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ショートショート4月~

召喚された猫

作者: たかさば
掲載日:2020/04/14

この世界には、猫がいません。


ずいぶん昔に、猫はいなくなりました。




にゃあと鳴いたらしい。


やわらかいといううわさだ。


ふわふわ、ふさふさしていたようだ。


恐ろしい牙とつめを持っていたことが確認されている。




猫の記録は、当の昔に消え失せ、今は噂話が横行しています。




猫、猫、猫。


猫というものを、みてみたい。


猫というものを、さわってみたい。


猫というものを、どうにかして、手に入れたい。




時は魔法先駆時代。


長く続いた科学の時代が終わり、地球上の魔法の力が、注目されるようになっていました。


魔法の発見があり、魔法の革命が、起きた時代です。


どうにかして、猫をこの手にできないか。


未知のものへの、期待と憧れが、おかしなブームを巻き起こすようになりました。



猫の遺物を探して冒険活劇が繰り広げられたり、猫の絵を描いて、鼓動を吹き込んでみたり。


猫に対する憧れが、魔法の技術の進歩に、多大なる影響を、与えたのです。



ある日、非常に魔法の才能にあふれる子供が、ふと、思ったのです。


猫を、召喚できないかしら。


子供は、一生懸命、魔法陣を組み上げました。



ふわふわしている。


やわらかい。


きばがある。


つめがある。


にゃあと鳴く。


名前は、猫。




この地球という星に、まだ月がひとつしかなかった時代ならば。


おそらく猫は、いたはずだから。


長い年月をさかのぼり、そこから猫を、呼び出してみよう。



大きな、大きな魔法陣に、魔力を注いで、起動させます。


大きな大きな魔法陣が光って、真ん中の丸い空間に、なにやら異変がありました。



それは、子猫を少し過ぎた、若い、猫でした。



子供は慌てふためき、師匠の元へと急ぎます。



師匠、猫を呼び出したら、大変なことになりました!!!


何が起きた。


詳しく説明するのだ。



私は魔法陣を組んで、太古の時代より、猫を召喚したのです。


したはずだったのです。


ところが、現れたのは、命だったのです!!!!



おそろしい!!


おそろしい!!


命とは、必ず最後に消えるもの。


そんな恐ろしいものを、お前は呼び出してしまったというのか!


申し訳ございません!



お前はこの責任を負わねばならん。


お前はこの世界でただ一人、命に寄り添い、その死を待つのだ。


それができたら、ここに戻ってくるように。



この地球に、月がまだひとつしかなかった時代。


月が、二つになる日がやってきました。


そのとき、命という存在が、すべて消えたのです。



そして、自我が私たちに芽生え始め、私たちは、地球上で、繁栄を始めました。


私たちは、個であり、個である存在。


すべての自我が、すべての自我とつながっていて、日々、共有しながら、各自をエンジョイしているこの時代。


命というものが、恐怖になっていたのです。




命は、命を食らって、命をつないでいるらしい。


命はいきなり、活動をとめるらしい。


命は消えると、崩れてしまい、やがて何も残らなくなるらしい。


恐ろしい!


恐ろしい!!


恐ろしい!!!




命は、魔法というものを、使うことができなかったようです。


魔法を使う、回路がなかったからです。


なんと言う不出来な存在。


この時代に、命は、ふさわしくない。




では、ブームの猫はどうだ。


これは、命だ。


だが、猫だ。


猫は、命である。


猫は、危険だ。


私たちに、恐怖を与える。


命は、危険だ。



この時代、命は何一つ存在していません。


猫が、命をつなぐために、取らなければいけない命は、どこにも存在していないのです。


猫は、魔法使いの子供が見ていました。


魔法を見せたり、様子を見たり、していましたが、ある日、猫は、にゃあと鳴いて、動かなくなりました。



この世界から、命が再び消えたのです。



猫は、日に日に形を変え、やがて崩れてしまいました。



魔法使いの子供は、恐ろしさのあまり、自我を切る事を決意しました。



自我を切れば、私はただの共有部分でいられるのです。



魔法使いの子供が自我を切ったとき、世界に激震が走りました。



命はもう、呼び出してはならない。


猫は危険だ。


猫は恐ろしい。



召喚魔法の禁止が決定され、世界に平和が、戻りましたが、猫はやっぱり一部の魔法使いの間で、人気がありました。


ただし、もう、誰も呼び出そうとは、しませんでした。

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