色っぽいお姉さん度では、ライナさんと双璧である。
シルフェ様がエステルちゃんのお姉ちゃんなので、シフォニナさんは従姉妹ということになっている。
シルフェ様と世界各所を旅し、この地上世界のあらゆる場所に精通しており、基本的には人間と直接関わることのない精霊にしては、人間社会のことも良く知っている。
武闘派精霊である風の精霊のナンバー2だが、彼女自身の戦闘力はいまひとつ不明。しかしお胸の破壊力はナンバー1で、クロウちゃん的にはエステルちゃんの次にお気に入り。カァ。
カリちゃん(カリオペ)
五色竜のひとりであるホワイトドラゴン(白竜)のクバウナさんの曾孫。ザック的には、前々世の女子高生っぽいドラゴン娘。
竜族の統領の金竜エンルアナさんのもとに出仕していたが、人化魔法が出来ることから、水の精霊の妖精の森を防衛する役目を与えらて、人化と魔法の安定化のためアルさんの弟子となった。が、結局はザックが預かることになり、王都屋敷の侍女も兼任している。
アルさんの魔法の弟子ではライナさんが姉弟子にあたることから、姉妹弟子ふたりで魔法訓練と研究に取組んでいる。
フォルくん(フォルタ)
ドラゴニュート(竜人)族の少年。ユディタの双子の兄。北方帝国ノールランドの北に接する竜人の村の出身。今年12歳。
竜人族を兵力、労働力として強制的に徴集しようとした北方帝国の襲撃を受け、7歳以下の子供たちだけが逃がされる。彼は南を目指せという両親の言いつけに従って、双子の妹ユディタとふたりだけ他の子供たちと別れ、北方帝国の港町から船に密航。グリフィン子爵領の港町アプサラで逃げたところで、ザックと出会い庇護された。
それ以来、フォルタは小姓、ユディタは侍女として屋敷で働きながら勉学、剣術、魔法の教育と訓練を受ける。
昨年からは王都屋敷に移り、離れていたザックとエステルのもとに。近い将来にはザックの直属部隊に配属されることも決まっているが、本人たちはまだ知らない。
ユディちゃん(ユディタ)
ドラゴニュート(竜人)族の少女。フォルタの双子の妹。北方帝国ノールランドの北に接する竜人の村の出身。今年12歳。
真面目でしっかり者の兄に比べ、多少やんちゃで自由な性格の妹。最近はだいぶ女の子らしくなった。
体格に優れた竜人族らしく、兄妹ともずいぶんと背も高くなり剣術も強くなって来た。魔法は兄とともに、竜人の特性である火魔法系統が得意。
エディットちゃん
ザックとエステルちゃんが王都屋敷に住むにあたって、親元を離れソルディーニ商会から派遣されて来た王都出身の侍女。今年12歳。
エステルちゃんに日々仕える真面目な働きぶりから、グリフィン子爵家の直接雇用に変更され、今年には人員が増えて来た王都屋敷の侍女長に任命された。
剣術や魔法も何故か教わり、特に回復魔法の適性が見つかる。人外の方々も普通に暮らす王都屋敷やザックたちの秘密の行動に、特に疑問や違和感を持たなくなっており、王都の一般庶民とはかなりかけ離れた立場になって来ているが、本人はいたって自覚がない。
アデーレさん
エディットちゃんと同じくソルディーニ商会から派遣されて、王都屋敷に住み込みの料理人となった。現在は独身で王都に娘夫婦がおり、孫も出来てお婆ちゃんになったが、本人はまだ40歳代。
今年には王都屋敷料理長に任命された。特にお菓子好きのエステルちゃんのため、そして学院祭での魔法侍女カフェのための新作お菓子づくりと、日々お菓子やデザート製作を行っていることから腕をかなり上げている。
グリフィン子爵家で第一の菓子職人の座が危ういですよ、グリフィニアのトビーくん。
シモーネちゃん
風の精霊見習いで王都屋敷の侍女見習い。見た目は6歳ぐらいだが、本当の年齢は良く分からない。
王都屋敷暮らしも1年を経過し、侍女としてすっかり馴染んでいる働き者。
シルフェ様としては、行く行くは正式にエステルちゃん付きの精霊にしたいと考えており、既にシルフェ様はエステルちゃんを精霊の一員と思っている節もある。ただし、エステルちゃん自身はまだそれらを知らない。
アルポさん エルノさん
門衛不在の王都屋敷の門番となるため、ファータの里から派遣されて来た爺さんふたり。それまでは、探索者をリタイアして里の狩人だった。年齢は100歳代らしい。
34年前に終結した北方15年戦争では、ファータの特別戦闘工作部隊でアルポさんが部隊長、エルノさんが副部隊長だった。なので、戦争を経験している北辺の貴族家当主たちは古い知己。
現在でも戦闘力はかなり高く、体力や動きも現役に遅れを取らない。徐々に門番以外のことも行うようになり、ザックたちと戦闘行動で共にし、持ち前の大工や鍛冶仕事の能力を活かして地下拠点造りでも活躍。ザック直属の配下を自認している。
今年初めには、正式にグリフィン子爵家調査探索部の嘱託部員になった。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
身近な人たちから登場人物紹介を始めたら、今回は25人までとなってしまいました。
全部で170人ほどはいる筈ですので、どこまで書くかはありますが、次回もこの続きということでお付き合いください。




